子どもの学習意欲は親次第 ~おかあさんの勉強会2~ 前半
6月 24th, 2013
「おかあさんの勉強会」は、4・5年生の「週3日コース」会員家庭のおかあさんを対象とする催しです。春に2回、秋に2回のペースで実施していますが、先週水曜日に全予定を終了しました。
ワークショップ形式の催しを学習塾が行うケースは少なく、教育方面での数少ない実施例(筆者が実際に体験)を参考に、「中学受験生のおかあさんを励ます催し」として3年前から始めたものです。今春は200名近いおかあさんに参加いただき、ようやく定着した感があります。
第2回は、「子どもの学習意欲は親次第」というテーマを掲げ、子どもの学習意欲に大きな影響をもつ親の働きかけのありかたをともに考えてみました。
「どうしたらわが子の学習意欲は高まるのか」ということは、中学受験生をもつ保護者の共通の関心事です。特に、家庭学習の自立を重視している弊社会員のご家庭ならなおさらであろうと思います。事実、このブログで閲覧数が最も多いのは、「学習意欲」、「やる気」、「自信を植えつける」、「勉強好きにする」などの言葉がタイトルについた記事です。
さて、勉強会の内容をご紹介しましょう。勉強会は3~5人のグループをつくり、グループ内で話し合う形式をとっています。
恒例のことですが、「アイスブレーキング」と呼ばれる自己紹介ゲームから始めました。ワークショップでは「話しやすい雰囲気」が大切です。そのための趣向がアイスブレーキングです。その内容ですが、お子さんの学年と性別、お名前をご紹介いただいた後、各自「自分が家庭生活で心に留めていること」を漢字一字で表現し、そこに込められた思いをメッセージにしていただきました。グループによっては笑い声が響き渡るほど盛り上がり、すぐに仲良くなられている様子でした。
① 子どもの学習意欲は、どんなときに高まる?
子どものやる気を引き出す方法を知るには、「どんなときにやる気を出すのか」を確かめるのがいちばんです。そこで早速ワーク1に移り、この話題について話し合っていただきました。ワーク1は、次のような流れで進めていきました。
1.自分の子どもは、どういうときにやる気になったことがあるかを思い出す。そして、その理由を考えてみる。そして、それを各自メモする。
2.グループ内で、それぞれに思い出したことを発表する。他の人の発表内容をメモする。
3.司会役を決め、グループで「子どもはどういうときにやる気を出すのか」を話し合う。
この話し合いは、いずれの校舎でも活発に行われたようです。この段階で、気分が明るくなるおかあさんもおられたらうれしいのですが。
ところで、子ども自身はどんなときにやる気が出ると考えているのでしょうか。それを知るため、全校舎の4年生と5年生の1クラスずつを任意に選び(合計約300名)、アンケートを実施してみました。質問内容は、
1.勉強のやる気が高まるのはどんなときですか?
2.やる気がなくなるのはどんなときですか?
3.おとうさんやおかあさんにかけられた言葉で、うれしかったのはどんな言葉ですか?
というものでした。1と2は選択肢で、3は自由記述で答えてもらいました。実は、この答えを全て点検すれば、もう後の話は無用になると言ってよいほど、子どもたちの思いや現実が明らかになりました。
1の「やる気が高まるとき」については、いちばん多かったのは「成績が上がったとき」で、次は僅差で、「難しい問題が解けたとき」「親にがんばっているねとほめられたとき」「親に成績をほめられたとき」の三つが並びました。
その次はかなり離されて、「友だちよりよい成績がとれたとき」「家族で楽しい時間を過ごしたとき」でした。
2の「やる気がなくなるとき」は、いちばん多かったのは親からの言葉かけの影響で、「叱られたとき」「もっとがんばれと言われたとき」「こんなんじゃ、塾を辞めたらと言われたとき」「今の成績じゃダメだと言われたとき」などでした。次に多かったのは、子ども自身の勉強状態が原因で、「成績が上がらないとき」「問題が解けなかったとき」「宿題が多いとき」などでした。
3の「親からの声かけでうれしかった」のは、「がんばっているね、とほめられ激励されたとき」が圧倒的多数(79名)でした。次は「すごい!やったね!などと成績をほめられたとき」(24名)でした。
この二つの本質は似て非なるものです。同じほめられるのでも、結果を見てのことか、プロセスを見てのことかでは、子どもの受け止めかたが全く違うのです。努力を認めてほめてもらうことが、いかに子どもにとって励ましになるかを如実に示していますね。また、努力をほめるのなら、親も頻繁にほめたり声をかけたりするチャンスがありますが、成績をほめようとするとそのチャンスは限られてしまいます。どのお子さんも、勉強に取り組んだ結果の成績ですから。
自由記述ですから、いろいろな回答があります。その一つひとつを見ていると、子どもの気持ちがよく伝わってきます。ここでご紹介できないのが残念なくらいです。
この調子でご紹介していると、とてつもなく長くなりそうですね。今回はここまでで終わります。