お父さんの「タイプ」と子どもの成長について
8月 29th, 2016
近年、父親の育児参加について様々な方面で取り上げられていますが、皆さんのご家庭では、お父さんは子育てにどのような関わり方をされているでしょうか。多くのお父さんは日中仕事に行かれていますから、子どもと一緒に過ごすことのできる時間は限られています。それでも、休日や平日の帰宅後などになんとか時間を作って、わが子と一緒に過ごそうと努力されている方もきっといらっしゃるでしょうね。
父と子の関係について調べたあるアンケートにおいて、子ども達に「お父さんはどういうタイプか」を書いてもらって統計を取ったところ、次の4つのタイプに大別されたそうです。
① 優しいパートナータイプ
② はつらつエンジョイタイプ
③ 堅実で仕事重視タイプ
④ 厳しいリーダータイプ
①は、あれこれ一方的に指示するのではなく、できるだけ子どもの意見を聴こうとする父親、②は、自分の趣味などを充実させて、自分の遊びに子どもも参加させる父親、③は、子どもとの時間よりも仕事に重きを置く父親、④は、わが子に対して厳しさや強さを前面に押し出した接し方をする父親、とされています。
①や②のタイプの父親が子どもに近い関係にある一方、③や④のタイプの父親からは、いわゆる「仕事一直線」とか「頑固一徹」といったイメージが思い浮かびます。昔と比べて父親像が変わったと論じられるようになって久しいですが、④のような父親が減り、①のような父親が増えてきているということでしょうか。
同時に、こうした変化に伴って、父親が子どもにとって怖い存在ではなくなってきていることが、子どもの成長や親子関係のあり方に影響をきたしている、という意見もあります。父親の権威・威厳の低下の問題といわれるものです。
ただし、権威や威厳は、子どもに厳しく接していなければ成り立たないというわけではありません。もちろん、厳しく怖いお父さんがいれば子どもの態度はビシッと引き締まるでしょうが、肝心なのは、その緊張感が何に由来しているのかという点です。
たとえどんなに厳しいお父さんであっても、子どもが父親に対して「お父さんってすごい」とか「いつもどっしり構えていてかっこいい」などの感情を抱いているのなら、そのお父さんは子どもにとって憧れや尊敬の対象となるでしょう。しかし、単に「声が大きくて怖い」とか「逆らったら何をされるかわからない」などの恐怖心が根底にあるのであれば、それは本当の意味での権威だとはいえません。そんな形で親に従っていても、自分の思いを無理に抑えて合わせているだけですから、結局子どもの人間性や社会性を育むことにはつながりにくいからです。
逆に、たとえ①のような優しいタイプのお父さんであっても、普段の親子の関わりの中で、わが子が「お父さんってすごい!」と感じさせることができていれば、十分「権威をもった父親」だということもできます。本来、「権威」とは、力で抑えつけるようなことがなくとも一定の影響力が発揮されるような関係性でこそ成立するものです。ですから、普段は優しく温かいタイプのお父さんであっても、きちんと節度をもち、状況によっては毅然とした態度が取れれば(この点が難しく、かつ重要ではありますが)、父親としての権威が損なわれるようなことはありません。
ちなみに、このアンケートをもとに「父子間のコミュニケーション度」を調べたところ、数字の並びどおり、①→②→③→④の順に数値が高かった(①が最も関係良好)という結果になったそうです。
さらに、「困っている人、友達の手助けを喜んでするかどうか」「みんなで決めたことには従うかどうか」などの項目で、子ども達の社会性の発達度をはかったところ、「父親とのコミュニケーション関係が良いほど、子どもの社会性の育ちも良い」という結果が出た、とのこと。つまり、①や②のタイプの父親の子どもの方が、より高い社会性を身につけることができているということになります。
もちろん、お父さん一人ひとり性格やキャラクターが違いますから、わが子への接し方もそれぞれだと思います。ただ、父親の関わり方次第でわが子の発達・成長に違いが生じることを考えれば、お父さん方は父親としての自分自身の姿を一度客観的に見直してみる必要があるのかもしれません。そして、その上で補うべき部分を考えていければいいですね。
さて、皆さんのご家庭のお父さん(または、お父さん自身)はどのタイプですか?
(butsuen)