「苦手な教科」と「好きな教科」の分岐点とは?
9月 26th, 2016
みなさんのお子さんには、好きな教科や苦手な教科がありますか?
大人にとっては「好き・嫌い」と「得意・不得意」は意味が違いますから、必ずしも「好きな教科=得意な教科」ではないかもしれません。しかし、小学生、まして低学年の時期だと、「楽しい」と感じることが行動の原動力になっていることが多いですから、勉強に関しても「好き・嫌い」などの感情が「得意・不得意」と直結しているということが多くあります。
このように考えると、本人が苦手だと感じている教科に関しても、「まずはその教科を好きになればいい」「好きになれば自然と得意になるはずだ」とお考えの方がいらっしゃるかもしれません。確かに、「好きこそものの上手なれ」といいますからね。
ただし、何のきっかけもなく「ある日突然◯◯の教科を好きになった」などということは、普通は起こりません。本人の心掛け次第で「苦手だった◯◯を急に好きになる」ということもありません。どの教科にしても、それを好きになるには、どこかのタイミングで何かしらのきっかけがあったはずなのです。そしてそのきっかけの大半は、その教科で問題を解くことができてほめられた経験や、逆にその教科の学習内容をきちんと理解できなくて辛い思いをした、といったものではないでしょうか。
ですから、本人が苦手意識をもっている教科について、いくら「まずは好きになるのが大事」だと説いたところで、好きになれるわけではありません。実際には、「◯◯がよくわかる」→「テストの点数が良い」→「親や先生からほめられる」→「だんだん好きになる」→「ますます集中してよくわかるようになる」・・・といったサイクルで、いつの間にかその教科を好きになっていた、というのが最も自然な流れでしょう。
これに関連した資料を一つご紹介します。
先日、某大手玩具メーカーが、「小中学生の勉強に関する意識調査」と題したアンケート調査の結果を公表していました。それを確認すると、小学生・中学生ともに、「好きな教科」「苦手な教科」の両方で第1位となったのは「算数(数学)」だったそうです。
同アンケート結果の小学生を対象とした部分を取り上げると、「好きな教科」の第1位は算数30.7%、第2位は図画工作27.3%、第3位は音楽24.5%、第4位は体育24.0%、第5位は国語21.2%となっています。一方、「苦手な教科」の第1位は算数23.7%、第2位は国語23.5%、第3位は体育11.3%、第4位は社会6.3%、第5位は音楽4.5%となっています。
さて、好きな教科・苦手な教科ともに第1位に輝いた算数に関して、アンケート回答の“理由”について確認すると、「好きと回答した理由」では、「計算が好きだから」「計算が得意だから」という声が多かったようです。一方、「苦手と回答した理由」では、「計算が苦手だから」「計算が嫌いだから」という声があがったとのこと。好き・苦手どちらの理由においても「計算」がキーワードになっているようです。
また、好きな教科第5位・苦手な教科第2位にランクインした国語に関しても確認すると、「“好き”と回答した理由」「“苦手”と回答した理由」のどちらにも、「漢字」や「文章の読み書き」を理由としたものが多く挙げられていました。
これらの結果からわかるのは、好きと苦手の分岐点となっているのが、各教科の「基礎基本」だということ。昔から勉強の基本は「読み書き計算」といいますが、今回のアンケート結果はまさにそれを示したものといえますね。
やはり、「その教科に得意意識をもつこと」=「まずは基礎基本を確実に理解すること」が、その教科の勉強を好きになることのスタートになっているのです。
もし、現段階で苦手な教科がある場合は、「もうテストが近いんだから」といっていきなり難しい応用問題などに取り組んでも、ますます苦手意識を高めて意欲の低下を招くだけです。少し遠回りをするようでも、基本的な計算問題を復習してみたり、前の学年の問題に戻ってみたりする方法を試してみてください。
まずは基礎基本を確実に押さえて、苦手意識をなくすこと。それが、その教科を好きになる好循環のサイクルに乗せることにもなります。当たり前のようですが、成績向上に向けては、ここから地道に始めるのが一番の近道になるのではないでしょうか。
(butsuen)