朝の欠食は成績に影響する?
11月 5th, 2013
“食欲の秋”真っ盛りですね。とは言え、大人は朝から“食欲モリモリ”の人は少ないと思います。お子さんはどうでしょう。毎朝朝食をしっかりとっておられるでしょうか。
以前、脳の栄養源であるブドウ糖は12時間しかもたないことをお伝えしたことがあると思います。(2011年9月20日に、「ゆっくり噛むと頭によいという話」というタイトルで掲載)今回はその続きです。
ご存知かと思いますが、脳の栄養源はブドウ糖です。しかし、脳はブドウ糖をつくることも貯蔵することもできません。その役目は肝臓が果たしています。
肝臓は、食事で摂取した栄養源をもとにグリコーゲンをつくって備蓄し、必要に応じてさらにブドウ糖に分解して脳に送っています。脳は、1時間あたり5グラムのブドウ糖を必要とします。肝臓が備蓄できるグリコーゲンの量は、約60グラムと言われます。
これをもとに計算すると、ブドウ糖は12時間で備蓄された量を使い切ってしまうことになります。ブドウ糖は睡眠中も消費されますから、夜8時に夕食をとったとして、翌朝の8時にはブドウ糖はあらかたなくなってしまうでしょう。もしも朝食を抜いたなら、たちまち枯渇状態に陥ってしまいます。これは子どもの勉強にとってよいはずがありません。
繰り返しになりますが、毎回の食事を通してつくられるブドウ糖の量は12時間分ですから、1日3度の食事は脳の活動にとって欠かせないわけですね。もしも毎朝朝食を抜いたとしたらどうなるでしょう。学校が始まった頃にはブドウ糖が不足し、脳の働きは鈍くなってしまうに違いありません。こうしたことが続くと、学業成績にも影響を及ぼすのではないでしょうか。
以下は脳科学の専門家の先生の著作からの引用です。
欠食、とくに朝食をとらない欠食と学業成績との関係について、小学4年生と中学1年生を対象にした調査(2005年)があります。この調査では、小学4年生で朝食を毎日食べる子が86.7%、食べない子が0.8%でしたが、主要4教科の正答率は「食べる子」が73.5%、「食べない」子が57.6%でした。一方、中学1年生で朝食を毎日食べる子が85.7%、朝食を食べない子が1.4%でしたが、主要5教科の正答率は「食べる子」が62.7%、「食べない子」が57.1%でした。この結果は、朝食を食べている子どものほうが学業成績がよいことを示しています。
やはり、脳に栄養が定期的に補給されないことは、学習成果に少なからぬ影響を与えるのですね。「3度の食事は、できるだけ決まった時間にとりましょう」とよく言われますが、脳に常に一定の栄養を送るためにもそれは必要なことなのですね。
また、夜遅くの食事もよろしくないという話をよく耳にします。前出の脳科学の専門家は、「日中は交感神経が優位に働くことにより、食べたものが活動のためのエネルギー源として盛んに使われたり、肝臓において新たに必要な物質に合成されたり、分解されるといった処理が行われます。しかし、夜は副交感神経が優位に働くことにより、食べたものは脂肪として蓄えられ、翌日起きてからのエネルギー源として使われるために蓄えられるのです」と述べておられます。
体内に蓄えられた脂肪が、エネルギー源として活用されればよいのですが、運動が不足すると脂肪が蓄積して肥満につながりやすいものです。子どもも、夜になってからファーストフードや甘いお菓子などを食べる癖をつけると、肥満のおそれが生じるのはもちろんのこと、体質の弱い人間になってしまいかねません。
なかには、パン一切れで朝食をすませる子どももいるかも知れません。しかし、これも脳に十分な栄養を送るためには望ましくありません。できるだけしっかりとした食事をするよう気をつけてあげてください。
朝食をとることの重要性については、さらにこんなこともあります。これも、先ほどの脳科学者の著作で紹介されていたことですが、朝食は子どもの脳の覚醒水準を高め、目覚めをよくするそうです。夜寝ている間の子どもは、栄養を体内に取り込むことも、水分の補給もしていません。翌朝起きてからまずもって必要なことは、食事を通して栄養やエネルギーを体内に取り込み、その日1日の始動態勢を築くことです。
今回は、3度の食事をきちんととることの重要性についてお伝えしました。小学生にとっての食事は、体づくりだけでなく、脳のキャパシティを拡充する意味においても大変大きな作用を果たすことになります。お子さんの毎日の食事に十分留意してあげてください。