わが子の受験生活をどう見守り応援するか

1月 26th, 2015

 広島県内の中学校の入試が次々に行われています。すでにかなりの数の中学校の入試が終了し、合格者の発表も終わっています。

 毎年のことですが、長い準備期間を経て、いざ入試本番を迎えると、そこからすべての日程を終えるのはあっという間のことです。この「あっという間」の入試を乗り越えるために受験生の子どもたちはどれほど努力を積み重ねてきたでしょう。ほんとうにお疲れさまでした。受験生のみなさんにとって、精一杯を尽くせた入試であったことを心から願うばかりです。

 なお、弊社会員の入試合格状況につきましては、間違いのないよう確認作業をしたうえでホームページにてご報告いたします。おそらく2月の第1週に入ったころになると思います。また、入試に挑戦した受験生のみなさんへの「お疲れさまでした」の言葉とともに、弊社の今年度の中学入試合格状況を新聞広告にてお知らせする予定です。これは、ホームページでの公表より少し後になろうかと思います(2月7日・朝日新聞と中国新聞に掲載予定)。よろしくお願いいたします。-

 さて、今回のブログですが、昨日の新聞折り込みチラシの記事についてお話ししようと思います。チラシのメイン記事は、「“成績”をほめるか、“努力”をほめるか」というものでした。まずは、その記事の全文をご紹介しましょう。

 子どもの奮起を促すために、「親はわが子をほめよ」と言われます。しかし、上手にほめてわが子の勉強を応援しておられるご家庭は意外と少ないようです。おたくではどうでしょうか。

 たいがいのおかあさんは「ほめています」とおっしゃいます。しかし、その割に子どもたちは、「ほめてもらっていない」という反応を示します。また、「ほめられても、あまりやる気にならない」といった声を耳にします。どういうことでしょう。

 おそらく、多くのおかあさんのほめ言葉には、「成績が上がったら」という但し書きがついているからではないでしょうか。進学塾では、どの子もよい点をめざしていますから、成績でほめ続けるのは無理というものです。そこを理解してやらねばなりません。

 子どもは親の本心を鋭く見破ります。「おかあさんは、僕の成績さえよければ機嫌がよい」「成績がよいときしかほめてくれない」と思わせると、子どもの勉強は活性化しません。そんな状態になってはいないでしょうか。

 そもそも、わが子をほめるという行為は“がんばりの対価”などではなく、“がんばりを引き出すため”にあるものです。この原点に立ち返り、わが子の少しの進歩も見逃さずにほめてやるべきではないでしょうか。また、努力すること自体が親の願いであることをわが子に伝え、テスト結果に関わらず取り組みに進歩が見られたらほめてやりたいものです。

 よい成績を取りたいのは何よりも子ども自身。子どもが前向きに日々の受験勉強に取り組み、テスト結果を恐れずに精一杯を尽くすには、背後で見守り応援する親の関わりかたが重要です。

20150126a「おかあさんは、どんな結果になろうと心から応援してくれる」――そんな受け止めかたをした子どもは、それこそ必死になってがんばります。なにしろ、中学受験期の子どもにとっていちばんの励みは、「親から寄せられる愛情と期待」なのですから。

 努力をほめられた子どもは必ずがんばります。親を信頼し続けます。

 このチラシ記事は、これからお子さんが受験生活を始められるご家庭にも、既に受験勉強を始めておられるご家庭にもお伝えしたいと思って書きました。お子さんの受験生活が終わるまで、親の見守りと応援の基本スタンスとして胸に留めていただきたかったからです。

 小学校中~高学年の子どもの学習意欲の源は、「親から寄せられる期待」です(このブログで以前もお伝えしたことがあります)。意外に思われたでしょうか。学習意欲は、本来学習対象との対決を通して得られるべきものです。今学んでいる事柄に内在する面白さを糧に、さらなる学習意欲を増幅させていくのが理想でしょう。こうして湧いてくる意欲は、いわゆる内発的動機に支えられたものです。内発的な動機づけによって湧いてくる意欲は、年齢を問わず非常に重要なものですが、この要素よりも「親から発信される期待」のほうが小学生にとっては影響力が大きいのです。

 また、目標をもち、その実現をめざす気持ちが学習意欲につながるということもあります。ところが、目標達成に向けた意識が学習活動の意欲を喚起するという流れは、小学生までの子どもにはあまり期待できません。受験勉強への意欲も同じで、中学入試が近づくころになってやっと頭をもたげてきます。目標達成に向けた学習意欲がいちばんの要素になるのは思春期以降のことです。これは、前回の記事でお伝えした脳の発達時期との関連で生じる現象です。

 さらに、子どもの学習意欲の源となる要素に賞罰(ほうびや罰)があります。なかには、「テストの成績が上がったら小遣いをあげよう」といった励ましをしているご家庭もおありかもしれません。しかし、この働きかけは効果が長続きしないうえ、年齢が上がるにつれて子どもの人間性の成長に悪影響を及ぼす恐れが生じてきます。20150126b「やるべきことをやっていたら大いにほめ、ほうびとして晩御飯に好物のメニューを加える」など、親の愛情が込められている「賞罰」もあります(かなりたくさんのご家庭が実践しておられます)が、これならよいかもしれません。

 以上である程度納得いただいたかと思いますが、小学生の学習意欲は親からの働きかけ次第と言っても過言ではありません。それは親の庇護のもとで暮らす年齢だからこそのことです。中学受験に備えて勉強をしている高学年児童は、もういっぱしのことを言い、親にも歯向かうことが多いものの、まだまだ親離れの時期に至っていません。親から自立していくプロセスにあるからこそ、親が愛情深いエネルギーを吹き込んで、勉強の取り組みを後押ししてやる必要があるのですね。

 ただし、親の期待を伝えるにあたって気をつけるべきことがあります。それは、子どもが納得し、親への信頼と尊敬につながる期待を差し出す必要があるということです。上記のチラシの文章は、そのことをお伝えするために書きました。

 親の期待は“成績”か、それとも“努力”か。それによって、子どもの意欲を喚起する度合いが変わることもさることながら、親への信頼や尊敬の気持ちに及ぼす影響が随分違ってくることでしょう。子どもが納得し、歓迎する期待を差し出すことが、親としての務めであろうと思います。目先のテスト成績を見てほめる親よりも、日々の努力を奨励し、努力を見逃さずにほめてくれる親。――そういう親を子どもは歓迎し尊敬します。

 また、そういう親のもとで受験生活を送った子どもは、中学進学後も努力する姿勢を失いません。子どもを思う気持ちに軽重などあろうはずがありませんが、「どう働きかけるか」についての方法次第で、子どもの心理状態や勉強への取り組みに大きな違いが生じます。

 これから受験を迎えるまでの学習生活は、それこそ「山あり谷あり」で様々な局面が待っていることでしょう。しかし、努力を奨励し、努力を見逃さずにほめて励ます親の働きかけがあれば、決して子どもは勉強を投げ出しません。子育てという側面からも、子どもの成長を大いに促すことができるでしょう。ぜひ、がんばっていただきたいと思います。

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