低学年部門の「夏期講座」に参加されたご家庭へ

8月 17th, 2018

 早いもので、低学年部門の「夏期講座」は、すべてお盆前に終了しました。1・2年生は5日間、3年生は7日間と、受験対策指導をする高学年部門よりは日数もずっと少なく、まさに「あっという間に終わった」と、感じているお子さんもおられることでしょう。

 「夏期講座」を終えた段階で、夏休みもおおよそ半分が終了しています。お盆の期間は親の里帰りに同行したり、遠方への旅行があったり、それが終わると残った学校の宿題(夏休み課題)に取り組んだりと、意外と子どもたちの毎日は慌ただしく、そうこうしているうちに夏休みも残りわずかになってきます。夏休みの終盤が、宿題に追われる気ぜわしい日々にならないよう、計画に沿った勉強を心がけていただきたいですね。

 8月上旬のある日、テニススクールの受講を終えて帰り支度をしていると、コートの施設内にいた小学生に、どなたかが「夏休みの宿題はもうやったの?」と声をかけておられました。すると、「えっと、半分以上やりました」という返事が聞こえてきました。その声は毅然としており、「ちゃんとやってるよ」という気持ちがしっかりと感じられました。このお子さんは、たぶん学習のスケジュールを立て、計画的に夏休みの勉強をしてきているのでしょう。「感心だね。その調子でがんばってね」と、優しい励ましを受けていました。

 ところで、弊社の低学年部門の「夏期講座」に参加されたお子さんの保護者に、お尋ねしたいことが一つあります。お子さんは、夏の講座での学習について、どのような反応を示されたでしょうか? 家に帰った後、塾での勉強について何か楽しい話をしたりうれしい報告をしたりしてくれたでしょうか?

 実は、「夏期講座」の開始にあたって実施した指導者研修において、授業を受けもつ先生がたに強くお願いした事柄があります。それは、「毎回の授業において、担当クラスの子ども一人ひとりから、それぞれ最低一回は笑顔を引き出す」ということです。塾での授業を「楽しい!」と感じたお子さんは、家での勉強も嫌がらなくなります。イヤイヤ塾に来て、つらい勉強に取り組まされていると子どもが受け止めると、本来は楽しいはずの「頭を使って考える」「自分で問題解決を図る」という行為が成り立たず、それどころか台無しになってしまいます。塾での勉強の時間をまずは「楽しい」と感じていただくため、クラスの子どもたち一人ひとりの目を見ながら、学習課題に対する興味を引き出すよう働きかけ、疑問を解決したときの気持ちよさや喜びを味わう体験を保障することを、何よりも意識してほしかったのです。ですから、ただ面白おかしい時間を演出するのではなく、学習課題を解決するプロセスの面白さをクラスの全員に味わわせる授業の実践をお願いしました。

 子どもたちには、この先気が遠くなるほど長い学びの人生が待っています。そのしょっぱなの段階で最も重要なのは、勉強に対するプラスのイメージを脳に浸透させることです。また、おそらくほとんどの夏期講座参加生は中学受験を視野に入れておられるご家庭のお子さんであろうと思います。今のうちに勉強に対する能動性を築いておけば、受験勉強の期間の精神的な負担は比較にならないほど少なくなりますし、むしろ受験勉強を積極的に受け入れる気持ちで取り組めるようになります。ですから、受験生活を子どもにとっての成長の場にするためにも、今のうちに勉強に対するよいイメージを築いておきたいものですね。また、夏休み限定の講座ですから、いろいろと欲張るよりも、「これだけは!」という重要な収穫を全てのご家庭に提供したいと考えた次第です。その意図がうまくお子さん一人ひとりに浸透し反映されていればうれしいのですが…。

 また夏期講座では、お子さんがたに家庭で取り組む学習課題を配布しました。その課題にしっかり取り組まれたでしょうか。というのも、勉強の楽しさを享受できるようになるための方法の一つに、学習の習慣づけをはかるということがあります。ある程度の分量の課題を提供し、それに取り組む学習を日課に組み入れて継続的にやりこなすことで、学習の習慣は徐々に子どもに浸透していきます。そうして、夏休み後も学習の習慣を維持していくうちに、計画を立て、その計画に沿って勉強することが当たり前になり、やらないと気が済まなくなっていきます。そのプロセスで、勉強の面白味や醍醐味も徐々にわかってくるようになり、勉強が一生欠かせない重要な営みになっていくのです。くり返し継続すること、習慣づけをはかることがすばらしい成果をもたらすのですね。まだ学習の習慣づけが十分でないお子さんは、夏休みの家庭学習課題への取り組みを起点に、徐々に勉強を毎日決まった時間にする習慣を根づかせていただきたいですね。

  こうした習慣づけに絡めて、ぜひ保護者に励行していただきたいことがあります。それは、定期的にお子さんと一緒に読書を楽しむ時間を設けることです。親と一緒に同じことをすることを子どもは喜びます。同じ本を交替で音読してもよいし、親子それぞれ好みの本を読んでもいいでしょう。これを習慣づけると、自ずと勉強のほうの習慣づけに役立ちます。ぜひ試してみてください。 

 みなさん覚えはありませんか? 小学生の頃、日頃の学校の宿題や夏休みの課題の取り組みが行き当たりばったりで、いつも期限の直前に大慌てで済ませたり、提出が遅れたりしていた人は、中学生・高校生になっても、いや大学生や社会人になってからも基本的に変わらず、同じような傾向が続いている可能性が高いものです。今のうちに計画に沿った勉強、段取りに基づいて取り組む勉強をお子さんに浸透させましょう。それは一生の財産として、ずっとこの先もお子さんの人生の歩みを支えてくれます。

 もう一つ、この夏休みからこれまで以上に配慮していただきたいことがあります。それは、子どもに対する期待を愛情深く伝えるということです。わが子の勉強(行動の全て)に関心を寄せ、現状について話し合い、激励することを精力的に行うということです。共働きで両親共々なかなか子どもとゆっくり話ができない家庭の場合、そうした事情をわが子に伝え、可能な時間の範囲で親が何を期待しているのかを伝え、子どもからの報告を聞いてやったりアドバイスをしてやったりすればそれで十分です。

 勉強に今一つ身が入らないお子さん、やる気が感じられないお子さんの場合、叱っても効果はありません。まずは勉強に活気を取り戻させ、よい循環を築くようがんばっていただきたいですね。自分のすることに親が関心をもってくれ、熱心に話を聞いてくれる。そのことは、子どものやる気をがぜん高め、高いレベルの行動力を引き出すようになります。

 注意や叱る言葉を極力少なくし、子どもの努力を応援してくれる親こそ、子どもの望む親です。こうした応援によって、今のうちに強固な親子の信頼関係を築いておけば、中学受験に向けた準備学習が始まってから生じがちな親子の軋轢も格段に少なくなります。夏休みを無事に乗り越えるプロセスから、親の対応を変えていくべくがんばってみませんか?

 以上述べたことを、簡単にまとめてみました。多少なりとも参考になればうれしいです。

 親がわが子のすることに関わり、心からのバックアップをする。それができるのは今のうちです。子どもの自立に向けた成長を軸に、今できる親ならではのサポートをしてあげてください。

 夏休みの終盤は、溜めた課題に親が苛立って手伝ったり叱り飛ばしたりすることが多くなるものです。この夏休みを契機に、そうした状況と無縁の家庭にしませんか? 今のうちに子どもに自己管理の方法を教え、自分で自分のことができるよう導けば、やがて来る中学受験生活は親子共々格段に楽なものになりますよ。

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