軽食を摂って塾に行くと成果があがる

5月 20th, 2013

 お子さんは、塾への通学前に食事をしておられるでしょうか。あるいは、食事の代わりになるものを口にしておられるでしょうか。

 弊社の場合、平日の授業は夕方6時より少し前に始まり、終わるのは8時半(4年生は7時半過ぎ)ごろです。もしも何も食べずに塾に行ったら、学校の給食を終えてから家に帰って食事をするまで8~9時間もの時間があります。これは、体にも頭にもよくありません。

 「腹が減っては戦ができぬ」という諺がありますが、空腹は人間の活力を減退させ、課題遂行力にダメージを与えます。もしも何も食べずにお子さんが塾に行っているご家庭があったら、すぐにでも対応してあげてください。

 とは言え、塾への通学前にお腹一杯の食事を摂るのも望ましくありません。たっぷり食べると人間の行動意欲に関わる大脳辺縁系(脳の最も古い部分)の活動が鈍くなり、学習するときの集中力や思考力が低下するからです。心身が満ち足りた状態になると、人間の活動全体が鈍くなるのです。

 大脳辺縁系は、動物としての生き残り本能に深く関わっています。少し充足しない状況にあったほうが、脳は危機感を感じてセンサーを研ぎ澄ませるのでしょう。そう言えば、冬時の勉強にあたり、「あまり暖房を効かせるのはよくありません。室温は少し寒気を覚えるぐらいにしましょう。そのほうが頭の働きによいです」という話を聞かれたことがありませんか?脳の専門家によると、これなども同じ理屈からくることのようです。

 塾への通学前に軽く食事を摂っておくと、授業を受けている頃には少し空腹を覚えるぐらいの状態になります。それぐらいが頭の活動にはちょうどよいのです。受験勉強で塾に通う期間は決して短くありませんから、食事によるコンディショニング効果は相当大きいのではないでしょうか。

 ご存知かもしれませんが、脳の栄養源はブドウ糖です。ブドウ糖が枯渇すると思考能力は一気に低下します。そこで、血中のブドウ糖の量が減少するとセンサーが働いて脳が空腹感を覚えます。この空腹感を上手にコントロールすることが、学習の成果にも影響してくるわけです。

 話が脱線しますが、朝食を摂らずに学校に行くのはもってのほかです。なにしろ、脳は眠っているときもブドウ糖を消費しています。前夜に摂った食事で補給されたブドウ糖は12時間しかもちません。勉強などしなくても脳はブドウ糖を消費しますから、12時間経つと枯渇するのです。食事を抜いて学校に行くと、早々に脳の栄養源は使い切られてしまいますから、学習の能率に著しい悪影響を及ぼしてしまいます。

 近年、朝食抜きで学校に通う児童が多いという話をよく耳にします。また、ファーストフードなどの間食が多く、ちゃんとした食事を摂らない子どもが増えていると言います。これは体の発達にも脳の発達にも好ましくありません。みなさんのご家庭ではどうでしょうか。こういった食習慣の乱れは、一見たいした影響がなさそうに感じられますが、長い目で見ると成長上の損失に他なりません。

 ところで、脳の栄養源であるブドウ糖は、何をもとにどこでつくられるのでしょうか。食事によって体内に採り入れたものは、消化されてタンパク質や脂質、糖類などに分解されますが、そのうちの糖類が肝臓でブドウ糖につくり変えられて備蓄されます。その量は1回の食事で脳の働きの12時間分が限度だそうです。ですから、1日3回の食事を必ず摂ることは、子どもの体の発達にも脳の発達にも欠かせないことなのですね。

 ブドウ糖は糖質によってつくられるのなら、いちばん手っ取り早いのは砂糖がたっぷり含まれた甘いお菓子を食べることのように思えます。この方法はどうなのでしょう。確かに、その日の一時しのぎには効果があるでしょう。しかしながら、砂糖を多量に入含んだ食べ物は健康上の問題を引き起こします。ですから、ブドウ糖のもとになる食材としては、やはりご飯やパン類が望ましいと言えます。

 お子さんによって適量は違うかもしれませんが、たとえばおにぎり二つくらいが目安ではないでしょうか。お子さんのためにふさわしい軽食を研究してあげてください。

 子どもの夜の外出の是非はともかくとして、今や受験や学力補強のための塾通いはすっかり日本社会で定着しています。それが健康上の問題を引き起こさないよう、また意図する成果につながるよう大人が十分なケアをしてやる必要があります。今回の記事が、そうした面への気配りの必要性を改めて認識していただくきっかけになれば幸いです。

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