ご家庭でもいろんな体験活動を
7月 13th, 2015
通常は数多くの習い事などで忙しく過ごしている子ども達も、もうすぐ始まる夏休みは、比較的まとまった時間をとりやすいと思います。特に受験までまだ間のある低学年期には、ぜひご家庭でも体験活動・体験学習の場を設けてあげてください。
あらためて言葉にすると何か特別なもののようですが、それほどかしこまって考える必要はありません。どんなことでもどんな場所を訪れても、少し工夫して子どもにとって心に響くものになれば、立派な体験活動になります。
例えば、夏休みに家族みんなで旅行に出かけるというご家庭も多いのではないでしょうか。こうした家族旅行も、子どもにとってはこれだけで非常に大きな経験の一つといえます。
初めての場所を訪れるというのは、出発以前からその土地を思い描くだけで心が躍るほど、子どもにとっては大いに刺激的な経験です。こうした機会を活かし、ひと工夫してみましょう。準備から片付けまで全て親がやってしまって、子どもはそれに乗っかるだけ・・・というのではなく、訪れる前に旅行先の地図や資料を準備して、その土地について親子で色々調べる機会を設けてみてください。そうすることで、実際に現地に到着してからも、「やっぱり思っていた通りだった」とか「地図を見て予想していたのと全然違うね」などと感想を述べあうことができますから、家族旅行の楽しみを一層膨らませてくれるはずです。
高学年であれば、家族旅行の計画や準備をお子さんにやってもらうというのも非常によい勉強になりますが、低学年の子の場合にはまだ少し難しいですから、旅行の計画を立てる段階から帰宅した後の振り返りまで、極力親子で一緒に考えるようにしてみてください。それによって、単に「旅行先での出来事が楽しかった」というだけでなく、その旅行に関する一連の流れ全てが大切な思い出になることでしょう。それが結果として、重要な「体験学習」にもなるのです。
また、家族旅行のような特別な行事だけでなく、毎日の生活の中でも取り入れることができます。例えば、
・週末に家族でデパートや娯楽施設などに出かける
・お父さんと一緒に日曜大工で何かを作ったり修理したりする
・お母さんと一緒に近所のスーパーまで買い物に出かける
・昼食や晩ご飯の準備を親子で一緒にする
・・・など身近な例を含めれば、日常の中には非常に多くの体験活動があふれています。
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、上に挙げたような活動の大半は、いわゆる家庭での「お手伝い」として挙げられる内容とほとんど同じものです。つまり、日常的に子どもがお手伝いをしているご家庭では、毎日自然な形で体験活動を積み重ねることができているということにもなるわけですね。
以前、低学年の保護者の方向けの催しでも、「お手伝いのススメ」と題してお話しさせていただきましたが、子どもが日々の家事に参加することは、家事のスキルを身につけられることはもちろんのこと、擬似労働を体験できる、主体性や協調性など社会性の獲得につながる、周囲の人達への感謝や奉仕の精神を育てることができる・・・など、子どもにとって貴重な成長の機会になります。
実際に自らが経験してみて初めて、その難しさや楽しさ、普段お母さん・お父さんがやってくれていることのありがたみに気がつくということは大いにあるはずです。これをきっかけに、新たな分野に興味をもつようになることもあるでしょうし、それまで気づかなかった能力や才能が芽吹くことにつながるかもしれません。
忙しい生活を送っていると、ついつい「手間や時間がかかるから、親がやってしまおう」と考えてしまいがちですが、買い出しや夕食の準備にはできるだけ子どもにも役割を与える、大工仕事の際には子どもにも声をかけるなど、様々な経験をできるようぜひ積極的に参加させてあげるといいですね。
最後に、家庭で親が子どもに働きかける際に気をつけたいポイントをいくつかご紹介します。
① 子どもに自分のこととして考えさせ、やるかどうかは子ども自身が決める
→「親にやらされる」という思いを抱かせない(場合によっては、親が上手に誘導することも必要かもしれませんが・・・)
② 最初に手順や方法などをわかりやすく説明して、親子で一緒に取り組む
→親の気が向いた時だけ細切れに指示するのは×
③ 親が望むような働きができなくても、感情的に叱ったりしない
→一生懸命取り組んでいれば、その姿勢を認めることも必要
④ 機を逃さず、こまめに褒める
→子どものモチベーションを維持し、より高める
長期休暇に家族で行く旅行も日常生活でのいろんな出来事も、子どもにとっては一つ一つが貴重な体験になっています。ただし、それが子どもの中でより良いものとして根づくためには、お母さん・お父さんも含めた家族みんなが楽しく過ごしているということも重要な要素の一つ。上記のようなポイントを押さえつつ、いつも子どもと一緒に楽しもうという気持ちをもっていただいて、「こんな面白いことがあるんだけど、一緒にやってみようよ」と声をかけるというのが、家庭での望ましい「体験学習」の形ではないでしょうか。
(butsuen)