内向型の方がリーダーに向いている?

7月 18th, 2015

 夏休みを迎えるということで、ここ最近の低学年向けの記事では、自由研究や体験活動などについて書かせていただきました。実際、「この夏休みには、わが子をいろんな所へ連れ出したり、色々行事に参加させてみよう」とお考えの方も多いと思います。
 しかし、同時に「うちの子は初めての場や集団の中で、ちゃんとやれるかな?」という点を気にされる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 どうしても、集団場面での「リーダー」として振る舞うのは、身体や声の大きな子どもの場合が多く、身振り手振りで周囲に指示を出す子どもの方が存在感を発揮するものです。「うちの子は引っ込み思案で・・・」という場合、わが子が一人で静かに考え込んでいる姿を目にすると、「新しい環境で色々経験させたいけど、大丈夫かな?」「みんなの前でもっと積極的に動けばいいのに」などと、心配や不安を募らせる方もいらっしゃることでしょう(私もその一人です)。

 これに関連して、先日ある記事で、興味深い実験結果を目にしました。
 それは、「乳幼児期に外部からの刺激に対して高い反応を示す子どもほど、その後は成長とともに内向的・内省的な傾向を示すことが多い」というものです。
 ここでは、「先天的な資質として外部情報に敏感に反応できる高い能力をもった子どもほど、受け取った情報を綿密に構造化して深く内面化しようとする傾向があるため、自然と内向的な姿勢が築かれていく」ことが理由として示されていました。確かに、雑多な情報が飛び交う中で、鋭い感性で重要なものだけを選り分けて受け取り、それについて時間を掛けてじっくり考えながら深く理解することができるという点は、人として社会人として大成するためには非常に重要な要素です。
 一般的な「リーダー」の姿としては、カリスマ性などのイメージとも結びついて、明朗闊達で何事にも物怖じせず、大きな声で皆を引っ張って・・・という人物像を思い浮かべられることと思います。しかし、それは対外的な一面のみを捉えたものに過ぎません。この記事によると、実際に世界的に著名な「リーダー」達は、大勢の前で演説する力強い姿とは別に、本当は物静かで思慮深く内向的・内省的な性格の人の方が圧倒的に多いのだとか。また、ニュートンやアインシュタインなど科学技術に革新的な発展をもたらした人達も、ほとんどが内向的な性格であると紹介されていました。
 念のための補足ですが、ここでいう「内向的」とは先に書いたような意味であって、単に内気であるとか社会性に欠けるといった意味ではありません。どんな性格であっても、周囲の意見に耳を傾けて理解した上で、自分の意思をきちんと伝えることができるという点は、リーダーシップの発揮に関してはもちろんのこと、集団生活を送る上で欠かせない能力であることは言うまでもありません。

 小学校低学年の時期は、それまで全面的に親に依存していた部分に関して、少しずつ「自分でやりたい」という考えが強くなる時期でもあります。これまではお母さんお父さんがついてくれているという安心感の中で過ごしてきた子も、いざ「自分で」と考え始めると自然と慎重になり、何事にも思慮深くなっていくのは、健全な成長の証であるともいえるのではないでしょうか。
 わが子が物静かで大人しく、親が思うようになかなか人前に出ていってくれないとお悩みの方がいらっしゃったら、もしかしたら、それはお子さんなりに頭の中で静かにしっかり考えを巡らせているところなのかもしれませんよ。
 時には背中をたたいて勇気づけることも必要ですが、いつも「しっかりしなさい!」と叱るばかりではなく、子どもがどういう気持ちを抱いて慎重になっているのか、その点に考えを巡らせて温かい声を掛けてみる・・・というのも一つの手かもしれませんね。

(butsuen)

Posted in 子どもの発達, 子育てについて, 小学1~3年生向け

おすすめの記事