玉井式の「年長児体験授業会」を開催しました

12月 18th, 2017

 12月16日(土)には、弊社の広島校で年長児を対象とした玉井式の「体験授業会」を開催しました。事前の宣伝と言えば、ホームページでの告知のほか、チラシに小さく案内を載せただけでしたが、予想を上回る数の申し込みをいただきました。アニメーションの活用など、お子さんの年齢に即した講座のように受け止めてくださったからでしょうか。

 当初は10名程度のクラスを二つ用意すれば十分と思っていたのですが、反響が予想外に多かったため、結局「定員12名×3クラス」を設けることにしました。その増設分もすべて埋まり、熱気を感じる催しにすることができました。

 玉井式にはいくつかの講座がありますが、弊社が導入しているのは「国語的算数教室」です(興味をおもちのかたは、ホームページで内容をご確認ください)。この講座は、年長から小学3年生までを対象としていますが、弊社では小1~3のお子さんをお預かりしています。この催しは、来春小学1年生になる子どもたちと保護者をお招きし、この講座のよさに触れていただくために実施したものです。

 さて、子どもたちはまだ塾や授業について客観的な判断ができませんから、保護者には授業を見ていただく前に「説明会」を実施し、玉井式をご理解いただくためのポイントをご説明ました。ただ漫然と授業をご覧いただくよりも、授業の仕組みや意図を知っていただき、どういう観点に立って授業を見ていただきたいかをお伝えしました。いっぽうの子どもたちですが、初めて足を踏み入れる塾ですから緊張しておられます。そこで、はじめは教室の雰囲気になじんでいただくため、「折った紙にはさみを入れたらどんな形ができるかな?」(後の授業で扱う内容とリンクしています)など、クイズのような課題に取り組んでもらいました。

 保護者で教室がギュウギュウ詰めとなった説明会では、全員が熱心に耳を傾けてくださる様子が感じられ、説明を担当した筆者も、保護者の熱気に後押しされたかのように、予定外のことまでたくさんお話しすることになりました。

 教室の準備完了の知らせを受け、取り急ぎ説明会を終えると、保護者には教室へ移動していただきました。それから、授業の柱となる「ものがたり算数」と「かたちの形」の参観へ。授業の様子ですが、どの子も学びのスタイルが新鮮だったせいか、アニメーションに釘づけになり、学習課題に一生懸命取り組んでいました。どのクラスにおいても、子どもたちの行儀のよさに感心したしだいです。

 ここで誤解を避けるために申しあげておくと、いくらアニメーションを介した学習といっても、子どもたちが意図した学習をやりこなし、成果をあげるには、先生のしっかりとした授業プランや進行の技術が不可欠です。特に、課題に思考を巡らせ、解決に向けた糸口を発見し、解を得るまでのプロセスは、子どもたちの頭脳が躍動する貴重な時間です。この流れをきちんとフォローする先生の存在が、指導の成果を引き出しているのは言うまでもありません。子どもたちが「ああ、楽しかった!」と満足する授業を提供できるかどうかは、やはり何と言っても先生の情熱や技量しだいなんですね。

 実際、今回の「体験授業」においても、先生の導入説明や問いかけ、誘導が上手でなかったなら、子どもたちの反応は引き出せなかったと思います。慣れない学習の場での緊張もありますから、先生の語りかけが適切でなければ、子どもたちが学習対象となる課題の意味を理解し、解き明かしたいという気持ちは湧いてきません。初めは控えめだった子どもたちの反応も、徐々に積極的なものになり、最終的にはほぼ全員が一生懸命に課題に取り組みながら、発表することにも積極的な姿勢を見せるようになりました。こういう体験を連続的に1年間したなら、お子さんの内面には驚くほどの変化が生じることでしょう。

 今回の授業の内容ですが、「ものがたり算数」ではアニメーションの物語を楽しんだあと、物語の内容についておさらいをし、そのあとは今回のメインテーマである「4までの数」と「時計の読みかたの原則」について学んでもらいました。また、「かたちの形」では、図形のアニメーションキャラクターである「さんかくん」の案内に応じて、折り紙にはさみを入れてどんな形ができるかを学んでもらいました。

 さて、僅か1回の授業だったものの、子どもたちにとってはこれまで体験したことのない刺激的な時間になったのではないかと思います。ここで、低学年時の学習に対する玉井式と弊社の共通した見解をお伝えしておきたいと思います。

 玉井式は「9歳までの才能開発」を謳っていますが、決して単純な早期教育に走っているわけではありません。「他の子より早く難しいことを覚えたりできるようになったりする」ということをめざしているのではなく、「どの子にも本来宿っているはずの資質が花開くために必要な刺激を当てる」ことを意図しています。たとえば、図形に対する感覚的素養は、小学校の3~4年生までの生活や遊び、学習の体験を通して磨かれますが、そういった体験をしないまま高学年になると、図形課題に取り組む際に求められる感覚が養われていないために、「わからない」で終わってしまう危険性があります。

 また、小学校への入学は「リテラシー社会への正式な参入」を意味しますが、ひらがなや漢字に触れる体験をすでに幼児期からしているお子さんが大半を占めているのが現実です。その割に、読解力が伸び悩むお子さんが多いのはなぜでしょうか。これは、覚えること自体に追われて、文字の本来の機能に気づかせ、実生活での応用体験につなげる指導が行われていないからではないでしょうか。次の絵を見ていただくと、その意味がおわかりいただけるでしょう。

 これは専門家の書物にあった指摘ですが、小学校入学までにたくさんの文字や漢字を覚えていた子どものアドバンテージは、2年生になるころにはほとんどなくなってしまうそうです。理由は、先行体験をしていた子どもは知的興味に基づく勉強をしていたのではなく、大人に言われたから、親がほめてくれるから学んでいたに過ぎないからです。いっぽう、先行体験はあまりなくても、正式に文字を学ぶ体験から文字の果たす役割や利便性に気づいた子どもは、この便利な文字・漢字というものを使って自分の思いを伝達することに強い興味を抱きます。たとえば、「おかあさんに手紙を書こう!」といったように。こうした経験は、人間が文字を発明するに至った歴史的な経験を、子ども自らがするということに他なりません。だからこそ、すばらしい勢いて文字・漢字の習得が進んでいきます。その結果、わずか1年もすると、先行体験の豊富だった子どもを抜き去ってしまうのです。

 「国語的算数教室」という呼称は、文章読解の力がつく算数の教室という意味で命名されています。その内容に触れていただくとご理解いただけると思いますが、漢字をたくさん覚えさせたり、語彙の増強に力を入れたりしているわけではありません。難解な文章を読ませることを意図しているわけでもありません。アニメーションの続きを文章化し、子どもたちに「アニメのお話の続きはどうなるのかな?」という興味や知りたいという欲求を引き出しながら、自然と長い文章に食いついて読み通す姿勢を築いていきます。その結果として読解力が身につくのです。

 小学校低学年までの子どもの学習は、「知りたい」という気持ちや「楽しさ」が背景となるべきものです。そうでなければ毎日の継続は成立しませんし、意欲が伴わないために成果も上がりません。「玉井式国語的算数教室」は、アニメーションの楽しさを、ただ「楽しい」で終わらせずに、「もっと知りたい!」という子どもの知的欲求を上手に刺激していきます。そうして、学習体験を意味のあるものにしていくとともに、子どもに備わる資質を顕在化させていきます。そういう意図に基づく講座なのです。

 今回参加くださったご家庭はもとより、「玉井式国語的算数教室」に関心を寄せてくださっているご家庭のご入会を心よりお待ちしています。2018年度の開講は3月を予定していますが、2月には弊社の全校舎で新1~3年生のお子さんを対象とした「体験授業会」を開催いたします。こちらにもぜひ参加していただければと思います。

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