自己肯定感が学習活動に及ぼす影響 その2

8月 27th, 2018

 今日は8月27日月曜日です。広島市内の小学校では、大概8月27~28日ごろに夏休みを終了し、早めに授業を再開するようです。弊社の講座もこの流れに合わせ、8月最終週の初日にあたる今日から後期講座を開講します。夏休みの始まりは、以前よりも数日程度遅くなっており、全体的に夏休み期間がだいぶ短くなっているようです。かつて、夏休みと言えば40日前後でしたが、最近は1ヶ月前後の学校が大半となり、「長い夏休み」という表現が適切でなくなりつつありますね。

 さて、前々回は「自己肯定感」が学力形成に及ぼす大きな影響について確認し、子どもの生活環境や学習環境を築く立場にある親(保護者)がどういうことに配慮したらよいかについて共に考えていただくつもりでした。しかしながら、少し話が逸れてしまいました。そこで、今回も同じ話題についてもう少し書き進めてみようと思います。よろしくお願いします。

 さて、みなさんはわが子に対して「何事も最後まであきらめずにやり通す人間に成長してほしい」と思っておられると思います。勉学にしろ、スポーツにしろ、仕事にしろ、一定水準以上をめざすと、必ず乗り越えねばならない試練のようなものが幾度となく立ちはだかるものです。それを乗り越えるうえで欠かせないのが、忍耐力や我慢強さです。大人はそれを経験的によく知っています。だからこそ、わが子にそうした能力を身につけてほしいと願っておられるのでしょう。

 つらい試練に耐える力、結果が伴わない状況を我慢する力を支えているのは、「きっとやればできる!」と自分を励ます力、つまり、「自己肯定感」です。7月23日、30日に掲載したブログでお伝えしたように、成長過程における「自然体験」や「生活体験」「手伝い」「生活習慣」などが、子どもの自己肯定感の醸成に一役買っていることがわかりました。その因果関係については、筆者の想像も含めて既にお伝えしました。幼児や児童をおもちの保護者には、このことを踏まえ、わが子の自己肯定感の醸成に向けた子育ての実践や家庭環境の整備に向けてがんばっていただきたいと存じます。

 しかしながら、毎日の子育て場面では予期せぬ状況が再三訪れます。常に最善の対応を意識し、わが子に対して後悔の残らぬ接しかたをしている保護者はそうおられないのではないかと思います。というのも、子どもはそもそも子どもゆえに不完全で未熟な存在であり、親の意向に逆らうことをするものです。そうしたわが子を目の当たりにして、平常心を保つのは生易しいことではありません。愛情ゆえに、冷静さを失ってしまうんですね。

 特におかあさんがたは、おとうさんよりもはるかにわが子と一緒にいる時間が長いのが一般的です。家庭生活でわが子の逸脱に直面し、看過できない思いをされたケースはおとうさんの比ではないと思います。今日のこの日まで、「わが子を怒鳴りつけたことが一度もない」などと自信をもって言えるおかあさんは、おそらく一人もおられないのではないでしょうか。子育てにまつわる様々な問題場面に遭遇して、それをわが子の成長の場に転化する絶好の機会にするつもりが、逆に親のほうが短気を起こして自己抑制を忘れてしまう場になりがちなんですね。

 残念ながら、そのことは避けようがないものだと言わざるを得ません。大切なのは、1回1回の対処に若干の後悔は残ったとしても、親の継続的な関わりが子どもの成長を促すような流れを築くことであろうと思います。そのために親が旨とすべきことは何でしょうか。このことについて、これから共に考えていただけたらと思います。そこで、親、特におかあさんがたに留意してがんばっていただきたいことを思いつくままに何項目かピックアップしてみました。いざ書いてみると、大概すでにお伝えしたことがあるようなものばかりで恐縮なのですが、とりあえずご紹介してみましょう。

 「こんなまどろっこしい、悠長なことなんかしていられません!」「こんな対応をしていては、中学受験に間に合わないのでは?」と思うかたもおありでしょう。しかし、問題の大本は、わが子のものごとに取り組むうえでの根本スタンスが健全な状態にあるかどうかです。そこに手を差し伸べなくては、問題は解決しません。

 中学受験が目の前にあると、どうしても親のほうが先を読んで焦りがちになります。しかし、そこでわが子をせきたてたり、無理やりがんばらせようとしたりすると、却って子どもの前向きさをスポイルしてしまい、今ある問題をよりよくない方向へと向かわせてしまいます。受験の結果も、親の願いとは裏腹に残念なものになる確率が高くなってしまいます。子どもが自分を信じて、また親の愛情や期待をしっかりと受け止めてがんばれる状況をまずは築きましょう。いったんがんばり始めると、子どもは短期間のうちに大変な勢いで変わっていくものです。また、もしも受験の結果が伴わなくても、「自分はやれる!」という手ごたえをつかんだなら、必ず中学進学後は失敗を取り戻せます。さらには、子どもの生きかた全般が前向きなものになりますから、この先の人生の歩みにも大きな違いが生まれることでしょう。

 自分を信じることができる人間は、苦難を乗り越えるエネルギーを携えています。この先どんなことが生じようとだいじょうぶです。現状を振り返り、少しでも改善の必要を感じられたら、今すぐ親から対応を変えていきましょう。気長に、じっくりと、粘り強い対応を一貫して続けることで、お子さんは少しずつ着実に変わっていくことでしょう。

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