子どもの将来的視点に立った受験対策を!
12月 3rd, 2018
前回は、お子さんの中学受験生活のスタートに向けて、保護者の方々がいろいろと悩まれるのではないかと思うことについて、弊社からのアドバイスをお伝えしました。今回は、中学受験対策の学習指導について、弊社が大切にしている考えかたについてお伝えしてみようと思います。
まず初めに、「中学受験は何のためにするのか」ということについての見解です。中学受験は、言うまでもなく志望校に入学するためにするものです。ですが、入学すること自体が最終的な目的である受験ではないと思います。多くの場合、もっと先の人生の歩みを見通し、保護者が「少しでもよい教育環境をわが子に与えてやりたい」と考えて受験を思い立たれているのだと思います。
ですから、「入りさえすればよい」のではなく、「入った後、学力的にも人間的にもよりよい成長を果たしてほしい」という願いが背景にあっての中学受験であろうと思います。このことに鑑みるなら、「入ること(合格すること)」と「入った後(合格後)のこと」の両方を見据えたうえでの受験準備が必要だということになります。
しかしながら多くの場合、「入ること」のほうに目が奪われ、「入った後」のことには目が向けられていないのが実状です。なぜ「入った後」のことを視野に入れる必要があるのでしょうか。その理由は、主として次のようなものです。
①について補足しておきます。子どもたち個々の人間的特性は、だいたい小学生いっぱいまでに固まってきます。そうした時期に、どんな勉強がより大きな“伸びしろ”の形成につながるかを考えず誤った勉強に注力すると、それが後々まで子どもの成長に影を落としかねません。たとえば、「大人に指示されないと、何をどう取り組めばよいのかがわからない」「勉強に優先順位をつけ、段取りよくさばくことができない(中・高一貫の進学校は宿題が多量に出される)」「何でも丸ごと覚え込もうとする癖がつき、自分で考えて解決を図ることができない」などの問題は、多くの場合中学受験対策の勉強を誤ったことによるものです。
②については、レベルの高い進学校がどんなところかを考えるとご理解いただけるでしょう。一般に進学校とみなされる中高一貫校では、主要科目は中2までに中学校課程のカリキュラムを消化します。当然授業のレベルも高く、学力定着のための宿題も多量に出されます。「授業を傾聴する」「家庭での復習を怠らない」「宿題を段取りよくさばく」などの点が不十分な生徒さんは、せっかくの教育環境のよさを享受できません。筆者は私学の授業を数多く拝見させていただきましたが、先生方は非常に情熱的で工夫された授業を行っておられます。それなのに、授業をしっかり聴けない生徒さんが一部おられます。そういう生徒さんは、たいがい家庭での復習や宿題の取り組みも芳しくありません。いっぽう、中学受験までの助走で「授業を受ける姿勢」「家庭勉強の取り組み」などについてきちんとした指導を受けていれば、中学進学後に苦労することはありません。
弊社は、50年前の設立当初より上記のような事柄を念頭に置いた学習指導を実践しています。その理由は、設立に当たって弊社の経営者が、有名な教育の専門家に師事し、「真の学力とはどういうものか」「勉強はどこでどのようにすべきものか」「学校(学習塾)の授業はどうあるべきか」などについて教えを受け、それをもとに中学受験対策の指導法を考えたからです(かつて、筆者はそのころの様子を経営者からずいぶんと聞かされたものです)。
弊社の学習指導の柱を簡単に示すと、次のようになります。
小学生は、何かにつけ自分で適切にものごとを判断することや、決めたことを実行に移すことがうまくできないものです。しかしそのいっぽうで、大人とは比較にならないほどの急激な成長を遂げています。この時期こそ子どもを自立へと向かわせるチャンスなのです。それなのに、大人が全部取り仕切った受験勉強をさせたり、ひたすら訓練に明け暮れる受験勉強をさせたりしたのでは、いつまで経っても子どもは自立した学習者に成長することはできません。
自立は、自然にそこへ至るものではなく、大人が意図して導いてこそ到達するものです。その証拠に、20代30代になっても親を頼り、自立できないまま年を重ねていく人間が大勢います。逆に、小学生の頃から精神的にも行動面でも自立している頼もしい子どももいます。問題は子どもの成長力を引き出すかどうか。子どもを自立させるには、大人が子どもをよく観察し、間合いをはかりながら少しずつものごとを自分で実行できる人間へとサポートすることが求められます。
以上のような考えに立ち、保護者のご理解ご協力を取り付けながら推進しているのが弊社の受験対策指導です。詳しくは、弊社の「総合案内書」や「入会ガイダンス資料」をご覧いただければ、より深くご理解いただけると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
先日、弊社の校舎で行われた「おかあさんの勉強会」にオブザーバーとして参加させていただきましたが、まだまだ保護者に塾の指導についてご理解いただくための努力をしなければならないと感じました。弊社の指導担当者一同、そのことを肝に銘じ、子どもたちの自立勉強支援に向けてがんばってまいります。