叱り上手が子どもを伸ばす! その2

12月 8th, 2014

 今回も前回に引き続き、2014年後期第2回目の「おかあさんの勉強会」の様子をご報告します。勉強会のテーマは、「叱り上手が子どもを伸ばす!」(副題:子どもの奮起を促す叱りかたの研究)となっています。

 前回は、わが子を叱ることの難しさの理由として、「冷静にわが子をたしなめるつもりが、いつの間にか感情を高ぶらせて怒ってしまうこと」を取り上げました。親子とは、直接血の繋がった極めて近い間柄です。それがゆえに、親はわが子が反抗してくると怒りがこみ上げ抑えられなくなるのですね。まさに「かわいさ余って、~」という状況になってしまうのです。

 しかしながら、いつも怒りの感情を子どもにぶつけていると、それが子どもの成長にダメージを与えることが心理学者の研究によって明らかにされています。そもそも、親がわが子を叱ろうとするのは、子どもをよりよい方向へ導くためなのですから、本末転倒と言わざるを得ません。

 そこで、「どうしたら怒らずに、冷静に叱れるだろうか」ということを、グループごとに話し合っていただいたところで、前回の記事を終えました。

③ 子どもが素直に耳を傾けるような叱りかたってあるの?

 前回、4・5年部会員生へのアンケート結果をご紹介しましたが、相当数の子どもが叱られると素直に自分を反省し、「ちゃんとがんばろう」という気持ちになっていることがわかりました。

 このことから、弊社の会員家庭のおかあさんは、総じて上手にわが子を叱っておられるご様子です。上述のワーク2での話し合いにおいても、よい意見や提案が出たのではないかと思います。

 こうした話し合いを受け、③では弊社から「子どもの素直な反省を引き出す上手な叱りかたとはどのようなものか」について提案をさせていただきました。ただし、単なるテクニックの伝授では、子どもの成長につながりません。そこで、後期1回目の勉強会でともに考えた「親の健全なリーダーシップ」という観点に立ち、子どもが聞く耳をもつような親の子育てスタンスを再び確認させていただきました。

 20141208a右の図をご覧ください。子育てには4つのスタイルがあり、それらは「あたたかさ」と「厳しさ」のバランスによって決まります。

 「あたたかさ」の度合いは、わが子にどれぐらい愛情を注いでいるかを示します。「厳しさ」の度合いは、親が子どもの生活をどの程度コントロールしているかを示します。

 たとえば、「あたたかさ」の度合いが強く、「厳しさ」の度合いが弱いかたは、「過保護」のカテゴリーに属すると判断できます。あなたもちょっとチェックしてみてください。どれに当てはまりますか?

4つのスタイルにつけられた名前を確認されれば、ある程度どのような基準で名づけられたかおわかりいただけるでしょうが、念のために4つの子育てスタイルについて簡単にご説明しておきましょう。

権威・・・子どもに十分な愛情を注ぎ、基本的に子ども自身のことは子どもの自主性に任せる。ただし、生活面で節度やルールの必要なことは厳しく守らせる。
脅威・・・子どもの意見に耳を傾けず、親が一方的に決めることが多い。子どもの気持ちは省みられないことが多い。行儀はよいが自尊心の欠ける子どもが育ちがちである。
過保護・・・子どもの要求を何でも叶えてやろうとする。子どものことを放っておけない。必要以上に子どもの意志を尊重するあまり、子どもに主導権をとられがちである。
放任・・・自分のことに注意が向かい、子どもに愛情を注ぐ余裕がない。親が仕事中心で子育てに時間をかけない場合も同様。自尊心が低く、問題行動を起こす子どもに育つ危険性がある。

 どの子育てスタイルが望ましいかは、もうおわかりでしょう。「権威型」の子育てです。あたたかさと厳しさのバランスがうまくとれているこのタイプの子育てなら、自主性があり、自己管理のできる自立した子どもに育つ可能性が高いと言えます。

 では、「権威型」の親の叱りかたとはどういうものでしょうか。子どもの自尊心を傷つけることなく、素直な反省心を引き出すような叱りかたがそれにあたるでしょう。ただし、一般論でやりとりしてもなかなかわかりにくいものです。そこで、この勉強会においては、どの家でもありそうな具体的シチュエーションを通して考えていただきました。

 それは次のようなものです。

おかあさんからの報告 (PDF)

 みなさんそれぞれに、「望ましい叱りかたはどういうものか」を考えていただくため、肝心なところは伏せさせていただきました。

 勉強会では、研太君のママがこの場面でどのように言ったのかを、「ワーク3」の課題として提示しました。みなさんもぜひご自身で考えてみてください。お定まりの効果のない叱りパターンではなく、研太君の素直な反省を引き出すためのポイントとしては、次のようなことが考えられるでしょう。

1.お互いに感情的にならないよう話す
2.研太の気持ちも汲み取る(勉強していたのに邪魔された)
3.どこがいけなかったのかをはっきり指摘する
4.研太への愛情が伝わるよう話す

 「どうしてここまで親が配慮しなければならないの?」と、却って憤りを感じるかたもおありでしょうか。いけないときに厳しく叱る。それで万事うまくいけばよいのですが、前述のように子どもの性格をゆがめ、社会的適応性を欠く人間にしてしまう恐れが出てきます。また、親を恨み、生涯ぎくしゃくした親子関係に陥ることもあります。よい親子関係は、親にも子どもにも一生の宝物です。子どもを木端微塵に叱るやりかたは何ももたらしません。

 答えの例としてはこんな具合でしょうか。「計画通り机に着いて勉強していたんだね。それなのに、弟が突然邪魔をしたんだね。だから腹が立ったんだ。研太の気持ちはよくわかる。でも、弟だってあの絵、一生懸命描いたんじゃないかな? せっかく弟が描いた絵を破るのはいけないことだと思う。わかるよね」

④ 子どもの素直な反省を促す叱りかた 3つのステップで叱ろう!

 ③では、「親に望まれるリーダーシップに基づいた叱りかた」を、具体的な場面を通して考えていただきました。最後に、それを踏まえて「叱るときの3つのステップ」をご提案しました。

 今回も大変なボリュームになってしまいましたので、3つのステップの流れを提示するのみとさせていただきます。
20141208b

 小学校の4・5年生は、ちょうど人格が定まってくる年齢にあります。そういう大事なときに、肉体的にも精神的にも負荷のかかる受験生活を送っているのだということを忘れないようにしたいものです。

 お子さんはそれぞれ自分なりの努力をしています。親からみれば十分な取り組みではないかもしれませんが、子どもの努力を認めてやりながら、修正すべきところを一緒に考えてやる。そういうスタンスで受験生活を応援してあげてください。きっと受験までのプロセスで、親の愛情をしっかりと受け止め、立派に成長されるに相違ありません。

Posted in アドバイス, 勉強について, 子育てについて, 家庭での教育, 行事レポート

おすすめの記事