男の子の受験勉強を軌道に乗せる その1

3月 9th, 2015

 先日、校舎の指導担当者から、このブログを読んで活用してくださっているご家庭の話を聞き、ありがたい思いをしました。

 「継続は力なり」と、自らを励ましながら書いていますが、こういうフィードバックは書く者にとってとてもうれしく励みになるものです。そのご家庭に「ありがとうございます」と心のなかでつぶやきつつ、「これからもがんばろう!」と自分に言い聞かせているしだいです。

 そして、「もっとよい話、情報を発信できたらいいな」と思うのですが、現実は力が伴わず情けない思いをしています。「お役に立ちたい!」という気持ちだけはもっていますので、それが少しでもお読みくださる方々に届いたならうれしく思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 2015年度の5・6年部講座が2月17日(土)に開講したのに続き、3月7日には4年部の講座も開講しました。今回は、4年部の開講にあたって何か書こうかなと思いつつ、結局上記のようなテーマにしました。

 男の子は、女の子と比較して精神面の発達が遅れがちであり、小学生の段階では自分のすべきことを適切にコントロールできないことが多いものです。親はそうした点を踏まえ、冷静に対応したいところですが、とかく「自分の息子だけがこんな状態なのではないか」と思い込んだり、「男の子の一般的な発達状況はどういうものか」という視点を失ったりしがちで、イライラしたり癇癪を起したりしがちです。

 思い当たる節がおありのかたは、「男の子はこんなもの。わが子にふさわしい成長の流れをじっくり築けばよいのだ」いった気持ちで、辛抱強くサポートと応援をしていただくようお願いいたします。そうすれば、入試までハラハラすることはあったとしても、お子さんは親の期待に沿ってゆっくり確実に成長していきます。

 もちろん、親の適切なサポートがあれば、それだけ入試での見通しも明るくなっていきます。そこで今回は、男の子の受験生をおもちの家庭にいくつかアドバイスをさせていただこうと思います。

男の子の受験学習をどうバックアップするか20150309b

① 教科の学習を推進するための土台は読む力 →音読練習をサポートする!

 まずは、次のいくつかの項目にYESかNOでチェックを入れてみてください。

1.うちの子は本を読みたがらない。(YES  NO )
2.うちの子は本を読むが、読了までにとても時間がかかる 。
 ( YES  NO )
3.うちの子は本を読むが、あっという間に読了してしまう。
  ( YES  NO )

 1~3のうち、どれか一つでもYESがあったなら状況を改善する必要があります。まず1について。小学校中~高学年のお子さんは、本を読みたくて仕方ないのが普通です。本を読みたがらない理由は、本が嫌いなのではなく、活字の黙読力が育っていないため、読む作業がままならず苦痛なのだと思います。

 2が当てはまるお子さんも、おそらく黙読への移行がうまく言っておらず、そのために読む作業に難渋しておられるのだと思います。時間がかかるということは、うまく読めないということであり、理解もできていないことを意味します。このようなお子さんにまずもって必要なのは、快適に黙読できるようになることです。

 3が当てはまる男の子はかなりいると思います。こういう読みかたをする子どもは、本の筋立てに注意が傾いており、結末を早く知りたいために、途中の様々な仕掛けや面白い場面に気づかないまま読み終えてしまいがちです。飛ばし読みをしているようなものですから、早く読み終えるのも頷けますね。

 これらのいずれかが当てはまる男の子は、多くの場合国語の読解力で苦戦しがちです。3のような傾向のあるお子さんは、読みの速さゆえ表面的には読む力がありそうに見えますが、文章の細部の掌握ができないため、読解問題で難渋しがちです。また、雑な読み方が染み付いているため、どの教科の学習も「ざるで水をすくう」ような空回りの学習に陥る危険性が高いと言えるでしょう。

 20150309aそこで親は何をサポートすればよいかになりますが、筆者は1~3いずれの場合でも「音読練習」のサポートをお勧めします。確かで滑らかな黙読は、しっかりとした音読の繰り返しが土台となります。文字とそれに対応する音とを照合する作業が音読ですが、自分の出した声(文字の発音)を自分で耳で確かめることで、自分が滑らかで正確な音読をしているかどうかがわかります。

 「それなら親は必要ないじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、男の子が自覚的に音読に取り組んで成果をあげられればよいのですが、それが難しいのです。親が声をかけ、「ちゃんと読めるようになるかどうかは、音読を続けるかどうかで決まるんだって」などと説明し、当面聞き役を引き受けるのがよいでしょう。できれば毎日やってください。その代わり、時間は長くなくて構いません。15分程度で結構です。

 また、親の協力があったほうがよい理由として、「子どもが正しく正確に読むことだけに気を取られるあまり、著述内容にほとんど注意が向けられなくなるおそれがある」ため、読了後に親が内容について軽く質問をしてやる必要があります。内容を把握しながら正しく音読する習慣をつけるのです。

 もちろん、親子交代で読むのも楽しい時間になるでしょう。5年生ぐらいになると嫌がるお子さんもいますから無理強いする必要はありません。

 音読の効果は、平均して3か月ぐらいで表れ始めます。以前より読みが滑らかで正確になっているのが、親にも本人にもわかるようになります。それは黙読力が向上したことも意味します。黙読は、活字の連なりを目でとらえると同時に、文字に対応した声を脳内でイメージすることを言います。実際には声に出さない分、速く快適に読めるようになるわけです。

 黙読が快適に速くできれば、自然と子どもは読書へと目を向けるようになります。何しろ新たな知識に出合うのが楽しくて仕方ない年齢期にあるのですから。本を快適に読めればそれだけ読書は活性化しますし、本を通じた語彙獲得が進むといったように好循環が生じてきます。子どもの成長力はたいしたものですから、「音読なんて今さら」と思うべきではありません。4年生どころか、5、6年生だって黙読が上手でないお子さんは音読から巻き直すべきです。

 あまりにも当たり前のことですが、黙読が達者であることは、すべての教科の学習を快適にしてくれます。子どもが新たな語彙を獲得するにも、教科学習で新たな知識を獲得するのも「読む」という行為によりますから、学力をつけるにあたって最も基本となるのは「読む力」を強化することです。

 音読について書いただけで、大変な文字数になってしまいました。続きは次回書こうと思います。よろしくお願いします。

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