家族関係・親子関係の3国比較調査
7月 31st, 2017
毎日暑い日が続いています。親子共々、体調管理にはくれぐれも気をつけてください。
先日、静岡県のある町で、来年度から小・中学校の夏休みを16日間に短縮することになったということを報じる記事が新聞誌面に掲載されていました。2020年に実施される指導要領から英語の学習時間が大幅に増えるため(年35時間増加)、このままではカリキュラムの消化が困難になるからというのが主な理由のようです。町の教育長は、「親や教員の負担減少、子どもの学力増強にも寄与する」と、メリットを説明しておられるとか。とは言え、夏休みが2週間ちょっととなると、長い夏休みだからこそ可能だったことがだいぶ制限されそうですね。もしもみなさんの学校に適用されたとしたら、どのように思われますか?
夏真っ盛りのこの時期、このブログもしばらくお休みしようかと思ったのですが、先週月曜の更新日には千件近い閲覧がありました。ありがたいことなので、「今週も何か情報を」と思い直しました。今回は、家族関係・親子関係に関する保護者の意識を、日本とアメリカ、韓国との比較でまとめた資料をご紹介してみようと思います。
この調査は総務庁青少年対策本部が平成6~7年に実施したもので、日本、アメリカ、韓国の0~15歳児をもつ父親と母親(各国とも約千名)を対象に、委託された調査員による個別面談形式で行われたものです。資料としてはやや古くなっていますが、短期間で大きく変化する質問項目ではありませんのでご紹介することにしました。
では、最初の調査資料をご紹介しましょう。調査テーマは、子どもにどんな性格の持ち主になってほしいかを尋ねたものです。みなさんは、わが子にどんな性格を備えた人間に成長してもらいたいと願っておられますか。簡単なグラフ化が困難な質問のため、まず日本の調査結果を紹介してみましょう。
資料1 子供に望む性格特性
日本の親の特徴として感じるのは、「他者への思いやり」や「人に迷惑をかけない」など、他者や公共の場への配力のできる人間になってほしいという願いが強いということではないでしょうか。外国人のかたが、ラッシュアワーのときでも乗車の順序を重んじ、理路整然と整列して電車を待つ多くの日本人の様子に驚いたり、街にゴミが少なく清潔であることに感心したり、道路が込んでいてもクラクションを鳴らしたりしないマナーのよさをほめ称えたりしているという話をしばしば耳にしますが、それは日本の親の重んじる美徳と無関係ではないでしょう。
全体的に、日本と韓国は子どもに備わることを期待する性格がかなり似ていると言えるかもしれません。しかし、日本では第1位になっている「他人のことを思いやる心」は、韓国では11位になっている点が目立つ違いでしょうか。
いっぽう、アメリカの親がわが子に備わってほしいと願う性格はかなり違っているようです。やはり、文化や価値観がかなり違っていることの反映でしょうか。日本では順位の低い「公正さや正義感」「落ち着きや情緒の安定」が、それぞれ2位と3位になっています。
次の調査資料に移りましょう。テーマは、子育てをどんなものと感じているかを尋ねたものです。
資料2 子育てに伴う肯定的感情 (画像をクリックすると拡大表示されます。)
子育ては、楽しみや生きがいである。
資料3 子育てに伴う否定的感情 (画像をクリックして拡大表示)
子育ては、つらく、苦労が多い。
アメリカや韓国の親は、子育てを「有意義で生きがいを与えてくれるもの」と、肯定的に受け止め楽しむ傾向が強いのに対し、日本の親はあまりそういった肯定的な受け止めかたをしていないようです。
しかしながら、「子育ては、つらく、苦労の多いものだ」とはっきりと否定的な考えをしているかと言えば、そうでもないようです。むしろ韓国の親のほうにそういった感情が強いようです。日本の親は、「子育ては楽しいもの、生きがいとなるものとまでは思わない。しかしながら、ひたすらつらく苦労ばかりするものでもない」といった受け止めかたをする親が多いのかもしれません。これは親の考えかたが淡白というよりも、「子育ては好きか嫌いか、楽しいかつらいかといった二元論でとらえるべきものではなく、もっと奥の深いものだ」と理解している親が多いからかもしれませんね。
三つめの調査結果をご紹介しましょう。テーマは、子どものことについて夫婦でどのぐらい話しあうことがあるかについてです。
資料4 配偶者と子供のことで話し合う頻度 (画像をクリックして拡大表示)
※資料1~4 内閣府「子供と家族に関する国際比較調査」より
3カ国とも、そんなに大きな違いはみられません。しかしながら、「よく話し合う」という家庭の割合は日本が最も少なく、5割前後です。韓国の7割と比べると2割ほど少ないですね。日本では、子どもの教育に関することは母親任せになる傾向が強いと言われています。できるならおとうさんにもう少し頑張っていただき、子どもに関する様々な事柄について今以上に積極的に夫婦で話し合いの機会を設けていただきたいですね。
今回は以上で終わります。みなさんのご家庭の現状と比べて見られたでしょうか。「もっとこうしよう」と気づかれることは一つでもあったなら幸いです。また、「今の状態でいいんだ」という元気につながったなら、これもありがたいですね。
わが子の子育ては、「今」を大切にすることの繰り返しです。わが子の成長を願う子育ての営みは、「苦しくも、楽しいもの」に間違いありません。後悔の残らぬよう、がんばっていただきたいですね。