実りある受験生活の実現に向けて ~2017 5・6年部開講!~
2月 20th, 2017
中学入試の余韻が残るなか、2月18日(土)には2017年度の5・6年部講座の開講式を行いました。この日、多くの校舎では入試を終えた卒業生を送り出すための「卒業会」も実施されており、6年部の指導担当者にとっては慌ただしい1日でした。
卒業生の子どもたちにとって、これまで塾と言えば勉強をするための場所でしたが、この日に限っては子ども同士で歓談したり、先生と思い出話をしたり、一緒にゲームをしたりする楽しい時間が用意されています。受験生のみなさんには、この日をよい節目にして、もうすぐ始まる中学校生活へと気持ちを切り替えていただきたいと願っています。
入試というものは、すべての受験生の望みを叶えてはくれません。6年部の指導担当者は、新たな受験生を迎え入れるたびに、「全員の望みが叶うよう、全力で指導しよう!」と決意をするのですが、毎年必ずと言ってよいほど思わぬ失敗に涙する受験生がいます。そんな受験生の心の内を斟酌することを忘れるわけにはいきません。「今度こそ、受験生の子どもたち全員が笑顔で卒業会を迎えられますように!」という思いを胸に、新年度の講座のスタートに臨んでまいります。
さて、今回は5年部と6年部の新年度講座の開講にあたり、保護者の方々に多少なりとも指針やアドバイスになる情報をお届けしたいと思います。ただし、十分に話題を練ったわけではありません。思いついたことを簡単にまとめたに過ぎません。ご了承のほどお願いいたします
① 当分は、“成績”よりも“取り組み”の状態に気配りを。
4年部までと異なり、5年部に進級すると勉強も本格的なものになります。学習教科も算数と国語に理科や社会も加わり、否が応でも受験を意識させられてきます。6年部に進級すると、受験勉強の本格化は一層進みます。4月末には6年生いっぱいまでの教科書範囲の学習を終え(基礎力養成期を終了)し、5月のGW明けからいよいよ応用力の養成期に突入します。
4年部ではテストも算数と国語の2教科でしたが、5年部以降は4教科の400点満点で表示されます。これは親にとっても刺激的であり、お子さん以上に一喜一憂されるケースも少なくありません。しかしながら、成績を見ては親が過剰に反応すると、お子さんは勉強以前に親の反応のほうに気を取られ、肝心の日々の取り組みに集中できなくなるケースがあります。まして、成績を落とすたびに叱られると、やる気も自信も失いかねません。
これは、5年部生のご家庭だけでなく、6年部生のご家庭にも言えることです。「入試まであと1年を切った」とお子さんにハッパをかけても、まだ意識も取り組みも追いついておらず、成績に追い立てられた勉強に陥ってしまう恐れが多分にあるでしょう。
よい取り組みをすれば、必ず成績はついて回るものです。まずは、成果のあがる取り組みのできる状態にもって行くことが先決です。そこで弊社では、5年部も6年部も開講から当分の間は、「授業を受けるうえで大切にすべきこと」「家庭での計画的学習を確立すること」「テストに備えたまとめ学習のコツを身につけること」など、受験生活を安定軌道に乗せることを主眼にした指導を行っていきます。保護者には、当分のあいだ成績は参考程度に留めていただき、「やるべきことはわかっているか」「やるべきことがどれだけできたか」に関心を寄せながら見守り、お子さんにアドバイスや激励をしてあげていただきたいと存じます。
開講式においては、カリキュラム表、学習のしかたを説明した冊子、家庭の学習計画表のモデルプランなどをお配りしています。勉強の内容にまで関わる必要はありませんが、どういう勉強をするのかについては知っていたほうが、適切なアドバイスや激励ができるでしょう。特に、学習の計画を立てるときには親も相談相手になり、無理なくやりこなせるプランになっているかどうかを確かめておくことも必要です。
② 少しずつ、中学校に関する情報に目を向けさせる。
受験をめざす以上、親は「受験生としての自覚を!」と期待し、受験での合格をめざした熱心な取り組みを望むものです。
しかしながら、まだ人生を10年前後しか経験していない小学生の場合、受験の何たるかを十分にわかっているとは言えません。また、国立や私立、公立の一貫校に進学することの意味を理解するのも困難です。無論、将来の人生設計に基づく進路として学校選択を位置づける知識ももち合わせていません。
それでいて、「○○中学校はどんな学校か」「○○中学校へ行きたい!」という願いや目標意識があるかどうかは、受験勉強に向かう姿勢や取り組みに大きな影響を与えるものです。
そこで、お子さんが5年生・6年生になるごろから、そろそろわが子の進学先として候補に入れている中学校に関する情報に少しずつ触れさせることもあってよいのではないかと思います。各中学校には充実したホームページがあります。それを定期的に閲覧しながら、学校のトピックや催しなどをピックアップし、ときどき家庭での話題にしたり、公開されている催しに親子一緒に見学に行ったりするのもよいでしょう。
実際、候補にしている私学の文化祭や体育祭などを親子で見に行き、校風や学校の雰囲気などについてお子さん自身の好みや相性を確かめておられるご家庭も結構あるようです。入試が終わってから行先を決めようとすると、どうしてもじっくり検討する時間が足りなくなりますし、行きたい中学校が少しでも早くから絞られたほうがお子さんのがんばりにも好影響を与えるでしょう。
③ 勉強のよさを享受しながらの受験生活の実現を!
とかく受験勉強というと、親も子も合格のためにやるものと思い込みがちです。しかしながら、前述のようにまだお子さんは受験することの目的についてそんなにわかっているわけではありません。ともすれば、目先の楽しい遊びに心を奪われたり、勉強をさぼりたくなったりするものです。そこで、「早く勉強を始めなさい!」「まだテレビを見ているの!」などと、毎日叱ってばかりになる家庭も出てきます。これが毎日のように続くと、お子さんは「なんで勉強しなきゃいけないの!?」と親に抵抗したり不平を言ったりするようになります。
いっぽう、勉強の進めかたを手の内に入れ、勉強の習慣がしっかり根づいたお子さんは、「ためにする勉強」という意識よりも、「当然のことをしている」「決めたことをやらないと気が済まない」といった意識で勉強をしています。そればかりか、「わからないことを自分で解決したときの喜びが味わえるから」と言います。
学習心理学者の文献を拝読すると、「『勉強は何のためにするのか』に対するほんとうの答えは、進学のため、将来のためなどではなく、今学んでいる学習対象の中にあるのだ」と書いてありました。すなわち、ほんとうに勉強に没頭した状態においては、人間は何かのためにそれをしているのではなく、疑問の解決に心が集中し、「知りたいから学んでいる」のだということなのでしょう。
脳科学者の書かれた書物に、人間が今のように進化したのは、「森の中に暮らしていたサルのなかに、まだ見ぬ世界への好奇心が押さえきれなくなった一群がいて、サバンナに降りて行ったのが始まりだ」というような著述がありました。ここにも、「なぜ学ぶのか」の答えが見出されます。子どもたちが勉強に熱中し、頭脳を鍛えていく原動力は、「知りたい!」という好奇心や探求心なのですね。
筆者は思います。おそらく、受験勉強ですばらしい飛躍を遂げている子どもは、上述のようなほんとうの勉強を体験しつつ、徐々に受験というものの意味や目的を理解し始め、最終的に勉強の醍醐味の追及を原動力にしながら、受験突破をめざした勉強に没頭するようになるのだと。保護者におかれては、このようなお子さんの成長の流れを視野に入れ、これから1年間、2年間の受験生活を見守っていただきたいと存じます。
子どもたちにとって、小学校5年生、6年生の1年間は、私たち大人のそれよりもはるかに濃密で進歩の急激な1年間です。この1年間の勉強の充実こそが最も大切なことであり、それが現実のものになったなら、必然的に受験での目標も達成できるのではないでしょうか(無論、入試突破に向けた学習上の作戦については徹底的に研究し、サポートしてまいりますのでご安心ください)。