子どもの何気ない質問を活かす

11月 19th, 2012

 子どもが突然思いもしない質問をしてきたとき、どう対応しておられますか? 小学生の子どもをおもちの家庭では、こういったことがよくあるものです。

 いけないのは、「よけいなことを聞くんじゃない!」「今、忙しいの!」「うるさいわね!」など、腹を立てて対応することでしょう。子どもが質問をしてきたときは、子どもがものごとに対して興味・関心をもったときであり、子どもの知識欲をより活性化し、刺激する絶好の機会です。

 しかし、生憎うまく答えてやれない質問だったときには、どうしたらいいのでしょう。特に、日常大人が何気なく使っている言葉でも、質問されるとちゃんと答えられないような言葉はたくさんあるものです。

<例>
 ①せっぱ詰まる・・・ギリギリまで追いつめられてどうしていいかわからない状態
 ②おはちが回る・・・順番が回ってくる

 大人は、これらの言葉のもとの意味を考えることなく使うことが多いものです。どういうときに、どういう意味で使用する言葉かを経験的に知っているからです。しかし、子どもが初めてその言葉に出くわしたときには、どんなときにその言葉を使うかだけでなく、その言葉がなぜそういう意味をもつようになったのか、知りたいと思うのが普通です。

 たとえば、「せっぱ詰まる」の「せっぱ」は、切羽と書きます。刀のつばが、さやとつか(手で握る部分)にふれる部分に当てる薄い金具のことです。それが、どうして「もうどうにもならない状態」という意味になったのでしょうか。

 「おはちが回る」の「おはち」は「お鉢」ですから、ご飯を入れるおひつです。では、なぜ「おはちが回る」が、「順番が回ってくる」という意味になるのでしょうか。

 こうした疑問を解決すべくいっしょに考える時間は、親子共々楽しいことですし、そうしたやりとりの経験が、ものを知ることに熱心な子どもを育てるのではないでしょうか。子どもが厄介な質問をしてきたときは、「子どもを成長させるチャンスだ」と受け止めたいものです。

 もう少し補足しておきましょう。たとえば、こんなふうにお子さんに言ったらどうでしょうか。「そうか、『せっぱ詰まる』って言葉、もうどうにもならないぎりぎりになったときに使うんだよ。でもそれじゃ、「せっぱ詰まる」がそういう意味で使われる理由がよくわからないよね。おかあさんも詳しくは知らないから、一緒に調べてみようか」――こんなふうに、まずは子どもの質問の着眼をほめ、子どもが一層知りたいという気持ちになるよう導いてやるのです。そして、できれば一緒に調べてやりましょう。

 そうなると、子ども用の国語辞典や大人用の国語辞典、語源辞典、ことわざ辞典、漢字事典などが家庭で必要になってきます。このような辞典類がたくさんあり、家族全員で使っているような家庭の子どもは、知識欲が旺盛で勉強熱心であろうことは想像に難くありません。

 小学校の中~高学年ともなると、興味のある事柄についてかなり専門的な知識をもつような子どもも少なくありません。知識は積み重ねによって無限に蓄積されるものです。難しい内容の勉強をしたり、様々な本を読みこなしたりしている子どもは、1年もすれば大人も顔負けの知識を獲得してしまいます。したがって、ときには大人も答えられないような質問をしてくることがあります。

 大人は毎日忙しくしています。家事の最中に子どもに話しかけられたとき、どう受け答えをされているでしょうか。内心、「忙しいときに、面倒なことを言ってこないで」という思いのときもあるでしょうが、こうしたときの対応で子どもは随分違ってくるものです。このようなタイミングを活かし、子どもを適切に伸ばすようがんばっていただきたいものです。

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