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子どもの睡眠不足にご注意を!

月曜日, 6月 27th, 2016

 先週月曜日に掲載したブログでは、日本人の睡眠時間が他国の人たちと比較すると相対的に短いことを、資料をもとにご説明しました。また、子どもの睡眠時間も日本は他国と比べるとかなり短いこともお知らせしました。

 みなさんそうだと思いますが、普段睡眠が足りているときは強い睡魔に襲われたり、抗し難い眠気と闘ったりすることはあまりないと思います。しかし、丸1日以上寝ないで仕事に追われたり、心理的な負荷のかかる状態が長時間続いたりすると、強い睡眠の欲求が襲ってきます。この欲求の度合いは食欲などよりもはるかに強く、他の全てを投げ打ってでも眠りたくなるのです。このこと一つをとっても、睡眠は人間にとって生命に関わる重要なものだということがわかります。

 そこで、今回は睡眠の役割を再確認するとともに、子どもの睡眠不足が招く問題点について書いてみようと思っています。睡眠は日常生活で必須のものであり、健康な暮らしを維持するうえで欠くことのできないものです。では、睡眠は何のために欠かせないものなのでしょうか。疲れをとるため? 不足すると眠くて何もできなくなるから? 睡眠が必要であることはわかっていますが、「なぜ必要か」ということまで考える人は少ないようです。

 「睡眠の役割」について、脳科学を専門とされる大学の先生は次のように書いておられます。

 睡眠には、体を休めエネルギーを蓄えるという働きがありますが、その中でとくに脳を休め、修復してよりよく活動させるという大切な働きがあります。つまり、睡眠は脳を休息させるだけでなく、併せて点検修理し保全する働きをもっているのです。したがって、子どもが適切に睡眠をとることは、脳をいきいきとさせ、彼らがよりよく生きていくことにつながっているのです。逆に適切な睡眠がとれないと、子どもの活動にさまざまな支障が生ずることになるのです。睡眠の良し悪しが、脳の状態とその活動に影響を及ぼし、結果的に子供の成長を左右することになるのです。

 子どもが健康であるためにも、睡眠を適切にとることが大切です。子どもの体の成長の多くが、睡眠中に起こるからです。また、子どもが睡眠不足だと起きてから注意散漫となり、そうしたことが続くと素直さに欠け、落ち着きのない性格になるともいわれています。

 どうでしょう。睡眠は脳の「休息」だけでなく、「点検修理」「保全」という重要な役割を担っているのですね。この機能が子どもの健全な成長を支えているのです。また、睡眠の不足は注意散漫の原因となるだけでなく、やがては性格上の問題点の原因をつくってしまうということがわかりました。

 このように、睡眠は子どもの健全な成長にとって欠かせないものですが、先週もお伝えしたように、日本の子どもの睡眠時間は他国の子どもよりもかなり短いことがわかっています。おたくのお子さんはどうでしょう。夜更かしの習慣が染み付いたりしていないでしょうか。夜遅くまでテレビやゲームなどをしていると、いざ寝るとなっても脳は覚醒状態にあります。なかなか寝付けず、それがまた睡眠時間を少なくするという悪循環が生じることになりがちです。 

 就寝時間が遅ければ、当然睡眠時間は足りなくなります。どんなに遅くに寝ても、学校の始まる時間は待ってくれませんから、家を出る時間を遅くするわけにはいきません。こうやって、少しずつ睡眠が不足する状態が続くことで、子どもの健全な成長が蝕まれていくのです。またそれだけでなく、人間には寝るべき時間、起きるべき時間があるのではないでしょうか。子どもが夜更かしをすることで、「就寝 → 起床」の流れが時間的にずれていくことも何らかの悪影響があるのではないかと心配されます。

 20160627b人間は、朝の光を浴びるのを合図に1日の活動を開始し、日が暮れて夜が訪れると体を横たえて睡眠をとることを繰り返しています。地球の動きに合わせて体内時計を稼働させ、一定のリズムで生活をしているわけです。これを概日リズムと言います。

 この概日リズムが崩れることで、子どもはどんな影響を受けるでしょうか。前述の大学の先生は「子どもが時差ボケ状態になり、昼間に眠くなったり、夜眠れなくなったりします。その結果、起きているときの活動が鈍くなったり、食欲がなくなったり、いつも疲れていてやる気がないといった状態になってしまいます」と述べておられます。またその先生は、1週に1回以上居眠りする」と答えた小学生が25%、中学生が40%、高校生が60%いたという睡眠調査の結果(別の大学の先生の調査)を紹介しておられました。

 もっとも、睡眠時間は長ければ長いほどよいというわけではありません。かつて、睡眠時間と子どもの学業成績との相関関係に関する調査の結果をお伝えしたことがありますが、以下の資料をご覧ください。
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 睡眠時間は8時間前後が望ましいようで、少なすぎても多すぎてもよくないという結果が出ています。睡眠時間が10時間以上の子どもは、睡眠が浅いなどの問題がある可能性もあるようです。

 できるなら、なるべく毎日同じ時間に就寝し、同じ時間に起床することが望ましく、睡眠時間は8時間程度が目安になるのではないかと思います。規則正しい生活を送り、睡眠もリズムよくとる毎日を心がけてください。受験生であっても、少なくとも7時間は睡眠時間を確保したいですね。

 なお、睡眠の役割として受験生の観点から見逃せないのは、「睡眠を通して、脳が学んだ知識を整理整頓し、記憶に残している」ということです。これについても以前ご紹介したことがあるように思いますが、機会を見てまたこのことについて書いてみようと思います。

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