2017「後期講座」が開講します!
8月 28th, 2017
もうすぐ9月がやってきますが、夏の勢いはまだ衰える気配はなく暑い日が続いていますね。夏休みの余韻が色濃く残るなか、弊社では今日(8月28日)から「後期講座」が開講いたします。お子さんは、夏休みを何事もなく無事に乗り越えられたでしょうか。
先日は、夏の講座の区切り目に、5年部会員家庭のおとうさんが娘さんと一緒にプールに出かけられるという話をお聞きしました。実はそのおとうさんと筆者はスポーツ仲間で、日曜日にお誘いしたら「今回は無理」と、断られました。その理由が前述のお子さんサービスだったというわけです。「わが子のがんばりに少しでも報いてやろう、気分転換の機会を与えてやろう」という親心が感じられ、気持ちの和む思いをしたしだいです。
ところで、お子さんは、夏休みの宿題を無事やり終えられたでしょうか。先日、出版社系のウェブサイトで、ちょっと興味の魅かれる記事が目に留まりました。子どもの夏休みの宿題や自由課題の終わらせかたのパターンを幾通りかに分け、それをもとに「子どものころの夏休み課題の片付けかたと、大人になってからの仕事の進めかたや行動パターンとに共通点があるかどうか」について、ライターがご自身の考えを書いておられました。ちょっとご紹介してみましょう。
まずは、夏休みの課題の片付けかたですが、次のような5つのタイプに分類されていました。
(1) 先行逃げ切り型(7月中にすべての宿題を終わらせる)
(2) コツコツ積み立て型(ペースを守ってムラなく計画的に終わらせる)
(3) まくり型(夏休みの最後になって大慌てで取り組む)
(4) 不提出型
(5) その他(他人任せ、嫌いなものは後回しなど)
あなたはどれに当てはまると思いますか? どの小学校でも「夏休みの計画表」を作成するよう指導されますから、当然理想と言えるのは(2)のタイプだと思います。しかしながら、大概夏休みの前半は勉強が後回しになりがちで、やろうという気持ちはありながらも計画通りにはかどらないことが多く、結局は(3)のまくり型のような状況に至るお子さんが少なくありません。それも、自分でまくって宿題や研究課題を片付けるならまだしも、親の叱咤激励やサポートを得て、やっとの思いで格好をつけるケースが多いのではないでしょうか。
大昔の話ではありますが、かくいう筆者も親の手伝いに頼ることはなかったものの、宿題を後回しにしたつけを払わされる夏休みの終盤の慌ただしい毎日は、おなじみのことだったように記憶しています。
さて、前述のライターのかたは「子どものころの夏休みの宿題の片付けかたと、大人になってからの仕事のさばきかたの関連性については、「 ○ 」と答えておられました。つまり、子どものころに夏休みの宿題や自由研究などをどう片付けていたかと、大人になってからの仕事の片付けかたと「関連あり」と感じておられるようです。また、宿題を片付けるタイプとしては、「(5)その他と(3)まくり型のハイブリッド」だと答えておられます。以下は、そのライターのかたがご自身の回答について説明しておられる記事の引用です。
絶対に提出しないと怒られそうな宿題と、それほどの必死度はないものとにとりあえず分ける。前者は「それをやらなければいけない」という精神的な負担を持っていること自体が嫌なので、早めにやってしまう。だいたい7月中には終わらせてしまうのです。でもそれですっかり清々してしまって、後者の必死度が低いものは「こっちはじっくりやるのだ」と言いながらもずるずると放置し、気がつけば8月も後半になって「しまった……」と焦るという、なんだかややこしい夏休みの過ごし方でした。「先行逃げ切り型と」と「追い込みまくり型」のハイブリッドというか。
いまの仕事の進め方も、気がつけば小学校のころと似ているかも。雑誌などメディアに寄稿する単発の仕事は、比較的早めに終わらせます。〆切をすぎて「早く書かなきゃ」とイライラするのが嫌なので、そのイライラを消すために終わらせてしまいたい。机の上を片付けてスッキリさせたい気持ちと同じようなものかもしれません。でも書籍の原稿執筆のような、じっくりと腰を据えて取り掛からなければならない長期の仕事は、どんどん後回しになってしまってなかなか進みません。「まる一日空いている時でないと、集中できない」「まだ思考が整理できていないから、もう少し文献読まないと」「あの人に会ってからじゃないと書き出せない」などとあれこれ弁解を自分自身に向かって述べているだけで、ずるずると先延ばしになってしまっているのです。これじゃダメだよねえ、と思いつつ。
このライターさんの著述は、これから中学受験をするお子さんがたにとってなかなか参考になるものではないかと思います。また、このかた自身が、中学受験を経験して私立の中高一貫校に進学されたのかも知れないと思いました。というのも、重要度で優先すべきことを仕分けし、段取りをつけてやるべきことを片付けていくということができるかどうかが、中学受験での志望校合格、そして学習進度が早く宿題の多い私立中高一貫校でうまく学力を伸ばしていくうえでの必須条件だからです。
とはいえ、どんなに優秀なかたでも重要度の高い、疎かにできない仕事のめどがついたら、ちょっと気が緩むものです。そうして、「このままだとまずい」と感じたところで、手早く残りを片付ける。これができるかどうかが、頭のよい人間になれるかどうかの分岐点のひとつだと思います。
また、これまで何度も書いてきましたが、「どういう人間のタイプになるか」は、だいたい小学校時代までに決まるものです。みなさんのお子さんのように、2年、3年にわたって受験生活を送られるお子さんは、人間形成上の重要な時期に、時間やエネルギーを投入して負担の多い勉強をやりこなしていくことになります。そのやりこなしかたが、そのままお子さんのものごとに取り組む基本的なスタイルとして定着していくのは疑いないことでしょう。
入試本番までに余すところ数カ月。いよいよ学力の仕上げ段階へと進んでまいります。今から本番までの期間は、1日という時間のもつ意味の重要性がまったく違ってきます。もはやノンビリやウロウロ、ウッカリは合格の妨げ以外の何物でもなくなります。時間を有効に使いながら、苦手対策や仕上げ学習を効率よく進めていく必要があります。
前述の「優先順位をつけて、重要なものから先に済ませる」という姿勢や、「一定期間のスパンでやり遂げるべき課題を絞り込み、計画的戦略的に取り組む」という姿勢がこれまで以上に求められてきます。夏期講習での手ごたえや、テスト結果を踏まえ、親子でこの秋からの受験学習に関する「努力目標」や「やるべきこと」を確認し、それらを毎日優先順位に沿って片付けていくよう促してあげてください。
日々の学習の計画は大概の家庭で立てておられると思います。問題は、それをどれぐらいやり遂げられるかです。ただし、親が圧力をかけてやらせる、親の指導の下で全部終わるまで時間に糸目をつけない、といった関わりかたは望ましくありません。むしろ、多少は落ち度があっても、先にすませておくべきは何かをお子さん自身に考えさせたり、時間枠の中で予定の学習を済ませようと努力することを奨励し見守ったりすることのほうが重要です。このプロセスで、子どもたちは勉強の自律性や段取り力を身につけていきます。
親にとってはまどろっこしくもどかしいことですが、親が手を差し伸べすぎると、今回の話題で取り上げているような頭のよい勉強法は身に着きません。親の力で予定を全部無理にやらせても、子ども自身が取り組んだ成果でないものは力になりません。受験までに時間のある今のうちにこそ、頭のよい勉強法が身に着くよう応援してあげてください。
暑苦しい夏が終わると、まもなく勉強やスポーツに最適の季節である秋がやってきます。このよい季節を上手に活かし、大いに成果のあがる勉強を実践してまいりましょう。今ある勉強をどう片付けるか。それは、受験での結果を決めるだけでなく、中学入学から大学までの長い学びのありかた、ひいては社会人になってからの仕事への取り組みや成果にも少なからず影響を及ぼします。親がわが子の勉強や生活に関われるのは、せいぜい小学生いっぱいまで。その関わりかたも大変重要です。