子どもの計画実行力を高めるためには!? ~その3~

11月 18th, 2013

 先週から、後期第1回「おかあさんの勉強会」の様子や内容をご報告しています。今回がその最後です。

 勉強会の最後の30分では、お子さんの計画実行力を高めるための親からの働きかけについて、弊社から8つのヒントを呈示させていただきました。まずは、8つの項目が何かをお伝えし、それぞれについての家庭の状況をチェックシートに書き込んでいただきました、それをもとに、各項目の意味と意図をお伝えしようと思ったのです。8つの項目は以下の通りです。
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 この勉強会の対象者は小学校4~5年生をもつおかあさんです。この年齢のお子さんは、もう自分なりの考えをもっていますから頭ごなしは通用しません。

 しかしながら、いっぽうでは日本の子どもの場合、学習意欲の源泉になる最大の要素は、「親の期待」です。「子どもの意思」と「親の期待」は決して矛盾するものではありません。両者がうまく繋がるよう、親が上手に働きかければ、子どもは必ず親の期待に沿った行動を自ら選択するのです。こうした点を受け、チェックシートの項目の(1)~(3)は、子どものプライドを尊重してやり、親子の信頼関係を築きながら学習生活の活性化をはかろうという意図で設定しました。

 親、特に日本のおかあさんが子どもに対していかに強い影響力をもつかについて、痛感させられる実験結果があります。

 201311187~9歳のアジア系とヨーロッパ系の子どもたちを3つのグループに分け、ある実験が行われました。

 どのグループにも文字を使ったゲームのような課題に取り組ませたのですが、1つ目のグループには自分で取り組みたい課題を自由に選ばせました。2つ目のグループには、実験者が取り組む課題を指定してやらせました。3つ目のグループには、「きみたちのおかあさんが、この課題を選んだ」ということを伝えて取り組ませました。3つのグループの課題は、実は同じものでした。

 上のグラフは、課題終了後に与えた6分間の自由時間に、子どもたちが自発的に課題に取り組んだ時間の違いを表したものです。これを見ると、アジア系の子どもは「おかあさん選択群」の取り組み時間が圧倒的と言えるほど長いことがわかります。おかあさんの意向は、行動面において自分の意志以上の影響力をもつのですね。

 このことからわかること。それは、親の気持ちをうまく子どもに伝えれば、子どもはがんばるということではないでしょうか。そういった意味で、子どもの学習の取り組みを変えるチャンスは冬休みです。 なぜなら、冬期の講座からは学習計画の組み替えが必要になります。「一緒に学習計画を立てよう」ともちかけ、子どもの考えを尊重しながら、計画を共同で練り上げてはいかがでしょうか。お子さんがよい判断をした場合、「それ、いいね!おかあさんもそれがいいと思うよ」などと応じてやり、親の考えも織り交ぜながら冬の学習計画を立てるのです。そして、「今年の冬休みはがんばれそうだね!」と励ましてやりましょう。

 チェック項目の(4)(5)は、子どもの自律的姿勢を引き出すための配慮の例としてあげたものです。目標には“遂行目標”と“熟達目標”とがあります。前者は、テストで何点をとるとか、何番以内になるなど、結果が明白に分かる目標です。一方の後者は、「これからの2週間、学習計画をきちんと実行に移す」などの目標です。

 両者の違いは、前者が自分ではコントロールできないのに対し、後者は努力次第で誰でも実行できるという点にあります。子どもに自信を与え、実行力をつけさせるには、ちょうどよい熟達目標を子どもにもたせることがポイントではないでしょうか。これも親子で話し合い、当面の目標をお子さんの納得づくで決めるとよいでしょう。

 チェック項目の(6)と(7)は、親子の信頼関係を強化すること、家庭内を活気あるものにすることの重要性に鑑みて設けたものです。家族全員で守るルールのようなものを設け、声をかけあうような家庭のお子さんは、何でもエネルギッシュに取り組む前向きさがあります。また、親子で楽しい話に花を咲かせる時間が定期的に設けられている家庭のお子さんは、親の期待は何かを正面から受け止め、それを実行に移そうという姿勢が強いものです。

 子どもは、親を見て学んでいます。またもともと親の期待に応えたい、親に認めてもらいたいという願望をもっています。ですから、子どもは親とのやりとりがうれしければ、心のなかで「今、自分は何をすることが求められているのか」を自然と考えるんですね。

 最後の(8)ですが、これは日本の家庭の子どもが最も成果をあげられる学習の場が、リビングや茶の間であることを踏まえた項目です。詳しくは、このブログの過去の記事にあります(「“リビング学習”は日本人家庭に向いている?」2010.3.15)。この記事は、多くの人に読まれています。よろしければ参考にしてください。
 

 がんばりが利かなくなったお子さんを、見違えるように変える特効薬は残念ながらありません。それは、みなさんがいちばんよく知っておられると思います。親子といえども別の人間で、親の思い通りに子どもは動いてくれないのはしかたありません。

 しかしその一方で、お子さんは親なくして生きられないことをよく承知しています。親がいかに自分のことを心配してくれているかもよく理解しています。温かく、辛抱強く働きかけてあげてください。少しずつ、きっとお子さんはおとうさんおかあさんの期待に応えるべく、頑張りはじめることでしょう。

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