自立した家庭勉強ができない理由

6月 4th, 2012

 前回は、「おかあさんの勉強会」という催し(4・5年部「週3日コース」の会員家庭が対象)が始まったことをお伝えしました。筆者はこの催しの企画担当者でもあり、日程で都合のついた2つの校舎の勉強会に同席させてもらいました。今回は、そこで感じたことを書いてみようと思います。

 勉強会の第1回目のテーマは、「家庭勉強の自立を応援しよう!」です。子どもの自立した受験勉強の達成は、弊社の中学受験指導の根幹をなすものです。しかし、小学生が自立した勉強ができるまでには、精神面での成長が一定レベルに到達する必要があります。ですから、「受験生活を自立勉強で乗り切ろう」というよりは、「受験生活を通して子どもたちが勉強の価値や重要性に気づき、少しずつ自立した勉強ができるレベルへと近づけよう」と言うほうが正しいかも知れません。

 実際、参加されたおかあさんがたから「家庭勉強がなかなか自立できない理由」をお聞きすると、小学校の4・5年生の内面が大人の期待するほどには成熟しておらず、それゆえおかあさんがたはイライラ・やきもきしながら一生懸命にフォローしておられるようでした。

 以下に挙げるのは、おかあさんがたから「家庭勉強がうまく行かない理由」をご報告いただいた内容を簡単にまとめたものです。

★まだやるべきことの優先順位がわかっていない。そこで、やらないといけないことが終わらぬまま寝てしまうことが多い。そこで、朝早めに起きてやることもある。
★4年生だから余り遅くまで起きていない方がよいと考え、勉強は9時半までに終わり、朝早めに起きてやり残した分をやらせている。

★習い事で時間にしわ寄せが来たり、読みたい漫画、見たいテレビ番組などに流されたりして、なかなか予定がはかどらない。
★遊びたい気持ちが強く、それを優先してしまう。遊びを無理にやめると気が散って集中できない。
★気が散って、集中力が発揮できないことが多い。

★4年生は、まだ勉強の自己管理ができない。親が家庭勉強の割り振りや実行に関わらざるを得ない。
★授業の復習は完璧を期するときりがないので、1回のみで終わらせている。時間管理をまだ自分でできないというのが現状だ。
★自分でできるかどうかは子どもの性格しだい。子どもの性格に応じて、必要なら親が勉強に関わるしかない。
★やらなければならない理由をまだ子どもがわかっていない。まだ遊びたいという気持ちのほうが強いようだ。

★学習計画は立てているが、計画倒れに終わっている。テストまでの授業や家庭勉強のサイクルをみて、いつまでに何をやっておくべきかを考えさせるようにしている。
★計画表はつくったが、ちゃんとできるかどうかの見通しを明確にしないまま、リズムがつくれない状態が続いている。
★学校の宿題が多くて、それを済ませるのに時間がかかり、予定通りに進まないことが多い。
★丁寧にやろうとする余り、全部やりきれない。よいことでもあるので、どう対処すべきか迷う。

 まだ受験生という意識がない、4・5年生の現実がよくわかる報告内容ですね。勉強の自己管理ができない子どもをフォローする、親の苦労が察せられる内容のお話が数多くありました。

 ときどきおとうさんが予告なく勉強に入ってきて、お子さんよりおとうさんのほうがヒートアップするといったご報告もありました。ほほえましい話ではありますが、お子さんお勉強の自立という観点ではマイナス要素になってしまいます。

 さて、これまでを振り返っての対策ですが、ぜひお子さんと「反省会」を行ってみることをお勧めします。4・5年生の子どもは日々成長しています。今までの成果も認めてやりながら、どこがいけなかったかを振り返らせてみてください。きっと、かなりお子さん自身でわかっておられることがあると思います。

 意識の振りかたとしては、2週間に1回のテストをサイクルとした学習の流れに着目させること。そうすれば、いつまでに何をしておくべきかがわかりやすくなります。このテストを軸に、学習のサイクルを見通しながら勉強を動かしていけるようになったなら、取り組みも変わっていきます。

 また、もう一つお願いしたいのは、様々な反省点を親子で話し合ったうえで、それをもとに「学習計画の改訂版」をつくることです。計画の作成者はお子さんで、おかあさんはアドバイザー。お子さんが、「これなら実行できる」という無理のない学習計画をつくってください。そして、それを実行に移す過程をしっかりと見守り、進歩した点をほめ、繰り返し励ましてあげてください。お子さんは、少しずつではあっても着実に変わっていくことでしょう。

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