子どもの社会性を育む父親のタイプって?

6月 15th, 2015

 6月中旬は、内外部向けの行事が目白押しです。夏の講座の申し込みの受付が始まったことと相まって、慌ただしい毎日が続いています。

 今週の金曜日(6月19日)には、西区民文化センターで保護者向けイベントを二つ予定しています。午前は低学年児童の保護者を対象とし、午後は高学年児童の保護者を対象としています。どちらも弊社の通学生家庭かどうかを問いませんので、興味をもたれたかたは、ご都合がつけばぜひお越しください。いずれも予約や申し込みは不要で、無料となっています。

 以下に簡単な要項を記しておきます。なお、当HPに詳しい案内がありますので、よろしければそちらをご覧ください。

1.「夏のおかあさんセミナー」
 実施日時/6月19日(金)10:30~11:50
 対  象/小学1~3年生児童の保護者
 会  場/西区民文化センター3F会議室A
      (広島市西区横川新町6-1)
 主な内容/夏休みの有効な過ごしかたについて(提案をします)

2.「学びの飛躍をこの夏に!」
 実施日時/6月19日(金)13:30~15:00
 対  象/小学4~6年生児童の保護者
 会  場/西区民文化センター3F会議室AB
     (広島市西区横川新町6-1)
 主な内容/夏休み活かして受験態勢を整える方法について(提案をします)

 さて、今回の記事ですが、久々におとうさんにスポットを当ててみました。先日、教育学者の著作に目を通していたら、おとうさんの生活スタイルや人物的な特徴が、子どもの社会性の育ちに影響を及ぼすという調査結果が紹介されていました。小学生ぐらいのお子さんをおもちのご家庭に参考になるかもしれないと思い、今回はそれを話題にとりあげた次第です。

 父親と子どものコミュニケーションについて、ある大手の教育関連団体がアンケート調査を行ったことがあります。アンケートの対象は子どもで、父親との関係をいくつかの質問によって調査し、その結果を分析したところ、「父親のタイプと、子どもの社会性の育ち」に一定の関連性が見出されたそうです(質問の内容は割愛させていただきます)。

 おとうさんの人物的な特徴は、次の4つにカテゴライズされています。

1.優しいパートナータイプ
2.はつらつエンジョイタイプ
3.堅実で仕事重視タイプ
4.厳しいリーダータイプ

 さて、この4つのうち、子どもとのコミュニケーションが良好で、社会性の育ちにプラスの結果をもたらすのはどのタイプのおとうさんだったでしょうか。まずは、みなさんで最も良好と思うものから順番をつけてみてください。4つのタイプのおとうさんの子どもとのコミュニケーションの取りかたを想像してみると、よりわかり易くなると思います。ちょっと、それを書いてみましょう。

1のタイプ…親から一方的に命令するのではなく、何でも話し合ったり相談しあったりして、家庭におけるよいパートナー関係を子どもと築くおとうさん
2のタイプ…仕事一辺倒ではなく、自分の娯楽や趣味、スポーツなどの楽しみをもち、いつも溌剌と人生を謳歌しているおとうさん
3のタイプ…何につけ仕事を第一に考え、子育てはどちらかというとおかあさん任せ。家庭を顧みるよりは、仕事優先的な生きかたをしているおとうさん。
4のタイプ…かつての家父長制に基づいた日本社会で多く見られたおとうさんのタイプ。何事も父親が決め、子どもには服従を強要する。

 このように考えてみると、子どもの社会性を育てそうなおとうさんのタイプは、はっきりとしてきませんか?3のタイプは、子どもとの接触時間が限定されがちですし、4のような専制君主型のおとうさんでは、子どもとのコミュニケーションがそもそも成り立ちません。

 残りの1と2は、子どもと関わる時間が十分にありそうに思えます。ではよりコミュニケーションが取りやすいのはどちらでしょうか。1は何かにつけ、おとうさんが子どもを一人前の人間として扱い、子どもに関することは何でも話し合います。おそらく、毎日コミュニケーションが頻繁に行われるでしょう。いっぽうの2のタイプのおとうさんは、子どもを連れてレジャーやスポーツを楽しむこともあるでしょうが、自分だけの楽しみを優先することも結構ありそうですね。

 さて、アンケートに基づく結論はどうだったのでしょうか。子どもの社会性を育てるおとうさん像は、1→2→3→4という順になったそうです。

 前述のように、この記事はある教育学者の著書で紹介されていたアンケートの結果をもとに書いています。その教育学者は、家父長的な4のタイプのおとうさんが順でいちばん下になった結果を受け、次のようなことを書いておられました。

 かつて、そうした恐怖主義的な父親でも、子どもがそれなりに健全に育っていったことはあったとは思う。それは、ひとつには、法的にも父に権力が与えられていたという法的バックアップがあったからであり、もうひとつは、父親以外に多様な大人・子ども関係、あるいは子ども・子ども関係を築き得たからであった。社会性が育つきっかけがもっとたくさんあったのである。

 しかし、現代社会では、育児は地域の営みというよりは各家庭の個別的な営みと化しているし、実際には父親があまりに育児に参加せず、女性が専一的に担っていて、育児は明確に女性化している。また、父親の権力に法的なバックアップがあるわけでもない。社会の変化が速くて先が見えにくく、子どもには父親がモデルにならない。そうした社会的・文化的な文脈の変化があるため、恐怖主義的な対応を父親がとっても、子どもは父親を尊敬しないし、本当の権威も育たない。このことがデータではっきり出てきたのである。

 絶対的な権威に支えられた父親像が崩壊した今日、1のような子どもと積極的にコンタクトをとるようなおとうさんのほうが、親子関係が良好で、子どもの社会性も育ちやすいということのようです。

 かつての社会においては、絶対君主的にふるまうおとうさんのもとでも子どもの社会性は育ったと言われます。それは、子どもが地域社会のなかで育てられるという一面があったからだと指摘されています。筆者の幼いころは、近所にどのようなおじさんおばさん、おじいさんおばあさんがいるかをよく掌握していましたし、またそのような人との交流が頻繁にありました、近所の幼なじみ集団での遊びも毎日のようにありました。そういった生活のなかで親子関係とは別の形で子どもの社会性は育っていたのでしょう。

 そう言えば、弊社の低学年部門の「親子授業体験会」や「説明会」「イベント」などでは、かつてよりもおとうさんの参加、夫婦での参加が目立つようになりました。子どもの教育をおかあさん一人に委ねるのではなく、おとうさんも積極的に加わる、あるいは夫婦共同でという時代になっていることを裏付けているように思います。

 無論、シングルマザー(シングルファーザー)の多い今日ですから、子どもの社会性を育てるためのアプローチはより多岐にわたっていることでしょう。弊社の催しに、おじいさんやおばあさんの参加が結構ありますが、おとうさんやおかあさんだけではフォローできない場合は、そういう方法もあってよいのだと思います。

 先ほどの教育学者の著述にあったように、「育児が地域の営みというよりは個別的な営みと化している」時代にあっては、父親は絶対的な権威者として君臨するよりも、よい生活パートナーとして子どもに寄り添い、子どもとのコミュニケーションを大切にすることが求められているのは間違いありません。おたくではどういう状態になっているでしょうか。

 今回の記事がみなさんのご家庭の現状を振り返るきっかけになれば幸いです。

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