親の関わりかたと子どもの学習姿勢

4月 2nd, 2012

休憩時間に6年生の男子が、こんな会話を交わしていました。仮にA君とB君にしておきましょう。

 似たようなご家庭はありませんか? 子どもへの接し方としては、どちらのおかあさんにも改めるべきところがあるように思います。 したがって、この会話をご紹介したのは、どちらのおかあさんが望ましいかをお伝えするためではありません。子どもとの関係において、何が重要かを示唆してくれるからです。

 二人の入試は対照的な結果に終わりました。A君の成績は、夏頃までは普通程度でした。しかし、だんだん調子をあげ、入試では見事第一志望校に合格しました。一方のB君は、A君よりもずっと成績がよく、常にトップを争う集団にいました。ところが、入試が近づいてきた秋から精彩を欠くようになり、受験は惨憺たる結果に終わってしまいました。

 原因は何でしょう。断定はできませんが、二人の入試結果を暗示するのが、あの会話をしていたときの表情です。A君は明るく朗らかでした。おかあさんの一件は軽い冗談のつもりだったのでしょう。久しぶりに勉強を見てやろうとしたものの、家事や仕事の疲れですぐに寝てしまったおかあさん。そんなおかあさんに、「しょうがないな」と、毛布をかけてあげているA君の様子が目に浮かぶようでした。

 ところが、B君のほうは違いました。おかあさんに勉強のことでうるさく言われる毎日に、閉口していたのでしょう。本当に辛そうな表情を浮かべていました。

 実は後で知ったのですが、B君はなまじっか成績がよかったために、親から多大な期待をかけられ、少々の成績では誉められませんでした。男子でベスト4の成績をあげたときも、「まだまだよ。次は1番!」とハッパをかけられたそうです。

 親からかけられる期待は、程々ならよいのですが、B君のように重荷に思わせると逆効果です。一方、A君がマイペースで受験生活を送れた背景には、おかあさんとの信頼関係があったのだと思います。A君が、最後まで笑顔を絶やさず楽しそうに受験生活を乗り切れたのは、おかあさんという太陽が微笑んでエネルギーを送っていたからではないでしょうか。

 この記事を読んで、有名なイソップ寓話を思い浮かべたかたもおありかもしれません。北風と太陽が力比べをし、旅人の上着をどちらが脱がせることができるかで勝ち負けを決めた、あの話です。厳しい寒風は上着を引き剥がすことができなかったのに対し、太陽の温かな光は旅人の上着をいとも簡単に脱がせてしまいました。確かそんな話でしたね。厳しく子どもを追い込むよりも、温かな愛情のほうが子どもを育てる力が強い。このような考えに符合する話ではないでしょうか。

 多くの場合、親はB君の家ほどではなくても、過保護・過干渉になりがちです。しかし、親が手を出せば出すほど子どもは重荷に感じたり、やる気や自信を失ったりするものです。さらには、大切な自立のタイミングを失ったりするおそれがあります。

 「何であれ、今できそうなことは一人でやらせる」を基本にし、お子さんを信頼して接してあげたらどうでしょうか。

 未熟な子どもの見守りは大変忍耐のいることですが、失敗のプロセスで子どもは逞しく成長します。大人の手助けで得た成績は、子どもが失敗のプロセスで手に入れた成績にはかないません。

 自立には時間がかかりますが、お子さんを信じて励ましてあげてください。それが入試での成功の、遠回りのようで確実な方法であると私たちは考えています。何よりも、将来の夢が広がるのではありませんか?

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