中学受験の助走は、親子共々意義がある!
1月 22nd, 2018
今日は1月22日(月)です。17日(水)に広島県西部地区の私立中学校入試解禁日を迎えましたが、わずか1週間足らずのうちに連日いずれかの中学校の入試が行われ、昨日の広島学院中学校の入試をもって主要な私学の入学試験があらかた終了しました。
多くの中学校では、入試の翌日もしくは2~3日後には合格者が発表されます。すでに広島大学附属中学校の合格発表を皮切りに、毎日のように合格発表が行われています。合格発表が終わっていないのは、本日発表予定の広島学院中学校と鈴峯女子中学校(入試2)、27日(土)に入学者選抜の適性検査が予定されている県立広島中学校、同じく27日に入試が行われる予定の崇徳中学校(後期入試)ぐらいです。
なお、弊社の会員受験生の合格状況ですが、今のところ特に昨年と大きな違いはありません。一般への公表については、例年同様に補欠からの繰り上りが収束した頃に行う予定です。おそらく月末頃になろうかと思います。ご了承のほどお願い申し上げます。(追記:この記事を掲示後、昼頃広島学院の合格発表が行われましたが、こちらもまずまずの結果を得ているようです)
また、県立広島中学校を受検されるお子さんも多数おられると思います。適性検査が実施される今週末まであと5日ほどありますので、最後のコンディション調整をしっかりと心がけてください。くれぐれも風邪などひかれませんように。
さて、入試シーズンが終了すると学習塾はすぐさま新年度の講座を開講します。今はまさに会員募集の真っ最中です。まだ塾選びをしておられるご家庭も多数おありでしょう。今回は、そのようなご家庭の保護者や、弊社の現会員で新しい年度の講座開講に臨まれるご家庭の保護者に、中学受験にあたって弊社が大切にしている考えについてお伝えしようと思います。
その内容ですが、一言でいえば今回のブログタイトルの通りです。中学受験の価値は、お子さんの進学の希望をただ叶えることだけにあるのではありません。むしろ受験をめざす助走にこそあるのだということです。また、受験のプロセスがもたらす恩恵に浴するのはお子さんだけではありません。保護者の方々にも少なからぬ収穫がもたらされるのです。
これからお伝えすることは、すでに何回も書いているのですが、今からわが子に受験をさせる保護者にもぜひ参考にしていただきたいと思っています。
少子化が進行する昨今においては、一家庭当たりの子どもの数は一人もしくは二人が一般的です。また、便利で豊かな暮らしが浸透した今日は、おかあさんがたの家事の負担もずいぶん軽減されています。いきおい、親は子どもに対して過保護の傾向が強くなります。
かつてと比べて、子どものことに目が行き届くようになったのは好ましいことではありますが、親がわが子のあらゆる点に手を差し伸べるあまり、いつまでも自立できない子どもが増えていると言われます。しかしながら、「世話をする→自立し損なう」という流れは、決して親自身が望んでいることではありません。「わが子には立派な人間に育ってほしい」と、強く願っておられるはずです。
「かわいい子には旅をさせよ」という諺がありますが、子どもを独り立ちさせるためには、敢えて子どもに試練を与えることも必要ではないでしょうか。私たち家庭学習研究社は、「わが子に中学受験をさせる」ということも、そのための有効な選択肢の一つだと考えています。無論、そうした意図とは別によい教育環境を与えるための一貫校進学という発想をおもちでしょうが、「子どもを自立させる」という意図も併せもっておられたなら、中学受験の意義はより一層高まると思います。なぜなら、わが子によりよい教育環境を与えることも、最終的には人間として自立し、社会に貢献できる立派な人間にすることをめざしたものだからです。
こういった意識を保護者がもっておられるかどうかで、親の見守りやフォローの姿勢も変わってくることになりますし、なによりもお子さんの勉強に向けた取り組みが違ってきます。たとえば、親は「受験生であっても、勉強さえしていればいいということではない」という姿勢で臨むことになりますから、当然子どもも学校生活や家庭生活との両立を軸に勉強することを意識するようになります。親が「家の手伝いだってして当たり前」という態度でいれば、子どもも受験勉強を盾にとって甘えた生活を送ることはありません。それは、子どもにとっては楽ではないものの、人間としてのまっとうな成長を果たすうえで必要なことではないでしょうか。
ただし、受験生はまだ小学生ですから、親が望むような勉強がなかなかできないものです。どうかすると、親のほうがストレスに苛まれるような事態にもなりかねません。しかし、ここが親のがんばりどころです。思うに任せぬ子どもの勉強ぶりに苛立ち、「そんなことなら受験なんてやめなさい!」「塾に行っても意味がない!」と、子どもを揺さぶって勉強に向かわせようとするのか、それとも子どもの気持ちを確かめながら、親がわが子に何を望んでいるのかを辛抱強く説明し話し合うのかで、子どものやる気や親に対する信頼の気持ちは大きく変わってくるものです。そこに、親子共々成長できるかどうかのポイントがあるように思います。
たとえば、こんな受験生家庭がありました。こういうことは、中学受験をするお子さんをおもちのご家庭につきもので、親としての対処が問われるところだと思います。
5年生の男の子をもつおかあさんが悩んでおられました。なんでも、受験生活とサッカーとの両立を図っているものの、お子さんが自分にとって好きなほう・楽なほうに流れやすい性格であるのを気にされていました。そんなとき、サッカーの試合と土曜日のテストの日が重なってしまいました。おかあさんは、「ちゃんとテストを受けてほしい」と願っておられましたが、心配したとおり、お子さんはサッカーの試合に出かけたそうです。おかあさんは叱るのを堪え、試合のあとでお子さんとじっくり話し合いました。そして、「勉強もおろそかにしない」という約束をされたそうです。
この後、お子さんが急に変わるまでには至らないかもしれません。しかしながら、親の粘り強い働きかけはだんだんと子どもを変えていくものです。また、小学校の高学年ごろから、子どもは急速に社会性や良識を身につけ、自分のとるべき態度や行動について考えられるようになっていきます。このような流れを築くためにも、親の筋の通った、抑制の利いた対応が求められるのではないでしょうか。わが子の成長を目の当たりにする日が来るまで、親はやきもきイライラさせられることになりますが、この経験こそが親にとっても大きな意味をもつのだと思います。
受験での結果を得ることと、自立した勉強のできる人間へと成長すること。この二つをめざしませんか? このような受験は、子どもの人生を有意義なものにするうえで、また永遠の親子関係を築くうえで大きな作用を果たすと確信します。受験の結果は全てのご家庭に満足のいくものになるかどうかはわかりませんが、少なくとも「受験など意味がなかった」という後悔は残らないということは確約できます。また、お子さんの将来の飛躍に向けた礎を築くうえでもお役に立てると思います。ぜひ、新年度講座にご入会いただき、この二つの目標の実現に向かってがんばっていただきたいと存じます。私たちも、それぞれのご家庭の受験生活の充実に向けて、精一杯応援させていただきます。
受験体験記の「GET(ゲット)」で、受験を終えたお子さんが「どんなときにも、おとうさんおかあさんは自分のことをあきらめずに一生懸命応援してくれた。だからこそ今の自分がある。ありがとう」と感謝の言葉を述べているのを何度も目にしたことがあります。そういう受験生活を、すべてのご家庭で実現されることを願ってやみません。
※子どもの自立勉強を実現するための学習指導については、昨年11月6日に掲載した記事を参考にしていただければ幸いです。