2016前期「おかあさんの勉強会」のご案内
5月 16th, 2016
勉強は楽なものではありません。まして受験のための勉強は年齢相応よりも難しい内容を扱っていますし、量的にも結構な負担になるものです。このことは、子どもに受験勉強をさせるうえでの前提として大人がよく理解しておきたいことです。
おたくではどうでしょう。お子さんは、親の目から見てもやる気に満ち、充実した受験生活を送っておられるでしょうか。そうお伝えすると、「とんでもない。やるべきことが全然できなくて、注意しても逆らってくるし、毎日イライラさせられっぱなしです。もう受験なんてやめさせようかと考えているほどです」とおっしゃるかたがおられるかもしれませんね。実際、受験勉強が佳境に入る6年生の秋に至る前の段階では、多数のご家庭からこうした類の悩みについて相談があります。
冒頭でお伝えしたように、勉強は楽なものではありません。だから、段々勉強の内容が高度になっていくにつれ、ガンバリが利かなくなっていく子どもが出てきます。
しかしながら、高学年になると子どももある程度勉強の必要性を理解していますし、親が望んでいるのは何かもわかっています。そこで葛藤が起こるわけです。こうした子どもの気持ちを受け止めてやりながら、いかにして勉強に向き合う気持ちを引き出すか。それが高校や大学への受験と異なる、中学受験生の親だからこそ要請される役割だと言えるでしょう。
小学生の子どもは、まだ「何が適切で、何がいけないのか」についての判断が十分にできません。また、今の状態が続くとどういう事態に至るのか、いついつまでにどこまでやっておくべきなのかなど、先を読んで状況を修正していく姿勢も育っていません。ですから、やるべきことが長続きしなかったり、いいかげんなやりかたをしているのに平気でいたり(平気でいるように見えたり)、突然勉強を嫌がり出したりすることもあります。
しかしながら、生まれながらに勉強に向かない子どもはいません。また、もともとやる気のない子どもだっていません。子どもだって、やる気満々で勉強する自分でありたいし、勉強のできる人間になりたいのです。ただ、小学生までの子どもは自分で問題の在り処を突き止め、解決するすべを知らないのです。
そこで必要となるのが親のサポートです。ところが、親は親で難しい問題を抱えています。どんなに聡明で賢明な選択をする親でも、わが子の勉強の問題となると冷静な関わりができないのです。ちょっと注意を促すだけのつもりが、気がつくと大喧嘩になったご経験はありませんか? 筆者には意外だったのですが、ある書物によると、「おかあさんと娘さんの喧嘩が一番激しくなりやすく、おかあさんが感情を露わにして激しく叱りつけるケースが少なくない」とか。同性だからでしょうか。
前置きが長くなりました。今春の「おかあさんの勉強会」は、予定している2回分を「実のある受験生活を実現するために」という一貫したテーマで実施いたします。子どもがやるべきことにきちんと向き合い、しっかりとした学びの生活を送れるよう応援するにあたり、「親は何をどうすればよいか」を共に考えてみようと思います。これから、おおよその意図や内容をかいつまんでお伝えしましょう。
●第1回 ~うまくいかない原因はやる気?能力?それとも…~
子どもの勉強に不満を抱く親は、「やる気」や「能力」に原因を求めがちです。しかし、「子どもがうまくできないのは、やりかたのスキルが身についていないからだ」と指摘する専門家がいます。そこで第1回は、この考えかたに立ち、問題解決の手がかり足がかりを築く試みをしていきます。
まずは、「わが子の勉強の問題点」をそれぞれ振り返っていただきます。もしも問題の核心を掌握できたなら、自ずと子どもに足りないスキルが何かもわかってくるでしょう。やりかたさえわかれば、どの子どもも成果を得られるのです。
わが子に足りないスキルに気づくには、勉強に求められるスキルにはどういうものがあるかも知らねばなりません。そこで、そうしたスキルのリストを提示し、わが子の現状と対照していただきます。
次の課題は、「わが子にどう働きかけるか」です。子どもの反発や拒否を招く親は、こういう場合に求められるアプローチを間違っているのです。多くの親が犯しがちな間違いとはどういうものでしょうか。ともに振り返りながら、「子どもが言うことを聞かないのはなぜか?」をそれぞれに考えていただきます。
●第2回 ~親の関わり次第で子どもは大きく変わる!~
子どもの勉強の問題点がどこにあるかを知らなければ、注意したり叱ったりしても子どもはよい方向へ向かいません。また、これまでの親のアプローチの方法のどこがいけなかったのかも押さえておかないと、同じ轍を踏むことになります。前回は、そういうところまで話を進めていきましたが、今回はこうした点を踏まえ、親に求められる効果的なアプローチの方法を考えていきます。
子どもが親の期待に沿った勉強をしていないとき、多くの親が間違った方法を選択しがちです。それは、大人の力で無理やり言うことを聞かせようとする(プランA)ことです。残念ながらこれでは根本的な解決は得られません。一時的に効果はあっても、すぐに失われます。また、子どもの反発を受けることも多々あるでしょう。そこで、いったん親の要望を取り下げる(プランC)ことを余儀なくされる場合もあるでしょう。
もちろん、このままでは事態はよい方向へ向かいません。そこで必要になってくるのは、子どもの問題点を指摘して反省を求めるのではなく、子どもとの有機的な関係を築きながら子ども自身に「どんなスキルが不足しているのか」を考えさせる(プランB)アプローチです。
参加されたおかあさんに、プランBがなぜ効果的かをご理解いただき、このプランでわが子にアプローチする方法を、例をもとに考えていただきます。プランBの実行にあたっては、いくつかのステップが必要です。それをご紹介しながら、子ども自身に「どんなスキルが不足していたのか」に気づかせ、自分から改善していこうとする流れを築くための作戦へと話を進めていきます。
今春の実施分の企画内容は、ハーバード大学准教授として、心理療法やカウンセリングなどで活躍しておられる心理学者の著作を参考にして練りしました。学校で生じた数々の問題を解決されたノウハウをベースにしています。
勉強会に興味をおもちになったかた、お子さんの勉強ぶりに少しでも不満や不安を抱いておられるかたは、ぜひ参加ください。なお、本催しの対象者は、4・5年部「週3日コース」会員のおかあさんです。会場は、お子さんの通学校です。実施予定は以下のようになっておりますので、よろしくお願いいたします。
小学生までの子どもは、親に反発しているようでも、その一方で「自分をわかってほしい」という願いを強くもっています。うまく勉強をやれない自分も受け入れてほしいのです。子どもとの気持ちを通じさせる会話を心がけたなら、子どもは必ず親の期待に沿おうと行動し始めます。
本催しが、親子関係の改善と、望ましい学習生活の実現に向けて少しでも役立つことを願っています。おかあさん同士で話のできる催しは他にありません。気持ちを共有することで、きっと元気が出ると思います。