心のこもった言葉が子どもを動かす

9月 23rd, 2013

 もうすぐ夏休みが終わって、1ヵ月が経ちます。毎日の通学リズムを取り戻しているでしょうか。学校では、運動会や遠足、芸術鑑賞といった行事も行われる季節です。私学の中学校でも、文化祭や体育祭といったイベントが開催されます。

 そんな行事がたくさんある季節ですが、ご家庭では、お子さんは計画を立てて勉強をされておられるでしょうか。中には、ついついテレビを見すぎてしまって、計画どおりに勉強ができないお子さんもおられるかもしれません。そんなとき、どんな風に声をかけておられますか?

 心の中では、「だめだだめだ。怒らずに」と思いながらも、「勉強しなさい!」と目の前の光景に感情が流され、イライラをストレートに出してしまうこともあるのではないでしょうか。

 機嫌の良いときには、「テレビ見ていいよ」と普段は怒ってしまいそうなことでも、許してしまうこともあります。感情というのは、見ることや測ることはできませんが、自分の態度や行動を支配する大きな力です。

 具体的に場面に照らして考えてみましょう。仕事から帰ってきて慌ただしく夕飯を準備しているとき、「○○、どこにあるの?」というお子さんの何気ない言葉が飛んできました。さて、どんな風に答えますか?

 状況にもよりますが、一番イライラしているときなら、「そこの棚!」と感情に任せて、単語だけで答えてしまうこともあるかもしれません。「なんでそんなこともわかんないの!」と心にわきあがった感情を抑えられず、言葉に表してしまうこともあるでしょう。

 では、言われた側のお子さんはどうでしょうか。「ちょっと聞いただけなのに、なんで怒ってるの?」と嫌な気持ちになるでしょうね。言葉の言い方に、感情はとてもよく表れます。相手に怒りの感情をのせて言葉を返してしまうと、相手に嫌な感情を抱かせてしまいます。

 一方、「○○どこにあるの?」と聞かれたとき、おかあさんがとても上機嫌だったらどうでしょうか。「そこの棚の引き出しだよ」とやさしく答えるかもしれません。やさしく教えてもらったお子さんは、「ありがとう」とおかあさんに感謝し、素直に「次はできるように」と思うでしょう。または、「今度は、自分が弟(妹)に教えてあげなきゃ」という思いかもしれません。いずれにしても、プラスの感情をもたらします。次にはこうしようという前向きな感情です。言い方は、言う側の予想を超えて、言われた側にとても重要な影響を及ぼします。思わず発した言葉と言い方が、相手の感情を大きく左右するのです。

 家庭で交わす「おはよう!」といういつもの挨拶。毎日何気なく交わしていますが、ふと「あれっ??」と思う日があります。まだ眠いのか、体調が悪いのか、具体的な体調までわからなくても「いつもと違うな」と感じることがあります。短い言葉でも「しんどいな」「ねむいな」「だるいな」という感情が伝わるのです。毎日生活を共にしている家族だからこそ気づけることでしょう。

 中学受験という目標をもつことは、子どもにとって負担も少なくありません。おかあさんから見て「頑張っているな」と褒めたくなるときもあるでしょうが、「そんなことしてて大丈夫なの!?」と不安になるような行動を目にすることも多いものです。そんなとき、心配から怒りを感じるときもあります。しかし、そんなときのお子さんは、「やらなきゃいけないってわかってるんだけど・・・」と葛藤をしているのです。中学受験という目標をもつことは、子どもにとって支えでもあり、負担でもあります。「目標があるから頑張れる!」という順調な時期もあれば、目標に押しつぶされそうになる危うい状況もあります。きっとお子さんは、この二つの感情の中を行き来しながら、前に向かっているのではないでしょうか。

 受験生活は、目標を同じとする友達とともに過ごしています。友達は、仲間でありライバルです。時には、周りに敗けているように思えて感情が沈むときもあります。また、別の時には、「よし、やるぞ!」と感情が盛り上がるときもあります。この感情の起伏の中、心の底で支えてくれているのは、おかあさん、おとうさんの心のこもった言葉です。言葉で記すと「がんばれ」の一言に過ぎません。ありきたりにも受け取れる応援の言葉です。

 でも心の内には自分の中にしかない「がんばれ!!!!!!!!!」と万感の思いが込められた言葉です。おかあさん、おとうさんにかけられて嬉しかった言葉は?という質問を以前、弊社に通っている子どもたちにしたことがあります。すると、「がんばれ!」という言葉が一番でした。言葉として書くと同じですが、きっと子どもたち一人一人の心に残っている言葉は、音の高さや言葉のスピードなど、それぞれ違うと思います。

 言葉と言い方は、とても大きな影響を与えます。ぜひ褒めるときも、叱るときも、心を込めた言葉をかけてあげてください。中学受験という大きな目標に向かっていけるプラスの力を与えてあげてください。きっと、お子さんの学習の活力に大きな影響を与えるでしょう。

 

(yasumoto)

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