学びの飛躍をこの夏に! その1

6月 25th, 2015

 6月19日(金)には、西区民文化センターで二つの催しを行いました。午前は低学年部門の主催による「夏のおかあさんセミナー」、午後は高学年部門の主催による「学びの飛躍をこの夏に!」と題する催しです。

 「夏のおかあさんセミナー」については、6月22日(月)に他の者が本ブログでご報告しました。そこで、筆者のほうは高学年(4~6年生)の保護者対象行事として開催した、「学びの飛躍をこの夏に!」という催しのおおよその内容をご報告しようと思います。

 20150619_snap「学びの飛躍をこの夏に!」という催しの呼称は、入塾の説明会(入会ガイダンス)、会員保護者への情報提供(保護者説明会)などとは異なる提案型のイベントです。夏休みという時期を、子どもの成長のよき節目として活かすことをご提案しようという趣旨に基づいて考えました。

 ただし、このような趣旨で内外部対象の催しをするのは初めてであり、終了した今も「果たしてお役に立てたのだろうか」と半信半疑の面持ちでいます。ご来場いただいた保護者の方々に、少しでも夏休みに向けての指針と意気込みをお届けできたなら幸いです。

 この催しは、三つのパートで構成しました。それぞれのパートのテーマは以下の通りです。

Part.1 人生の歩みの基盤は小学生時代に築かれる
Part.2 夏休みを起点に、子どもの学びを軌道に乗せよう!
Part.3 子どもの学習は親しだい!

 パート1と3を筆者が担当し、2は三篠校と広島校の校舎長に担当してもらいました。以下、各パートのおおよその内容をこれからご紹介します。

 まず、パート1の「人生の歩みは小学生時代に築かれる」から。小学生時代は、子どもの人間性や生きかたの特性が明確になる時期です。小学生の頃に繰り返し体験したことは、その人間の人生の歩みの基盤になり、後々までも多大な影響を及ぼします。中学受験準備の学習は、そういう重要な時期に行われるのだということを大人は忘れてはいけませんし、受験生である子どもの学習も、そのことを大前提にして行われるべきだと私たちは考えています。そこで、次のような事柄をお伝えしました。

大人の視点
 「どんな勉強と生活で受験を乗り越えるか」

 「将来の大成につながる受験勉強、受験生活とはどういうものか」を考え、子どもの人間としての器を育てることを忘れないよう配慮しましょう。受かることだけに偏重すると、先々伸びるものも伸びなくなってしまいます。その判断をするのが大人の役割です。

子どもの視点
 「受験生活で培った、“自ら学ぶ姿勢”が将来の生きかたを決める」

 自立した学びを実践すれば、先々も勉強で困ることはありません。子ども自身が「自分のための勉強だ」という意識で積極的に取り組む受験勉強を実現させましょう。

夏休みという時期
 「受験生活の開始にも、態勢の立て直しにも最適の時期」

 ①と②を踏まえ、夏休みという時期が受験勉強をスタートさせるにも、受験勉強の巻き返しを図るにもよい時期だということをお伝えしました。40日という長い休暇は他にありません。この期間を上手に活かせば、しっかりとした受験態勢を築くことができます。

 パート1の話を枕にして、パート2では、現場を預かる校舎長から夏休みの学習で成果をあげるためのお話をさせていただきました。

 まず、三篠校の校舎長の杉原から、「夏休みの講座の位置づけや特徴」と、「夏休みにめざすべき学習成果とはどのようなものか」についてお伝えしました。

 夏休みの講座は、各学年とも2種類あります。前半が「夏期講座」(6年生は「中学受験夏期講習」)、後半が「夏期集中特訓」です。このうち、初めて受験勉強をするお子さんは「夏期講座」のみ受講するのが望ましいということをお伝えしました。なぜなら、これまで学習した広い範囲の総復習と学力の底上げを図る「夏期集中特訓」は、初めてのお子さんには一度に学ぶ量が多く範囲も多岐にわたるため、負担が大きすぎます。その点、夏までの学習範囲を引き継ぎ、単元ごとに丁寧に学習を進めていく「夏期講座」のほうが、受験態勢を一から築こうとするお子さんには適しています。

 それから、夏休みは年間を通じて最も暑い時期ですから、勉強時間や勉強量を増やすと逆効果を招く恐れがあります。したがって、「夏休みの受験対策は、学習の態勢づくりに重点を置き、学習時間は短くてもよいから集中してやるほうがよい」ということを保護者にお伝えしました。

 「まずは学習の態勢づくりから」と申し上げると、「そんな悠長なことで志望校へ受かるのか」と心配される向きもあるかもしれません。そこで杉原から、「努力の積み重ねこそ、天才への道である」ということをお伝えし、まずは努力を惜しまぬ姿勢を築くことの重要性を強調しました。「天才と呼ばれるほどできるお子さんを見た経験がありますが、資質面で圧倒的に優れていたわけではなく、また特別難しいことをひたすらやっていたわけではありません。やるべきことをちゃんと努力してやり遂げる子どもでした」という事例をご紹介しました。

 「天才」とは、誰にもできることを、誰にもできないほど継続して取り組んだ人のことです。つまり、「努力者に与えられる称号」なのです。「天才は努力する人」という視点のもと、保護者にはこれからお子さんをサポートするにあたり、努力する姿勢を応援していただくようお願いしました。

 三篠校の杉原の話に続き、次は広島校の校舎長である三里から、この夏休みの学習に向けて提案を二つさせていただきました。

 一つ目の提案は、「夏休み前に、“小さな目標”を掲げましょう」というものです。目標は、「全教科平均点突破」など、努力の継続を通して達成できるようなことでもよいし、「夏期講座の授業の復習を必ずやる」など、日々努力すべき事柄を掲げても構いません。夏休みの学習を実りあるものにするためには、子どもに具体的な目標をもたせることです。人間は目標をもつと変わります。そのことの根拠として、次のような話をしました。

 目標をもつことに関して、40年余りにわたる大掛かりな調査でわかったことがあります。「人生の成功者になれなかった人」が87%、「人生は成功だった人」が10%、「人生は大成功だった人」が3%でした。

 そのうち、人生が成功ではなかった87%の人たちは目標をもっていませんでした。「人生が成功だった」10%の人は目標をもっていました。「人生は大成功だった」3%の人は、目標を紙に書いていました。

 「作戦会議」という言葉は、小学生ぐらいの子どもに刺激を与えるらしく、よい反応を引き出します。「夏休みの勉強で成果をあげるための作戦会議をしよう!」と親から話を持ち掛けていただくようお願いしました。

 ただし、子どもが目標達成に向けた努力を継続するのはなかなか困難が伴います。そこで、目標達成の推進力となるものを考える必要があります。この推進力となるものとして、「3行日記」をつけることをご提案しました。日々の取り組みの様子を、3行の日記で綴るのです。3行日記には、以下のことがらを書き入れます。

・1行目…その日の取り組みの結果(何をどれだけやったかという事実)
・2行目…成果と反省点(その日の振り返り)
・3行目…明日に向けた決意(より高みをめざして意気込む)

 たくさん書くのではなく、1項目1行である点がミソです。これなら小学生でも続けられるでしょう。1行目には、その日の勉強の結果を書きます。よいこと悪いことに関わらず結果を書くのです。2行目には、成果を感じたこと、反省したことを簡単に書き入れます。そして3行目には、明日に向かっての決意表明を綴るのです。

 作戦会議において、親は「自分の可能性へのチャレンジだ。がんばってみよう!」と励まし、「夏休みの目標」を掲げること、「3行日記」をつけることを提案します。親は目標を達成するための努力を見守り、定期的に3行日記を見てアドバイスすることを約束します。

 こういう話を子どもにもちかけるとき、「どうせ親は、何かあると叱ったり命令してきたりする」と警戒されてしまうと、最初から躓いてしまいます。結果(成績アップ)だけ期待しているのではなく、「決めたことをやり切ろうとする姿勢」「前より進歩することをめざして努力すること」を親は心から願っているということを子どもに伝えてやることが必要です。夏休みの勉強が始まってからも、注意や叱責の繰り返しではなく、建設的な言葉かけや励ましを心がけるようお願いしました。

 さて、この夏休みの目標達成に向けた取り組みは、「ひと夏の冒険」に見立てることもできるでしょう。以下の絵をご覧ください。
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 冒険には困難がつきものです。三行日記の1行目にも、「がんばれなかったこと」が書き入れられることもあるでしょう。そうした困難を子どもが乗り越えるプロセスが、3行日記の2行目と3行目です。親は、子どものこの小さな冒険を温かく見守り、必要なときには力強く励まします。もしかしたら、くじけそうになること(大きな試練)もあるかもしれません。しかし、この冒険には親という心強い味方がいます。わが子が冒険の主役として輝くよう、名脇役として抜かりないサポートをし、この小さな冒険は見事大団円を迎えるにいたります。

 そうして、夏休みの終わりには見事がんばり通した自分を振り返る。そこまで行けば、間違いなくお子さんは以前のお子さんではありません。一段と成長した姿がそこにあることでしょう。目標を見事達成した暁には、家族全員でご褒美のイベント(家族全員でおいしいものを食べに行くなど)を催してはどうでしょうか。

 当日は、広島校校舎長の三里から、以上のような提案をいたしました。

 今回は、とりあえずこのあたりで終わり、続きは次回ご紹介しようと思いまます。よろしければ次回もお読みください。

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