ほめかた次第で子どもは変わる! その2
12月 5th, 2013
今回も引き続き、後期第2回「おかあさんの勉強会」の様子をご報告しようと思います。勉強会のテーマは、「ほめかた次第で子どもは変わる」です。
前回は、この催しの前半をご報告しました。子どもをほめるということは、簡単そうで簡単ではない面があります。
たとえば、以前の記事でも書きましたが、「あなたのような優秀な息子をもって、おかあさんはうれしいわ」など、「~な子ども」というような形容でほめるのはよくないと言われています。
なぜなら、『優秀な子』という言葉に縛られ、常に「優秀だと思われる結果を残さねば」と、子どもが精神的に追い込まれてしまうおそれがあるからです。このように言われた子どもは、「課題を自由に選んでよい」とされたとき、失敗を怖れて易しい課題を選択するようになるなど、却ってその子の成長にとって好ましくない状況に至ってしまいます。
また、子どもの現状に不満があるとき(このケースが圧倒的に多いのですが)、ちょっと親が言いかたを間違えると喧嘩になり、つい「売り言葉に買い言葉」で、わが子を否定するような発言に及ぶことがあります。そういうときのおかあさんの言葉を、子どもは他のどんな言葉よりもよく覚えているものです。本意でない言葉が子どもを傷つけ、親子関係がギクシャクしてしまうといったようなことも、“なきにしもあらず”です。
親子は理屈を超えた愛情で繋がっていますが、互いの関係が近すぎることが揉め事の原因になりがちです。相手への思いやりや配慮を欠いてしまうのです。
おかあさんにしてみれば自分がお腹を痛めて産んだ子どもです。我知らず指示・命令口調になるのもわからないではありません。しかしながら、子どもも小学4~5年生ともなると自分なりの考えをもっており、親の言いなりにはなりません。ことあるごとに反抗するわが子をもてあまし、「うちの子をほめるなんて無理」と嘆いているかたはありませんか?そういうおかあさんは、「親の接しかたが、子どもの側からどう見えるか」を冷静に考えてみる必要があるのかも知れません。
ともあれ、「わが子には、立派な人間になって欲しい」と思うのが親というものです。「ほめることでわが子が自信をもち、何事にもがんばれるようになるのなら、何とかしてほめてやらねば」――そう思ってこの勉強会に来ておられるおかあさんもおられることでしょう。
さて、そこでわが子のどういうところを切り口にほめるかについて、弊社からいくつかの提案をさせていただきました。その内容は前回お伝えしましたが、どの方法においても根本にあるのは、子どもにOKサインを送って自信をもたせるという意図です。親ならではの観察眼で子どものよい点を見つけ、それを伝えることで自信とやる気を取り戻させようということです。
前置きが長くなってしまいました。弊社からヒントをお伝えしたところでストップしてしまいましたね。このあとはワーク2に移りました。このワークは、これまでに考えてきたことを踏まえ、「ほめ上手になるために一歩前進しよう!」という趣旨で行いました。
具体的には、ここまで一緒に考えてきたことを踏まえ、グループごとに反省点や気づきを話し合ってもらいました。そしてそのあと、「これから子どもをほめるにあたり、どんなことに留意しようと思うか」について、頭に浮かぶことをみなさんに2つ~3つ書いていただきました。書き終えたら、その内容を順番に発表してもらいました。全員が話し終えたら、最後に「何をどうほめたら、子どもが変わるか」について、自由に話し合う時間を設けました。
ここまでの流れで、ほとんどのおかあさんが気づかれたことと思いますが、ほめるという行為は子どもをコントロールするためにあるのではありません。ほめることで、子どもに自分のしたことのプラスの面にフィードバックを与え、子どもの内なる向上心を呼び覚ますためにあるのです。
小学校4~5年生の子どもは、まだ親を全面的に頼り、親への信頼の気持ちを失っていません。いつも口答えをしているお子さんだって同じです。今のうちにこそ、親はわが子をほめることで望ましい成長へと向かわせてやらねばなりません。また、わが子をほめてやることの必要性は、子どもが何歳になろうと必要なことであろうと思います。
ワーク2が終了したところで、次は子どもたちのアンケート結果の続きをおかあさんがたにご紹介しました。その内容は以下の通りです。
どうでしょう。アンケートには、子どもたちの本音がたくさん語られていると思います。アンケート結果を解説する際、校舎の責任者は、「『やればできるじゃないか』というほめかたは、自分達も普通にしていますが、子どもによっては嫌だと感じるんですね」と感想を述べていました。この記事をお読みのかたも、同じように思われたのではないでしょうか。
おそらく、これを書いたお子さんは「自分はできない人間だと思っているから、うまくやったときにそんなほめかたをするんだろ!」と言いたいのだと思います。子どもにもプライドがあるのです。親に自分を低く見積もられていると感じるから、そういうほめられかたはうれしくないのです。
また、「勉強のことをもっとたくさんほめて」という言葉がありますが、これは、「自分の勉強のプロセスをまるごと見ていて欲しい」という願望であろうと思います。成績だけでほめるのではなく、自分ががんばっているときには、それを見届けてほめて欲しいのでしょう。
子どもの本音を一つひとつ点検していくと、子どもは親に納得のいくほめられかたをしてもらうことを強く望んでいることがわかります。そのどれにも純粋な気持ちが感じられました。
最後は、子どもたちの本音に接したところで何分かみなさんで話し合っていただいて終了となりました。時間があれば、まだまだお伝えすべきことはあったのですが、忙しいおかあさんがたですから、弊社からの「補足資料(まとめ)」をお渡しして終了としました。その資料を以下にご紹介しておきます。
≪子どものモチベーションを高めるほめかた≫(PDF 982KB)
2回に渡って「おかあさんの勉強会」の様子をご紹介しましたが、参考になる点はあったでしょうか。ほめることは、親子間以外にも人間関係の潤滑剤として重要です。みなさんがほめ上手になれば、きっと周囲の方々のやる気に多大な影響を与えるでしょう。ぜひ、ほめて人を元気にしてあげてください。