愛ある"声かけ"が子どもを動かす! その2
6月 26th, 2014
引き続き、前期第2回「おかあさんの勉強会」の内容と様子についてご報告します。第2回目のテーマは、「愛ある"声かけ"が子どもを動かす!」です。
前回は、テストによる評価、テスト成績を見ての励ましがもたらすマイナス面に着目したところで終わりました。日本の子どもには「学力はあるのに自信がない」という共通の傾向があります。その理由の一つが、テストで他者と比較されることだという指摘があります。日本では、小学校入学から社会への参入に至るまでのプロセスで数えきれないほどのテストがあり、子どもは常に成績や順位で評価されます。それが子どもから自信を奪っているのかもしれません。
本来、テストは学んだ成果を確かめるため、子どもの勉強に励みを与えるためにあるのですが、まかり間違うと自分の能力に疑念をもたせるという生憎な結果を招く恐れがあるのは事実です。
小学生の場合、自信喪失の原因を自分で見出して解決するのは困難ですから、そうした状況に子どもが陥らないよう大人がサポートしてやらねばなりません。特に、親はわが子に対して大きな期待を寄せていますから、親の思い通りの成績が得られなかったときの対応が重要になってくるでしょう。
そのことを踏まえ、弊社からおかあさんがたに右上のような三つの提案をしました。
同じ声かけでも、子どもにプレッシャーを与える逆効果の声かけもあれば、子どもに自信とやる気を吹き込む最高の声かけもあります。その違いがどこから生まれるのかを考えると、効果的な声のかけかたも見えてくるのではないでしょうか。
③愛は溢れるほどある。問題は子どもにどう伝えるかだ!
おかあさんがたの声かけの背景には、わが子への溢れるほどの愛情があります。子どもがやるべき時間になってもダラダラしているとき、つい大声で叱るおかあさんも、子どもの不本意な成績を見て思わず怒鳴ってしまうおかあさんも、わが子への愛においては誰にも負けていません。
しかし、重要なのはその溢れるほどの愛情が子どもにどのような形で伝わるかです。前述のように、4・5年生の子どもは、まだ大人のように客観的に現状を分析したり、先を読んで自分の行動を調整したりすることができません。また、何事もまだ親頼みで生きています。したがって、勉強への取り組みがどうであるかは親の関わりかた次第だと言っても過言ではありません。
そこで、今度は今の親の声かけを子どもたちがどう受け止めているか(4・5年部生対象のアンケート調査の結果を、おかあさんがたにご紹介しました。以下は、その一部です。
「おかあさんは、勉強についてどれぐらい声をかけてくれますか?」という質問に対して、「1日に何度も」が28%、「毎日」が40%、「ときどき(2~3日に一度)」が24%、「あまりかけてくれない(週一度くらい)」と「めったにかけてくれない」が、各4%でした。なお、答えてくれた児童は、各校で任意に選んだクラスの計326名でした。
子どもたちがおかあさんの声かけをどう思っているかですが、主なものをご紹介してみましょう。
4年部の子どもたちの声 ~声をかけてくれるおかあさんへ~
・毎日声をかけてくれてありがとう
・ありがとう!!
・おかあさんがつかれないよう勉強がんばるから、おうえんしてね
・成績が下がったときにおこらず、やさしいことばをかけてくれてありがとう
・もっとほめてよ!
・言われすぎるとやる気をなくしそうになるよ
・がんばっているときに口出ししないで
・おかしぐらい食べさせて
5年部の子どもたちの声 ~声をかけてくれるおかあさんへ~
・忙しいのに声をかけてくれたり、ノートを見てくれてありがとう
・ありがとう
・自分が大変なときに元気づけてくれてありがとう、がんばります
・いつもありがとう!これからもよろしく
・全部いっぺんに言われてもわからない
・あの…もう少しやさしくして
・厳しすぎる(じょうだんも交えて話してほしい)
・おこりすぎないでほしい
・心配しすぎ、声かけすぎ
・うるさすぎるから静かにしてほしい
感謝の言葉は多数ありましたが、ほぼ同じなので一部をご紹介しました。4年生と5年生では、反応が微妙に違いますね。5年生になると、おかあさんに対して批判的な目も育ってくることがわかりますね。
いずれにせよ、おかあさんがたはがんばってわが子に声をかけておられるようです。ただし、素直に感謝しているお子さんが多い一方、いろいろ言われるのはイヤ、うるさく叱られるのは歓迎しない、などの反応も多いようです。やはり、親の愛情をどう伝えるかで、声をかけられる子どもの気持ちも違ってくるのは間違いないようです。また、声かけの数は多いに越したことはないものの、多ければそれでよいというわけではなさそうですね。
④声かけの言葉に、「あなたを信じているよ」という思いを込めて。
子どもたちが、おかあさんからの声かけをどう受け止めているかをご紹介したところで、いよいよ声かけについてのまとめに入りました。「まとめ」にあたっては、まず声かけの原則を確認しました。それは、「おかあさんの言葉がすべて○○○思考に基づくこと」というものです。さて、○○○にはどんな言葉が当てはまるでしょうか。そう、カタカナの三文字です。
子どもが前向きになったときも、やるべきことができなかったときも、「プラス思考」に基づく声かけをすれば、子どもは喜んで耳を傾けることでしょう。おかあさんの言葉から、溢れるほどの愛情がにじみ出てくるからです。
ただし、親子関係は理屈を超えたものであり、我知らず感情に支配された言葉を発してしまうところが難しいんですね。そこで、ややしつこいかもしれませんが「べからず集」をあげて念押ししました。
1.親の理想を押しつけ、一方的に命令や小言を発する。
2.子どもの自尊心や人格を傷つける言いかたをする。
3.がんばれない子どもの気持ちや理由を推し量ろうとしない。
4.いけない点ばかりに目を向けた声かけをする。
では、「プラス思考」に基づいた親の考えかたや声かけとは、具体的にはどういうものでしょうか。
子どもは、自分がちゃんとやれているか否かにかかわらず、「自分を信じてもらいたい、自分をまるごと受け入れてもらいたい」という願望を強くもっているものです。ですから、ちゃんとできない子どもを親は叱るのではなく、「次はやれるよ、がんばってごらん。おかあさんは信じているよ!」といった具合に、どんなときもプラスの信号を送って子どもの背中を押してやることが大切だと思います。
そういうことを繰り返していると、どこかで子どもは本当にやり始めます。その日がいつ来るのか、親にはわからないのが辛いところですが、信じて待てば必ずそのときがやってくるのです。
ここまでおかあさんがたにお伝えしたところで、おかあさんがたに最後のワークに取り組んでいただきました。ワークのテーマは、プラス思考に基づく声かけの方法を一緒に考えてみよう!」というものでした。練習課題の例をあげてみましょう。
1.勉強の時間になったのに、子どもはテレビにかじりついている。
2.頑張ったのに成績が下がり、子どもがしょげている。
3.遊んでいたのに成績が上がり、子どもが浮かれている。
どうでしょう。「プラス思考」に基づいた声かけを意識すると、今までとは違った角度からの視点が見えてきませんか。頭ごなしに叱るのではなく、子どもを信じて発する声かけの仕方を練習してみてください。最高の答えというものは親子関係でそれぞれ違うでしょう。子どもが素直に耳を傾けたなら、それが最高の答えだと思います。
このワークの終了後、校舎の責任者から締めくくりの言葉をお伝えし、この日の予定を終了しました。