子どもの計画実行力を高めるためには!? ~その2~
11月 14th, 2013
前回は、子どもたちに実施したアンケート調査の結果をお伝えしたところで終わりました。そこで今回はその続きを書いてみようと思います。
子どもたちは、決めた計画を守れるようになるためにどうすべきかをわかっています。それでいて守れないのです。これはどういうことなのでしょうか。
既に書いたように、どうすべきかについて、もう何度も何度も耳にたこができるくらいおかあさんからアドバイスをもらっているのでしょう。自分が心底現状を憂慮し、何とかしようと思っていれば変われるはずです。対策が親の指示によるものだと、理屈ではわかっていても体が動いてくれないのではないでしょうか。
実は、このことはある程度予測がついていました。おかあさんがたは一生懸命わが子を見守っておられます。いろいろ手を尽くしてアドバイスされているのは当たり前のことです。
そこで、次のワークでは、「子どもが言う計画通りにできない理由」「どうすれば計画通りに実行できるようになるかについての子どもの見解」をどう思うかについて、グループごとに話し合っていただきました。そして、改めて「親からどのような働きかけをすべきか」を話し合っていただきました。
さて、おかあさんがたの話し合いで、どのグループからも妙案が生まれたでしょうか。そうであることを祈りつつおかあさんがたの話し合いを見守りました。
残る時間はおよそ30分。この時間は、弊社からもヒントになりそうな情報を提供することに充てました。無論、すぐに状況が一変するような方法はそうそうありません。しかし、小学校の4・5年生といえば、まだまだ親の影響力が絶大な年齢にあります。親からの働きかけで子どもを変えることはできるはずです。筆者はそのことを念頭に置き、状況を変えるには、次の点に留意していただきたいということをお伝えしました。
1.親が思う以上に子どもにはプライドがあります。それを踏まえないと働きかけは功を奏しません。
2.子どものことを信じているというメッセージを、絶えず発信してやりましょう。
3.子どもを変えるには、とにかく辛抱と忍耐が必要です。特に、親の言うことがコロコロ変わるのは禁物です。
親がわが子に接するとき、特に改めてほしいことを伝えるときには、一方的に命じる言いかたや、子どもを批判する言いかたをすると、必ずといってよいほど反発を受けます。「ボクのことをダメなヤツと思っているのか」「私を信用していないの?」という思いが湧いてくるのでしょう。これに対して、「ちゃんとやらないから言っているのよ!」「口ばかり達者で、全然実行していないじゃないの!」などと切り返すと、もう子どもは聞く耳をもってはくれません。子どもにもプライドがあって、上から押さえつけられるような言われかたは我慢ならないのです。
やるべきことをやっていないわが子に対し、「わが子を信じているというメッセージを!」というのは矛盾しているかも知れません。しかし、そこが大きな問題ではないでしょうか。親がわが子を信じてやれないのに、子どもが親の期待通りのことをしようと思うはずはないのですから。
これは余談ですが、親がわが子を信用するということに関して、ふとあるお子さんのことを思い出しました。6年生の授業中、家庭勉強のことについて話をしていたとき、一人の男の子が筆者にこんなことを言ってきました。「ボクはね、おとうさんにすごく信用があるんだ。なにしろ、うちのおとうさんは信用金庫に勤めていますからね」――この言葉に思わず吹き出してしましたが、その明るい笑顔を見て、「きっと楽しく温かい雰囲気の家庭なのだろうな」と思いました。そのお子さんの成績はまずまずといったところでしたが、入試では驚くような好結果を得たことを今でも覚えています。
もう一つ。子どもが親の言うことを聞かなくなる理由のうち、最も大きくてしかも改めるのが難しい問題があります。それは、「親の言うことがコロコロ変わり、一貫性がない」ということです。考えてみれば当たり前のことですが、前回言われたのが「右を向け」だったのが、次には「左を向け」では、親を信用できるはずがありません。
こういうことが続くと、親が真剣に子どものことを思って言ったことでも、「どうせ、次は別のことを言うんだろ」としか受け止めなくなるでしょう。親は、子どものことに関しては「忍耐」と「一貫性」で臨む必要があるのではないでしょうか。
※またしても長くなってしまいました。続きは次回お伝えしようと思います。