おとなになったら何になりたい?なってほしい?
4月 23rd, 2015
今回は、小学1年生になる子ども達を対象とした「将来就きたい職業」、およびその保護者対象の「将来就いてほしい職業」ランキングをご紹介したいと思います。こちらは、昨年もご紹介した、ランドセルメーカーとしても有名な化学繊維メーカーのkurarayが毎年実施しているアンケート結果の2015年度版(子ども・保護者各4000名対象)をまとめたものになります。
いかがでしょうか?
まず子ども達の「就きたい職業」をみていくと、ランキング上位には、男女とも昔から子ども達の夢として挙げられることの多い職業がズラリと並んでいます。自分が子どもだったころとは社会全体が大きく変化していますが、時代が変わっても子ども達の思い描く夢はそれほど変わらないというのを感じると、何だか少しほっとする気持ちになりますね(それだけ歳をとったのかもしれませんが・・・)。
この中で個人的に気になる点を挙げるとすると、女の子のランキングには、「モデル」「美容師」「ファッション・美容関係」など、“おしゃれ”に携わる職業が多く入っていることでしょうか。最近の子ども達は、服装や髪形にこだわりをもった子どもも多く、書店には小学生を対象にしたファッション雑誌も並んでいます。こうした影響から、目指す職業もそうした関係のものが多くなるのでしょう。
男の子のランキングにおいて気になった(驚いた)のは、「会社員」が1999年の調査開始から初めてランキング圏外になったということ。といっても、今年の調査で初めてランキング圏外になったことに対してではなく、これまで20年間近くもずっとランクインしていたということに驚きを覚えました。
「会社員」というと、職業の区分としては非常に広い範囲をカバーする表現ですから、この言葉ひとつで多くの職業を括れてしまいます。子ども達が「将来は『会社員』になる」というのは、具体的な職業よりも、どこかの会社に入ることが先に頭に浮かぶということなのかな・・・と思うと、何とも複雑な気分になるのは私だけでしょうか(子ども達には違う理由があるのかもしれませんが)。
もう一つ目を引いた点としては、「教員」の人気がやや盛り返している点でしょうか。
以前は男女ともにベスト10の常連だった「教員」も、昨年のランキングでは、女の子の保護者「将来就いてほしい職業」で第7位に入った以外は、女の子「将来就きたい職業」で第12位となり、男の子およびその親御さんのランキングにいたっては「ランキング圏外」となっていました。
それが、今年の結果では、女の子のランキングで第4位、男の子のランキングでも第17位に入っています。保護者のランキングでも、女の子の保護者では第5位、男の子の保護者でも第14位になるなど、子ども・保護者いずれのランキングでも男女ともに昨年より上位に入る結果となりました。
やはり教員は、「先生ってすごい」とか「自分もあんな風になりたいな」など、子どもから良い感情を抱いてもらえる存在にならなければ、子どもとの関係は良好なものになりにくいですし、指導の質そのものを高めることも難しいのではないかと思っています。ですから、子ども達の将来の夢としても「先生になりたい」という気持ちが高まるのは、とてもうれしいことだと思っています。
そして、保護者の方々の「就いてほしい職業」についてです。
子どものランキングと対比しながら見てみると、こちらは非常に現実的なものが多く(当然といえば当然なのですが)、なかなか興味深いものがあります。男の子の上位3つ(「公務員」「スポーツ選手」「医師」)と女の子第1位の「看護師」は、調査開始以来ずっとその地位をキープしていることからもわかるように、わが子に対する親の願いはみなさん共通するものがあるのだなあと改めて感じます。
どちらのご家庭でも、それぞれ様々な事情や親子の思いがあるものと思います。親としては、色々な心配や不安がある一方、とても楽しみな気持ちがあるのも事実。いずれ将来の職業について真剣に話し合うべき時がきたら、どれだけ親の思いがあったとしても、できるだけフラットな気持ちで子どもの希望を聞きたいものです(そこで色々悩むことになるのかもしれませんが・・・)。
「親の背を見て子は育つ」と実感することも「親の心、子知らず」と悩むこともあると思いますが、子どもの気持ちを聞いて励ましながら、そっと背中を押してあげるぐらいの心の余裕をもっていられたらいいですね。
(butsuen)