スタート直後の今を起点に、上をめざそう!
3月 20th, 2017
桜満開の春がまもなく訪れます。もうしばらくすると学校でも新学期が始まりますね。弊社では2月下旬~3月上旬に新年度の講座が開講し、子どもたちは一足先に一つ上の学年に進級しています。5・6年部においては、すでに第1回「マナビーテスト」が実施され、テスト結果の返却も終えています。
このブログは、5・6年部生の保護者も多数ご覧になっておられると思います。そこで、敢えてこのタイミングで保護者の方々にお願いしておきたいことがあります。それは、わが子の日々の勉強の取り組みや、テスト結果への対応です。
筆者もかつて息子を通わせて散々経験したことですが、わが子のテスト結果を見て何も思わない親なんていません。結果がよければ自分のことのようにうれしく、「この調子よ!」「さすが、うちの子!」と、わが子をほめ称え激励します。しかし、それよりもはるかに多いのは、わが子の成績に落胆する親ではないでしょうか。
親はわが子に大変な期待を抱いて塾に送り出しています。それなのに、のっけから期待に反する成績を突きつけられたとき、親のショックは並大抵のものではありません。成績によっては、不満や怒りを抑えきれなくなり、それがもとで早々と親子喧嘩に至ったご家庭もあるもしれません。
しかし、こんな状況が今後も続いたならどうなるかを想像してみてください。やがて親は、「塾なんてやめてしまいなさい!」などと子どもを揺さぶるようになり、果ては本当にやめる事態になることもあり得ます。叱咤激励で何とか受験まで漕ぎつけても、まずよい結果は得られません。また、仮に受かったとしても、中学・高校での前向きな努力は期待できないのではないでしょうか。なぜなら、勉強に向かう姿勢が崩れてしまっているうえ、もっと大切な親子の信頼関係まで揺らいでいるからです。
保護者の方々には、当面のテスト結果は参考までに留め、まずは今の勉強の取り組み状況をしっかりと把握していただくようお願いいたします。テスト結果が得られるはずのない勉強をしているかもしれません。仮によい成績を得ていたとしても、勉強自体は望ましくない場合もあるかもしれません。お子さんの毎日の取り組みを注意して見守ってみましょう。また、お子さんのノートに目を通してみましょう。そのうえで、今の取り組みかたについて親子で話し合ってみましょう。
大切なことは、今を起点にしてゆっくりでもよいから勉強の質を上げていくことです。今の成績に振り回されないようお願いします。学力は入試の段階で仕上がればよいのです。むしろ、今問題点が明らかになったとしたら、そのほうがよいのではないでしょうか。今からコツコツ勉強を改善すれば、6年生であっても入試までには大変な進歩が見込めるでしょう。中途半端な状態で無駄に時間を費やすより、対処の方法を考えざるを得ない今の状況のほうが子どもの反省、努力、進歩の流れを築きやすいと考えるべきです。
親の不満を小言や叱責という形でぶつけていると、直に親の働きかけは効き目を失います。児童期後半の子どもは、自分の問題なのに「親がうるさいから勉強する気になれない」などと言い訳をし、真面目に取り組まなくなりがちです。口は達者になっても、まだ自分を客観視できない年齢なのです。問題を放置したつけは、やがて自分の人生で払わされるというのに。しかし、これが子どもの現実です。ですから、「いかにして子どもをやる気にするか」「いかにして子どもの取り組みをよい方向に向かわせるか」は、現段階では親(大人)の関わりかた如何にかかっていると言えるでしょう。
6年生の秋になると、受験勉強は佳境に入っていきます。このとき、自己を燃焼させるが如く熱心に勉強に取り組むわが子をイメージしてみましょう。筆者はこれまでたくさんの中学受験生を見てきましたが、6年生の秋に目の色を変えて勉強しているお子さんは、入試の結果が第一志望通りにならなかったとしても、その後で必ず巻き返せるエネルギーをもっています。そういう流れが今のわが子から見通せるでしょうか。4・5年生のお子さんの状態は、それよりもはるか前にありますから、「とても想像できない」と思われるかもしれません。ポイントは、「今のわが子なりに勉強を受け入れ、自分から取り組もうとする様子が見られるかどうか」にあります。パーフェクトには程遠い勉強でもよいのです。
小学生の勉強が不完全であるのは当たり前のことです。まだまだ世間知らずの小学生なのですから。いけないのは、親がすぐに痺れを切らせて手も口も出し、子どもを叱りつけて無理やり勉強を強いることです。また、子どもの気持ちを傷つけたり、揺さぶったりする言葉を浴びせて奮起を要求することです。この方法は、受験の結果も、人間としての成長も得られない、最も避けるべき親の選択肢です。第一、親子関係に修復困難なヒビが生じてしまいかねません。
受験勉強のプロセスは、子どもの人格形成と軌を一にしています。それだけに、親の見守りやサポートはわが子を期待通りの立派な人間へと成長させる絶好の機会なのです。わが子には、どういう人間に成長してほしいのか。ここで改めて考えてみてください。
弊社は、「子どもの望ましい成長に資する学習指導の実践」を指導の基本方針に掲げています。その「望ましい成長」とは、学習指導を通じて子どもたちを自立勉強のできる人間へと導くことです。このような学習指導を通して、子どもたちの学力形成を支援し、子ども自身の努力で縁を引き寄せた中学校に進学することが、その子どもにとって最もよいことだと考えています。いちばん難しい中学校に入りさえすれば、よい人生が待っているわけではありません。子どもが無理を強いられず、伸び伸びと学べる学校環境を得ることこそ、その子どもにとって一番幸せなことではないでしょうか。
このような受験を実現したなら、子どもたちは中学進学後も自ら学ぶ姿勢を一層強固にし、自分で人生の目標を達成していくことができるでしょう。おとうさんおかあさんのお考えはどうでしょうか。受験はわが子の未来に向けた期待やビジョンによるものだと思います。それを実現してくれるのは受験の結果などではありません。どういう学びかた、生きかたをする人間になるかが、お子さんの将来を決定するいちばんのファクターだと弊社は確信しています(数多くの卒業生が、そのことを教えてくれています)。
今から、焦らず少しずつわが子の勉強の自立を応援していきましょう。繰り返しますが、焦ることはありません。今の時期の勉強を、お仕着せでなく、子ども自身のものにしていく。そういう視点からわが子の勉強を見守り、相談相手になったり、努力の承認を行ったりすればよいのです。今よりちょっとでも進歩すれば、お子さんには次の段階が見えてきます。それを繰り返す毎日は辛抱の連続ですが、この方法なら絶対にお子さんは今よりも希望のもてる状態へと成長していくことができます。
さあ、今を起点に亀の歩みで上を目指していきましょう!
なお、親の(特におかあさんの)接しかたについて迷いや不安のあるかたのために、もう少し具体的なアドバイスを考えてみようと思います。もし考えがまとまれば、次回はそれをお伝えしたいと思います。