成績に反映される学習の取り組み その2
3月 17th, 2014
5・6年部の学習がスタートして約3週間が経過しました。4年部の学習も開講して1週間になります。お子さんは、毎日の学習にしっかり取り組んでおられるでしょうか。
今回も、前回に引き続き身になる家庭学習のありかたについて考えてみようと思います。弊社は、受験勉強を通して、子どもたちが「自学自習」の態勢を築いていくことを、指導の重要な柱の一つに位置づけています。
以前(前々回の記事)お伝えしたように、自学自習の姿勢を確立することは大学で学ぶ目標の一つでもあります。社会に出てからの長い人生を充実させられるかどうかは、学びの自立を達成しているかどうかにかかっているからでしょう。小学生のうちにその基盤を築いておけば、先々に向けて明るい見通しが立ったと言っても過言ではありません。実際、数え切れないほど多くの卒業生が見事にそれを実現しています。
学びの自立を果たすうえで欠かせないのは学習の習慣づけです。習慣づけに成功するかどうかの鍵を握る要素の一つが、実行可能な、成果のあがる「学習計画」を立てることです。学習計画はお子さんの学年に関わらず、親子で一緒に立てるものだと心得てください。基本的にはお子さんが計画案をつくり、親がその妥当性について感想や意見を言い、そうして親子の話し合いで決定するのがよいでしょう。既に何度もお伝えしましたが、お子さんが「自分で立てた計画だ」と思っているかどうかは、計画の実行の度合いに大きな影響を及ぼします。
学習の習慣づけがうまく行くと、決めた時間になったらテキストを広げるのが当たり前のようになっていきます。そうして、勉強の流れができることで様々な恩恵がもたらされていきます。
まずは、机に向かうときの苦痛にも似た重たい気持ちが緩和されます。TVにしがみついたり、ゲームから手が離せなかったりと、なかなか勉強に取りかかれないお子さんが多いなか、決めた時間に机に向かえることは大変心強いことではないでしょうか。
また、これも何度か書いたことですが、勉強が習慣化されるにつれ、勉強の面白味が子どもなりにわかっていきます。それが学習活動に不可欠な「意欲」へとつながっていきます。勉強でよく言われるところの「意欲が先か」「習慣が先か」の問題は、間違いなく「習慣化することが先」なのです。
日々の家庭学習の方法に関しては、「学習の手引き」という冊子で基本的なことをお伝えしていますが、通学コースのお子さんには毎回の授業を通じて、「家庭で何をどう勉強すればいいのか」「効果的なノートのとりかた」などについて少しずつ指導していきます。当面は、指導担当者の指示に沿ってがんばってみてください。
そうして、一定の期間取り組んでいると、やがて「勉強とは、このようにやるものだ」というお子さんなりのスタイルが整っていきます。そこまでいけば、ほぼ受験生活は軌道に乗ったと言えるでしょう。これも、勉強が習慣化してこそ到達できることで、是非それをまずもって目標においていただければと思います。
これは、確たるデータを整えたうえでの話ではないのですが、早くから勉強の習慣をつけておくことがいかに重要なことかを思い知らされる情報があります。弊社の低学年部門には、「ホームワーク・コース」という家庭勉強で基礎学力の定着と学習の習慣化を図るコースがあるのですが、このコースを利用されたご家庭のお子さんの学力が非常に高いことに気づきました。
昨年の5年部会員のなかに約20名の出身者がいますが、彼ら彼女らのマナビーテストの平均点が驚くほど高いのです。しかも、4教科すべて好成績なのです。ある回では、4教科総合平均262点に対し、311点という高い平均点を示していました。これは、「学習の習慣を根づかせることの大切さ」を物語っているのではないでしょうか。このコースでは、「やり残しのプリントが溜まる」という理由で退会されるご家庭もあります。その一方、最後まで粘り強くお子さんを励まし、サポートしておられる保護者がおられます。それがこんなにもすばらしい成果を引き出しているのですね。
なお、これは通学コースについても同じで、指導担当者は「ホーム・ワークに、おかあさんの大きな花マルやほめ言葉がいつも書き込まれている家庭のお子さんは、1年間で見違えるほど力をつけていますよ」と報告してくれます。「親が子どもの勉強に関心をもち、熱心にサポートしてこそ、子どもの学習習慣はしっかりと根づくのだ」ということを教えられますね。
では、高学年になってからでは、親の応援は効果がないのでしょうか。そんなことはありません。4年生、5年生、6年生に限らず、小学生のうちは親の見守りと応援が欠かせないものです。
特に大切なのは、子どものノートを見ること。おそらく、親が満足するようなノートではないでしょう。しかし、気になる点を注意したり叱ったりする前に、是非お子さんの努力の跡を見届けてほめてあげてください。子どもの取り組みの様子はすべてノートでわかるものです。お子さんは間違いを自分で見つけ、その間違いを同じノートの別の場所でしっかりやり直しているでしょうか。授業での板書をきちんとノートに書いているでしょうか。調べたことがらをノートにメモしているでしょうか。
前述のように、未熟な小学生のことですからノートを見た親の大半は落胆します。しかし、そこからが親の重要な出番です。まずは子どもの取り組みを大いにほめてあげてください。そのうえで気になる点について、「これは、どうしてこんなふうに書いたのかな?」などと尋ねながら、修正すべき点に気づかせるのです。
無論、それ以前の問題として、「字が汚くて読めない」といった状態のお子さんもいるでしょう。その場合も、癇癪を起こして叱るのではなく、丁寧に書くよう繰り返し促してあげてください。随分前のことですが、6年生の秋になっても、ほとんど読めないような字を書くお子さんがいました。「一度、左手を机の上に添えて書いてみなさい」と言って書かせたところ、かろうじて判読可能な状態になったことを今でも覚えています(驚いたことに、彼は広島最難関の私学に進学しました)。頭の回転に、手が追いついていなかったのでしょうか。
ともあれ、ノートは子どもの学習の現実を映す鏡のようなものです。ノートがよければ子どもの勉強もよい方向に向かっていると思って差し支えありません。予習(5・6年)の段階、授業の段階、授業後の復習の段階、2週間のまとめ学習の段階、それぞれの段階の学習の様子が親にはっきりとわかるノートになるのが到達目標です。そこまでたどり着けば、必ず成果につながる勉強になっているでしょう。ノートに○(マル)がいくつあるかなど、問題ではありません。意味のある勉強の跡がノートに記されているかどうかが問題なのです。
今回も話が長くなってしまいました。今のうちに、学習の習慣づけをはかり、望ましい勉強のやりかたが身についたなら、入試対策の勉強の土台が築けたことになるでしょう。まずはそこをしっかりと固めていきましょう。