私学の一番のよさって、これかな?  ~その1~

12月 17th, 2018

 前回は、公立一貫校の増加を話題にしましたが、来春開校する「広島県立広島叡智学園中学校・高等学校」の一次選考の合格者は、すでに12月7日に発表されています。募集定員40名(男女各20名)に対し、志願者は375名(男 子175名、女子200名))で、一次試験通過者はちょうど100名でした。今月の下旬に実施される2次試験で最終合格者が決まります(発表は1月8日)。

 以前、広島県立広島中学校・高等学校(東広島市)と、広島市立広島中等教育学校(広島市安佐北区)の人気ぶりをとりあげた記事を書いたことがありますが、今に至るまで驚くほど多くのビュー数を記録しています。その記事を書いた時点において、広島県の公立一貫校は上記2校でしたが、来春には県立叡智学園、県立三次と、新たに公立6か年一貫校が2校増えることになります。広島の中学受験生にとっては、より多様で特色のある学校群から進路選択ができるようになり、喜ばしいことだと言えるでしょう。

 ところで、先月11月14日には、修道と広島女学院の校長先生をお招きし、両校の私学らしい教育実践についてお話しいただきました。この催しは、「私立6か年一貫校のよさと魅力を、保護者に感じていただこう」という趣旨で開催したものですが、修道の田原校長、広島女学院の渡辺校長のお話は、いかにも私学人らしい情熱を感じさせるもので、会場を埋め尽くした保護者の方々の満足そうな表情が印象に残る、充実した催しにすることができました。

 この催しにおいては、中2と高3の生徒さん(各1クラス)に実施したアンケートの結果もご紹介しました(両校とも快く応じてくださいました)。「私学のよさを保護者に知っていただくには、実際に私学に通っている生徒さんの生の声をご紹介するのが一番だろう」と考えてのことでした。その内容は、前述の催しで保護者にご紹介するだけではもったいないほど手応えのあるものでした。そこで今回は、そのときのアンケートの一部をこのブログでご紹介してみようと思います。

 まずは、修道の中2生、高3生のアンケート結果からご紹介しました。なぜこの学年かというと、中2は修道生ぶりが板につき始めた頃であり、高3はすっかり修道魂の身についた(?)卒業前の段階にあるからです。学年が大きく違えば、回答内容も随分違うのではないかという興味もありました。

 アンケートの質問内容ですが、今回ご紹介したのは「修道のよい点・好きな点はどんなことですか」というものでした。回答内容を見て、みなさんはどう思われたでしょうか。修道の校風と言えば、一般的に「自由で開放的」「男らしく、かつ優秀」といったようなイメージが浸透しているように思いますが、実際に生徒として通学している子どもたちの感想も同じでした。ここでは、似たようなコメントをカテゴリー化して一つにくくってご紹介していますが、中2・高3ともに「自由」という言葉を用いた回答がたくさんありました。ただし、高3生の文言は、さすがに中学生よりもひねりの効いた面白い表現が多かったように思います。

 次に、広島女学院の中2生と高3生のアンケート結果もご覧いただこうと思います。質問は「広島女学院のよい点・好きな点はどんなことですか」というもので、修道生に対するものと全く同じです。


 広島女学院といえば、修道に共通する「自由で明るい校風」で知られていますが、アンケートの結果も一般にイメージされているのと変わりないものでした。実際に学校に入学した生徒さんも、そんな学校の雰囲気を満喫しておられるようです。伝統ある私学は、このように「実際に通ってみたら、期待にたがわぬ学校だった」と思わせる力をもっているものなのでしょう。なお、広島女学院は明治時代に英語の私塾として設立されたのが起源です。今でも、国から「スーパーグローバルハイスクール」に指定されているように、「英語教育」に特色のある私学ですが、高3生がアンケートに書いておられる文言を拝見すると、そうした学校の特色がよく出ていると思いました。

 さて、遅ればせながら今回みなさんにいちばんお伝えしたかったことをご紹介してみようと思います。それは、私学のよさや魅力は「建学の精神」や「教育目標」「学校OBの繋がりや人脈」もさることながら、何と言っても「先生」にあるのではないかということです。

 恐縮ですが、先ほどのアンケート結果をもう一度点検してみてください。修道の生徒さんも、広島女学院の生徒さんも、学校のよい点・好きな点として、先生にまつわる理由をたくさん書いておられます。「先生の授業がおもしろくてわかりやすい」「いい先生しかいない」「授業の質がいい」「先生との距離が近い」「先生と生徒の仲がよい」などの、先ほどご紹介したコメントのほか、好きな先生の担当する教科や先生の名をあげて、先生のすばらしさを指摘している生徒さんもおられました。

 私学の先生には、「自分は、この私学の教師として人生を歩んでいくのだ」という自覚や信念があります。ご存知のように私学には原則異動がありません。そうしたこともあってか、先生が熱心で熱い授業を実践しておられることも私学の大きな特徴であろうと思います。

 このことは、6年間の学校生活でもたらされる生徒さんの成長に、相当な影響を及ぼすことでしょう。先生の授業実践を軸に、学校生活は成り立っていきますから、学校の雰囲気もここからできあがっていくのです。ですから、私学のよさは、熱心でレベルの高い授業を実践している先生がたによって成り立っているのだと言っても過言ではありません。まさに、「私学の魅力は先生にあり!」なのです。

   試しに、筆者の気づきを私学の校長先生に伝えてみたところ、「その通り。あなたは私学をよく理解している」という返事をいただきました。しかし、私学自らが「先生が熱心で優れている」ということは、あまりおっしゃいません。それは、「先生・授業がよい」ということは学校としては当たり前のことであるからでしょう。そういうことなのだろうと思います。ですが、「ここに私学のよさがあるのだ」と、改めて筆者は思ったしだいです。

 次回は、私学の生徒さんが「入学して成長したことは何か」について、どう答えているかをご紹介してみようと思います。

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