「帰宅から夕食まで」の時間帯を大切に
7月 11th, 2016
早いもので、もうすぐ夏休みがやってくるような時期になりました。新しい学年に上がって3か月余りが経過しましたが、お子さんは新しい学年での生活に慣れ、落ち着いた生活を送ることができているでしょうか。
もし、なかなか日々の生活を鑑定軌道に乗せることができていないようであれば、まずは家庭での生活リズムを安定させるという点に意識を向けるといいかもしれません。
では、各家庭での子どもの生活リズムを考える場合、まずはどこから目を向ければよいのでしょうか。早寝・早起きを心がける、しっかり食事をとるなど、ポイントはいくつもあると思いますが、意外と見落としがちなのが、学校から帰宅して夕食を迎えるまでの時間帯です。
毎日わが子が学校から帰ってきた後で何をしているか、思い出してみてください。まず手を洗って、うがいをして、おやつを食べて・・・という感じでしょうか。中には、カバンを置いたらすぐに遊びに出かけて行ってしまう子もいるでしょうし、帰宅したらすぐに習い事の準備を始めなければならない、というご家庭も少なくないでしょうね。
ただし、小学生、特に低学年の時期の家庭学習を考えた場合、「帰宅してから夕食をとるまでの時間帯」が非常に大きなウェイトを占めています。習い事などの事情がある場合を除いて、可能な限り、宿題や毎日取り組む課題などはこの時間帯に取り組むのが望ましいですね。
帰ってきたらおやつを食べてテレビを見て、宿題は晩ご飯の後で・・・、というご家庭もあるかもしれませんが、それだとなかなか集中して取り組むことができません。大人でも、食後の後片付けをするのは気が重いように、夕食を採ってお腹が膨らんだ後で、気持ちを切り替えて何かに集中して取り組むというのは、なかなか難しいものです。
ですから、宿題や家庭での学習は夕食までの時間帯に集中して行い、夕食以降の時間帯(夕食後から就寝まで)は、基本的にお風呂に入ったり明日の準備をしたりするための時間だと考えた方がいいでしょう。寝る直前まで「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」とバタバタ過ごすより、明日の準備をしながらゆったり過ごした方が、リラックスした気分で布団に入って熟睡することにもつながります。
もう一つ、この「帰宅してから夕食をとるまでの時間帯」を大切にしていただきたい理由として、親子が密なコミュニケーションをとるのに適した時間帯であるという点が挙げられます。
学校から帰って来た子どもと何気ない会話をしながら、表情や仕草によく目を配って、学校で充実した時間を過ごしているか、悩みや心配事を抱えていないかなどを読み取ってあげてください。
学校から離れて時間が経てば経つほど、子どもは「学校での顔」から「家での顔」に変わります。帰宅と同時に自分の部屋に直行してしまうのでは、その変化を感じ取ることが難しくなってしまいます。「家事の手が空いているときに話せばいいか」ではなく、帰宅直後の親子のコミュニケーションの中で、わが子の様子をしっかり見てあげてください。もし親の目の届かないところで何かが起こっている場合には、何かしらのサインが出されているはず。それを見逃さないという意味でも、この時間を親子で過ごす時間帯として活用していただければと思います。
さらに、こうして子どもの身の回りの出来事について毎日親子で会話をかわすことは、学力面でも大きな効果をもたらします。
親子の会話を密に行うことによって、子どもは楽しみながら語彙力を向上させることができますし、自分の思いを筋立てて相手に話すという行為を通して、物事を客観的・理論的に組み立てる訓練にもなっています。実際、こうして学校での出来事や自分が感じたことなどを毎日家族に話している子どもは、総じて学力が高いという結果が調査によっても示されています。
近年学校では、様々な学習を深めるために論述やグループ討論など、言語能力を高める活動が積極的に取り入れられていますが、自分の身近で起こった出来事について家族であれこれ話している子どもは、毎日家庭でそれに準じた活動を重ねている・・・といえるのかもしれませんね。
このように、「帰宅から夕食まで」の時間帯は、子どもの学力形成や良好な親子関係の構築という点で、非常に大きな意味をもっていることがおわかりいただけたでしょうか。
そして、今回ご紹介した点を総合的に考えると、ぜひ夕食までの時間帯を活用して、以前もご紹介した「リビング学習」をおすすめしたいところです。「リビング学習」に関しては、続けてご説明すると長くなってしまいますので、いずれ回を改めてお伝えできればと思っています。
(butsuen)