人間形成期の受験と勉強を考える ~夏期説明会のご案内~

6月 4th, 2018

 わが子にはできるだけよい学習環境を与えてやりたい。そして、学力・知性の高い人間に成長してほしい。――このような願いを抱く保護者はたくさんおられると思います。

 しかしながら、一歩踏み込んで「よい学習環境とはどのようなものか」と問われたなら、おそらく返答は人によって随分異なることでしょう。また、学力面での期待の大きい保護者同士でも、「そもそも学力とはどういうものか」と問いかけられると、それぞれ違った見解を提示されることでしょう。

 弊社は中学受験の専門塾ですが、「子どもが受験で合格すればそれでよい」とは思っていません。受験するのは人間形成途上にある12歳の小学生です。受験生活が学力面はもとより、人間としての成長に寄与するものであってこそ、受験をめざすことに真の価値が生まれるのだと考えています。したがって、学習塾が提供できる「よい学習環境」とは、‟学力向上”と‟人間としての成長”、この両方を満たす環境であり、学習塾が育むべき学力とは、善い人生を歩むために必要となる知性や人間力を養ってくれる能力なのだと思います。

 この点において学習塾が忘れてならないのは、中学進学後の長い学習生活を視野に入れて学習指導を行うということです。具体的には、暗記やスキルに偏重した受験指導(合格力は身についても、学びの姿勢の育成には寄与しない)ではなく、受験対策で習得した知識や技能が、後々のさらなる成長に向けた手立てとなって生かされるような学習指導を実現する必要があるでしょう。

 筆者は30数年間家庭学習研究社で広報の仕事をしてきました。そんな筆者にとって、上述のような考えに基づいた受験指導を実践するのは当たり前のことですが、中学受験塾の役割について一般のかたが抱いておられるイメージとは必ずしも一致していないようです。

 たとえば、ここまで述べたようなことを塾の方針としてお伝えしたとき、「あなたが今語ったのは教育ですよね」と訝しげな表情をされたことがあります。おそらく、そのかたには「塾は合格を請け負うところだ」という認識が強くあったのでしょう。確かに、学習塾は受験生を合格に導くためにあるのですが、そのための手段が人間としてのまっとうな成長に支障をきたすものだったとしたら、せっかくの合格も意味をなしません。「いかなる受験指導も、教育的側面からの配慮失くしては成り立たないのだ」と、弊社は考えています。

 子どもの勉強ぶりが思わしくないとき、「少々のことは目をつぶります。無理やりでもいいから勉強させて」といったような要請を受けることがあります。「とにかく、目の前の受験をクリアすれば、あとは学校がわが子を引っ張り上げてくれるだろう」「とりあえず、合格しないことには次の見通しは立たない」という思いが背景にあるのでしょう。その気持ちは痛いほどわかるのですが、合格をめざして汗を流すそのプロセスにこそ、子どもの近未来を予見させる真実があるのではないでしょうか。大人主導で行った受け身の勉強は、自ら這い上がるための手立てを育んではくれません。中学校で一から学びの態勢を築こうにも、速いペースでカリキュラムを消化する進学校において、真っ先に求められるのは、受験勉強で育てたはずの「自立勉強の姿勢」に他なりません。「蒔かぬ種は生えぬ」の諺のとおりです。受験準備の段階にこそ種を蒔き、先々伸びる芽を育てておくべきではないでしょうか。

 このところ、某大学のアメリカンフットボール部の危険な反則がもとで露見した、部活の歪んだ管理指導体制が国民的な関心を呼んでいます。監督やコーチが思いのままに選手を操り、スポーツマン精神とはおよそかけ離れたプレーを強要する。そこには学生一人ひとりの「人間的成長」という視点はかけらもありません。教育の一環として行われるべき学生スポーツの本分から逸脱した、主客転倒の実態が浮き彫りにされたショッキングなできごとでした。

 翻って学習塾も大勢の子どもたちをお預かりし、学習活動を支援する立場にあります。「これをまったくの他人事と看過してよいのだろうか」という気持ちが頭をよぎってきます。と言うのも、進学塾には「合格実績で人気を呼び込む」という一面があります。それが高じると「とにかく、何としても合格者を増やそう」という気持ちになるやもしれません。しかしながら、受験の主役はあくまで子どもです。また受験は子ども一人ひとりの将来を思い描いてのことです。当然、日々の学習指導は子どもたちの進歩・成長につながるものであるべきでしょう。この原点ともいうべきことを、常に忘れず肝に銘じておかなければなりません。そんなことを考えてしまいました。

 弊社の経営者は、「子どもの望ましい成長に資する学習指導の実践」という方針を設立当初から掲げてきました。前述の事件を通して、この方針に基づく学習指導の重要性を改めて痛感させられた次第です。前置きが長くなってしまいましたが、趣旨に免じてご寛容のほどお願い申し上げます。

 さて、この夏休みにお子さんの塾通いを検討されている保護者はおられませんか? 中学受験準備に向けた勉強のスタートを、この夏休みから考えているおとうさんおかあさんはおられませんか? このような方々のために、中学受験専門塾である弊社の学習指導についてご説明する催しをご用意しています。この催しの概要は以下の通りです。よろしければぜひお越しください。夫婦での参加も歓迎いたします。

 

①家庭学習研究社 低学年部門「夏期講座説明会」のご案内

 勉強に向いた頭脳の持ち主になれるチャンスは、全てのお子さんに平等に与えられています。小学校に入学し、文字や数字の学習が正式にスタートしてから約3年間の学習(例:読み書きの能力が目に見えて進歩するのは3年生頃です。ただし、それは小学校入学以来の学習の積み重ねや継続があってこそ可能になります)を大切にすれば、どのお子さんも学力に秀でた人間に成長することが可能なのですから。必要なのは、そのための流れを築くために大人が何をしてやるべきかの判断を誤らないことであり、そしてそれを実行に移すべく子どもに働きかけることです。

 弊社の「夏期講座」に興味をおもちのかたは、ぜひこの説明会にお越しください。夏の講座の説明だけでなく、学力優秀な子どもに成長していくために必要な道筋について保護者にご提案します。お子さんの学力形成に向けた、確かな見通しが開けてくるようお話しします。

 

②家庭学習研究社 中学受験部門「夏期入会ガイダンス」のご案内

 この夏休みから、中学受験準備のスタートを視野に入れておられるご家庭のために、全校舎で「入会ガイダンス」という呼称の催しを開催します(呉校のみ、「中学受験ガイダンス」という呼称の個別ガイダンスを実施します)。通学を検討されている校舎に、お気軽にお越しください。

 上述のように、弊社は「受験での合格」だけでなく、将来の充実した人生の実現に向けて確かな足がかりを築く学習指導を実践すべくがんばっています。どのような枠組みで、どのようにしてそれを果たすのか、ぜひ校舎の責任者の話を聞いてお確かめください。

 夏休みは、受験勉強を一から始めるうえでよいタイミングの一つです。「授業」と「家庭学習」を交互に繰り返しながら勉強の流れを築けるし、毎日の学習スケジュールに沿って勉強を進めていく姿勢を養えるからです。「入会ガイダンス」に参加し、受験の実状や必要な学力、塾の指導方針などに触れ、この夏休みからの受験生活のスタートに向けて、具体的に検討を進めていただければ幸いです。

 受験勉強のプロセスでは、子どものみならず親もいろいろと悩むものです。勉強へのアプローチのしかたも、即効性を求めるか、長い目で見るかなど、悩んだらきりがないほどです。しかしながら、子どもを取り巻く大人(保護者や学習塾)の考えかたの軸がブレてはいけないと筆者は思います。迷ったり悩んだりしたとき、最も大切にすべきは「それは真の成長に寄与するか」という問いかけに基づく判断ではないでしょうか。

 無理につくった形だけのテスト学力は、先々待ち受ける様々な困難を乗り越える力を与えてくれません。じれったくても、子どもが自分なりに努力して勉強のすべを身につけるプロセスを大切にしてやる必要があります。こうして培った学力は、正しい判断や行動へとお子さんを導いてくれます。そうした流れを築くためのお手伝いをするのが弊社の役割だと考えています。

 上記説明会に参加されれば、弊社の考えや指導についてより詳しい情報を得ていただけるでしょう。ぜひ一度足を運んでみてください。

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