上手な準備と環境づくりで主体的な学習を!
2月 8th, 2016
今年度の広島県西部地区の中学入試が終了しました。めでたく合格された子どもさんもいる一方、残念ながら希望通りにはいかなかった場合もあると思います。ただ、どのような進路を選択することになっても、4月からは中学校での新たな生活がスタートします。受験生として精一杯努力した経験を活かして、新たなステージで活躍することを願っています。
さて、つい先日新年を迎えたかと思ったらもう2月に入っているように、1~3月はあっという間に過ぎていきます。6年生はもちろん春以降の生活を思い描いていると思いますが、その他の学年の子ども達にとっても、そろそろまた新たな学年を意識する時期がやってきました。
新年度を迎えるにあたって、「◯年生になったら、わが子には自分で勉強する姿勢をもってほしい」「そろそろ言われなくても進んで机についてくれればいいのに」という願いを抱かれるお母さん・お父さんも多いのではないでしょうか。
わが子が「勉強に対して前向きになる」ための働きかけとして、特に低学年期など年齢が低い時期に効果的なのが、子どもに「自分は勉強が得意なんだ」という意識をもたせて、勉強することそのものを好きにすることでしょう。
「そんなの当たり前じゃないか」と思われたかもしれません。ですが、本来はどの子も、新しい知識を吸収することやより高度な学びに触れることが好きだったはず。元々「学ぶの大好き」だった子ども達も、その後置かれた環境や働きかけの仕方によって、少しずつ「勉強好き」と「勉強嫌い」に分かれていくことになるのは言うまでもありません。
ここでポイントとなるのが「ちょっとだけ先取り」です。
「先取り」という言葉のイメージから、「とにかく早く難しい内容を学んでおく」というハードな内容を思い浮かべられるかもしれませんね。しかし、ここでいう「ちょっとだけ先取り」とは、学校や塾で学ぶ内容を、授業で学ぶちょっと前に、家庭における日常生活の中で自然な形でちょっとだけ触れておくことをいいます。イメージとしては、「先取り」というより「準備」に近いでしょうか。要するに、親が、学校や塾で学ぶカリキュラムの流れや学習内容をつかんでおいて、さりげない形で、わが子にぴったりのタイミングであらかじめ「学びの種」をまいておくというものです。
もちろん、そのためにはお母さんにも準備(?)をしておいていただかないといけません。わが子が教科書やテキストを学校・塾からもらってきたら、親もざっと内容を確認しておきましょう。これによって、この先わが子がどの時期にどのような学習をするのかを大まかに把握しておくことができます(ただし、親が教科書やテキストの内容を知っていることは子どもには知られない方がいいですから、わが子がいない時間帯にこっそり目を通してください。目の前で教科書やテキストを読む親の姿は、子どもにとってプレッシャー以外の何物でもありませんし、その後でどんな働きかけをしたとしても、子どもは素直に聞くことができませんからね)。
例えば、1年生で時計の学習をする前には、お母さんが時計を見ながら「あと10分で5時になるね」「6時半になったら晩ご飯にしようか」などと口にすれば、子どもも自然と時刻や時間に意識を向けることになります。3年生の理科で太陽と地面の様子を学ぶ少し前には、散歩しながら「最近は日が長くなってきたから地面もあたたかいね」などと言えば、子どもも「日が長い?地面ってあたたかい?」と興味関心をもつことでしょう。
1年生のころには、「うちの子は時計をなかなか読めるようにならなくて」などとお悩みを口にされるお母さんが少なくありませんが、こうしたご家庭では、普段の生活の中で時刻を意識させて見通しをもたせることが少ない、子どもがアナログ式の時計に触れる機会がない・・・というケースが多くあります。もしわが子がこのような状況であったら、一度家庭での子どもとのやり取りや普段の生活を振り返ってみてはいかがでしょうか。
ただし、念のためにお伝えしておきますが、教科書やテキスト内容の予習をすすめているわけではありません(当社の指導でも4年部までは予習ではなく復習をしっかりするよう伝えています)。もし、お母さんが言葉をかけても子どもの反応が乏しかったり、親の思うようにいかなかったりしても、「それなら・・・」と親がべったりくっついてスパルタ指導をするのは逆効果です。「今度のテストで良い点を取らせよう」とか「次の授業の内容を他の子より早く理解させよう」などと考えて、教科書やテキストを持ちだしてつきっきりで問題を解かせたりすることも必要ありません。
あくまでも「ちょっとだけ」ですから、「次のテストですぐに点数アップ」とか「授業でどんどん発表できるようになる」など、わかりやすい効果がすぐに出るわけではありません。むしろ、親の思い通りにいかないことの方が多いでしょうが、例え即効性がなかったとしても、後々大きく伸びるために、今は芽が出るのを気長に待つ覚悟を親の側がもつ必要があります。
もしかしたら、この内容では「先取り」と言うことすらできないのかもしれませんね。しかし、「これってこの間聞いたような気がする」「前にお母さんが言ってたな」というちょっとしたきっかけが、勉強に対するハードルを取り除くという意味で大きな意味をもっているのです。長い目で子どもの主体的な学習姿勢を築くことを考えれば、目先のテストの点数のために厳しく叱りながら勉強させるよりもはるかに大きな効果をもたらします。
ぜひ、お母さんオリジナルの「ちょっとだけ先取り」の種をまいて、わが子の気持ちが自然に勉強に向かうよう工夫してみてくださいね。
(butsuen)