子どもの前向きな努力を引き出すために
月曜日, 3月 27th, 2017
前回は、5・6年部の開講後の最初のマナビーテストが終了したところで、「テストの結果を冷静に受け止め、今を起点に少しずつ状況がよくなるようお子さんをバックアップしていきましょう」ということをお伝えしました。それは、進学塾につきもののテスト制度をよく理解し、上手に活かすことが効率的な受験対策の実現に直結するからです。
言うまでもありませんが、テストは子どもの現段階の学力(学んだことがどれだけ身についているか)を測るためのものです。能力を測るものではありません。落とした問題を点検すると、様々な原因がそこから見出せます。たとえば、単純ミスや思い込みが多数あった、覚えたはずのことを忘れた、思いがけない箇所が出題された等々。このような失点は、対処次第で未然に防ぐことができるでしょう。
また、何よりもテスト結果は日々の取り組み次第でどのようにも変わります。テキストの各単元の導入部分を理解しているか。テキストの問題をやっているか。やった問題の○つけをしているか。間違えた問題をやり直しているか。授業の板書をノートに書いているか。授業後のおさらいをしているか。副教材をやっているか等々…。これらについて、定期的にお子さんと学習ノートを点検しながら振り返ることも必要です。親が子どもの勉強に関心を寄せ、率直な思いを伝えれば、お子さんは心を開いてノートを見せてくれるでしょう。
問題点の在り処を子ども自身に気づかせ、少しずつ改善していけばよいのです。焦る必要はありません。しかしながら、とかく親はわが子の試行錯誤の様子を黙ってみていることができません。子どもは子どもなりの考えをもっています。そこで、親にいろいろ指図されると口答えをしたり反抗したりします。そんなとき、冷静さを失って激しく叱る親も出てきます。
少々ならしかたありません。しかし、こうしたことが日常化すると、子どもの勉強に向かう姿勢自体が崩れてしまい、勉強嫌いになるなど、受験をめざしたこと自体に意味がなくなってしまいます。
「わが子のことになると、どうしても感情的に叱ってしまう」と、悩んでおられる保護者がおられるのではないかと想像します。 そこで今回は、わが子への期待と愛情が適切に伝わる方法について考えてみようと思います。受験生活を通じて親子の絆を深めれば、お子さんは中学進学後も親を信頼し前向きな取り組みを失うことはありません。
子どもが率先して取り組む受験生活を実現しよう!
1.受験生活での約束事について親子で話し合う。
毎日の学習生活の原則・ルールを、親子で話し合って決めましょう(学習計画についても、今の計画で問題ないか話し合いましょう)。受験生活での原則が明確であることは、勉強にも生活にもテンポが生じ、それが親にも子にも好影響を及ぼします。
大切なのは、子どものプライドを尊重すること。叱るのではなく、子どもが自分で気づいて行動を修正するよう促せば、少しずつ勉強の自律性は高まります。
2.子どもへの「信頼」の気持ちを伝える。
子どもは、「親に信頼されている」と感じるとやる気を高めます。親は指示・命令を控え、「計画通りやれるよね」と、信頼に基づく声かけをしましょう。
やるべき勉強をしていないときには、咎めるのではなく、時間が来ていることを伝えましょう。親に言われてしているのではなく、自分からやっているのだという気持ちをへこませないことが重要です(子どもを追い込むと喧嘩になるだけ)。
3.勉強はリビングなど、親が見守れる場所でやらせる。
勉強は、個室よりもリビングや食卓でさせましょう。小学生までの子どもは、親が見守ってくれている、ほめてくれる、という環境で勉強するほうが励みを得てやる気になります。
また、小学生の子どもは「サボろう」という気がなくても、一人だと知らぬ間に楽しいことに流れがちです。自己管理ができる段階までは、親のサポートが必要です。
勉強中は、ときどき子どもの様子を見て、激励してやりましょう。
4.指示や命令を避け、子どもに考えさせる。
大人に言われた通りの勉強をしてよい成績をあげても、子どもの将来にはつながりません。自分で試行錯誤して這い上がれる子どもにしたいものです。
子どもが問題に直面したときには、すぐに対処法を語って聞かせるのではなく、まずは子ども自身に問題点がどこにあるのかを考えさせましょう。
長い受験生活で得られる最も大きな成果は、「自分で考えて解決する姿勢」を身につけることです。
5.どんなときにも感情的になって接しない。
「どんな立派な人間でも、わが子のことになると感情を押さえられないものだ」とよく言われます。親にとってわが子はそれだけ特別な存在なのですね。
そんなわが子だからこそ、受験勉強に取り組む姿を冷静に見守り、応援してやりたいものです。受験生活は決して楽なものではありません。それだけに、受験までのプロセスで感じ取った親の期待や愛情は永遠に忘れないものになることでしょう。また、親にしても怒鳴りつけたい気持ちを押さえて子どもを忍耐強く導いた経験は、一生の思い出として残るに相違ありません。
「こんなまどろっこしいこと、できるわけがない」と思われたでしょうか。しかし、こうした辛抱強い親の対応あってこそ、子どもは親の期待する人間に近づいて行けるのではないでしょうか。受験生活のプロセスは、子どもの人間としての枠組みの形成と軌を一にしているのですから。
子どもは親に信頼されれば安心し、それに応えようという気持ちを高めます。「ちゃんとできるよ。やってみなさい」と励まされれば、「やれるかな」と思い、やってみるようになります。それが自信につながり、何でも自分でするようになります。また、親が取り組みのプロセスを見守り応援してくれたときには、子どもは心から喜びの気持ちをたぎらせ、次の行動に向けたモチベーションを高めます。
テストで思わぬ失敗をしたとき、何よりも重要なのは「わが子に何かあったのだろう」と理解を示すことです。実際、理由なしにそのテスト結果はもたらされたのではありません。親がどんなときにも冷静に対応すれば、子どもも落ち着いて自分のしたことを振り返ったり、自分の考えを率直に親に伝えたりすることができます。親子が互いに気持ちを高ぶらせ、感情を露わにすることの続く毎日とは比較にならないほどのよい親子関係が築けることでしょう。何よりも子どもの勉強がはかどります。
今回お伝えした点について、多少なりとも参考になる点、改める点はありませんでしたか? もしもあったなら、ぜひ意識して修正を試みてみてください。お子さんの表情が明るくなり、親の期待に沿った行動をとるようになるかも知れません。
私ども学習塾の指導スタッフは、ご家庭でお子さんをサポートしておられる保護者の方々のご苦労を慮りつつ、お子さん一人ひとりが「自ら学ぶ姿勢」を携えた人間に成長されることを願って指導に当たってまいります。ご理解ご協力の程よろしくお願い申し上げます。