2017年度の中学入試結果と進路選択状況

3月 6th, 2017

  中学入試が終了して約1ヶ月が経過しました。受験生のみなさんは、それぞれに進学先も決まり、新たに始まる中学校生活に向けて心を切り替えておられることでしょう。受験生のみなさん、ほんとうにお疲れさまでした。

 さて、弊社会員の受験生のみなさんから、受験の結果と進学先についての報告書をあらかたご提出いただきましたので、今回は中学校ごとの進学状況をお伝えしてみようと思います。来年度以降に受験を控えたご家庭の参考にしていただければ幸いです。

 以下は、広島県西部の主要な中学校の入試合格実績と、進路選択の状況をまとめたものです。

 弊社は、広島を代表する伝統的な私立6か年一貫校(広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院)への進学を軸にした受験指導をしています。無論、伝統と言えば師範学校以来の長い歴史を有する国立の広島大学附属中学校も人気・実績共に高いレベルの学校であり、この学校を含めた5つの学校をメインターゲットに据えています。

 では、学校ごとに入試結果と進学の状況を簡単に概観してみましょう。まず広島学院ですが、合格者数こそ昨年(68名)よりも減らしたものの、今年は合格者の入学率が大変高く、55名の合格者のうち48名が同校に進学します。よって、入学者は昨年比3名の減少に留まりました。入学辞退者7名のうち、広大附属と修道に各3名、県立広島に1名が進学する模様です。広島の私学界きっての進学校の吸引力は、「さすが」と思わせるものがあります。

 修道には121名が合格し、そのうちの66名が同校へ進学します。修道の入学辞退者の大半は広島学院への進学を選んだ受験生です。そのほか、広大附属、県立広島への進学を選んだ受験生もいます。ただし、修道の明るく自由な校風は広く行き渡っています。修道は、昔も今も広島の私学受験生の憧れであり、最もポピュラーな受験対象校であるのは間違いありません。以前このブログでもご紹介したように、弊社の会員男子の9割前後が同校を受験しています。

 広島城北には、今年48名の会員受験生が進学します。募集定員200名の、約4分の1が弊社会員ということになります(広島学院、修道についても占有率はほぼ同じです)。同校は、今年若干志願者数が減りましたが、これは受験者の全体的な減少傾向のなか、人気校の修道がかなり入りやすくなっていること、一人当たりの受験校数が減少傾向にあること、などのあおりを受けたものと思われます。ただし、文武両道で男っぽい雰囲気の校風に惹かれる受験生が毎年一定数います。同校のOBで学校愛に燃えた先生が多数おられるのも魅力です。

 女子の私学に移りましょう。まずはノートルダム清心から。今年は弊社から75名の合格者を輩出しました。そのうち、54名が同校に進学します。この数は、ちょうど募集定員の3割にあたります。合格者で他校に進学した受験生のほとんどは、広大附属もしくは県立広島に進学しています。女子私学最難関で、男子の広島学院と同じような立ち位置にある同校ですが、入学辞退者が20名あまりいます。それは、女子のほうが共学志向が強く、そちらを選択する受験生が相当数いるためです。また広島女学院のファンもおられ、そちらを選ばれるケースもありました。なお、昨年は広大附属との重複合格者14名が全員附属に進学しましたが、今年は19名の重複合格者のうち6名は清心への進学を選んでいます。私立女子一貫校のトップである同校のステイタスはしっかりと維持されているように思います。

 広島女学院は広島の女子私学でいちばんの歴史と伝統を誇る6か年一貫校です。毎年女子の受験生がいちばん多いことで知られます。ただし、近年は、県立広島、市立広島中等教育、広島なぎさなどの共学校がライバルとして浮上しています。そのため、以前より入学し易くなっていますが、女学院にあこがれる受験生は今なお多く、彼女らにとっては喜ばしいことかもしれません。自立した女性を育む同校のスピリットは伝統として受け継がれており、何よりも明るい校風が魅力です。今年は、同校に132名が合格し、61名が進学する模様です。この数は、清心同様募集定員の3割にあたります。同校合格者で他校を選んだ受験生の大半は、清心に進学しています。そのほか、広大附属、県立広島、市立広島中等教育、広島なぎさなどを選択した受験生もいました。

 安田女子中は、JRとアストラムの新駅が完成したことも影響してか、受験生の減少に若干ながら歯止めをかけることに成功しています。しかしながら、広島市の中央部、東区、安佐南区、安佐北区にかけては、市立広島中等教育学校が強力なライバルとなりつつあり、重複合格者がそちらに流れる傾向が見られます。また、広島市の西側は広島なぎさの吸引力が強く、そのためか弊社からの同校への入学者は17名と近年になく少ない数になりました。同校は、大学までの受け皿が整った教育環境が大きな魅力の一つであり、もっと選択されてよい学校だと思います。

 広島大学附属中は国立の伝統校であり、広島で知らない人はいないほどの有名校です。募集は120名と少ないうえ(男女各60名ずつ)、附属小からの内部受検による合格者が十数名~20名程度募集定員の120名に含まれます。よって、広島で最も入学困難な中学校です。ただし国立学校のため、大学受験までの面倒見などの比較で、例年男子は広島学院や修道のほうを選択する受験生が多い傾向にあります(男子には、女子のような共学志向はあまりありません)。今年は、男子合格者34名のうち、同校へは9名が進学する予定です。入学辞退者25名のほとんどは広島学院に進学する模様です。いっぽう、女子受験生には附属は圧倒的な人気です。入学者の大半は附属を選びますが、数百名受検してわずか60名(今年度の外部受験者の合格発表数)しか合格できない難関です。合格者の過去の成績を見ると、4教科とも穴がないすばらしい学力の持ち主ばかりです。附属中への女子進学者は、理系にも強い将来の楽しみなお子さんの集団と言えるでしょう。

 私立の共学校を採りあげてみましょう。広島なぎさ中は、ひところ注目を集めていましたが近年は志願者数が減少気味です。まだまだ広島県内に広く認知が行き渡っているとは言い難く、広島市の中心部~西部、廿日市市あたりからの受験生が多い傾向にあります。スマートで明るい校風は、一度同校を訪れてみたならすぐに感じ取れると思います。今年、同校へは男子24名、女子13名、合計37名の会員が進学します。同校の女子受験者が少ないのは、広島女学院や安田女子、市立広島教育学校など、男子以上にライバルが多数あることも影響していると思われます。

 近畿大学附属広島中東広島校は、東広島市域の受験生の受け皿として毎年一定数の入学者があります。同校は大学受験で立派な実績をあげており、もっと注目されてよい私学だと思います。今年は、同校へ男子が7名、女子が12名、併せて19名が弊社から進学する予定です。広島市内の校舎からも何名かが進学します。

 公立一貫校については先週のブログでかなり詳しく書きました。公立一貫校は、首都圏には21校あります。志願者が千名を超える人気校も相当数あるようです。公立一貫校の受検生が多い原因の一つとして、「受検準備が短期間で経費の負担も少ない」ということが指摘されています。言葉は悪いですが、「ダメ元」という発想の受験生も一定数いるようです。しかしながら、志願者数を確かめればわかるように、高い競争倍率の学校が多く、広島県内の2校も例外ではありません。基礎学力を整えたうえで、分析的思考、論述能力を高めるなど、系統立てた対策が求められます。特に県立広島の合格を巡る倍率は非常に高く、合格者の入学手続き率も高くなっています。今年は弊社から39名が合格し、そのうち30名が同校に進学します。昨年あたりから男子にも人気が高まっており、今年は男女15名ずつが弊社から入学します。県立広島を受験する児童の特徴は、「県立広島絶対」もしくは「国公立一貫校へ」という考えが強いということでしょうか。同校に合格したものの、他校を選んだケースを調べてみると、男子の場合は広大附属2名、広島学院が2名でした。女子では、広大附属が2名、広島女学院が2名、市立広島中等教育が1名でした。

 その他、弊社からの合格校は、崇徳中、比治山女子中、山陽女子中、広島新庄中、武田中、AICJ中、広島大学附属東雲中、広島大学附属福山中、ラ・サール中、愛光中でした(3月4日現在の資料に基づきます)。

 最後に。お子さんに一番ふさわしい学校は、必ずしも入学難易度の高い学校とは限りません。今回調査してみて、それぞれの家庭やお子さんの好みや学校との相性で進路を決定された家庭も相当数あると感じました。難関の学校に受かると、「行かないともったいない」という気持ちになるものですが、入った後の6年間を見通し、わが子にふさわしい教育環境であるかどうかも考える必要があると思います。

 いずれにせよ、保護者の方々にお願いしたいのは、「この学校がいちばんふさわしい学校なのだ」という信念をもち、気持ちよくわが子を送り出してやることです。受験生全員が第一志望の学校に進学するわけではありません。だからこそ、親にはそうした配慮が求められるのではないでしょうか。親にとってはわが子がいちばん。わが子に縁のできた学校がいちばんなのです。 

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