私学の一番のよさって、これかな?  ~その2~

12月 24th, 2018

 前回に引き続き、私学のよさはどこにあるのかを話題に取り上げてみました。この話題は、これから中学受験をするお子さんをおもちの保護者にとっても参考にしていただけるのではないかと思います。

 このことについて書いてみようと思い立ったのは、11月14日(水)に修道と広島女学院の校長先生をお招きして実施したイベントの一環として、私学の生徒さん対象にアンケートを実施したのが発端でした。具体的には、「私学の生徒さんが、学校生活をどのように受け止めているのか」を調べ、保護者にご紹介すれば、私学のよさに関する生きた情報が提供できるのではと考えました。

 アンケートは両校の中2と高3の生徒さんに実施しました(その理由は前回お伝えしたとおりです)。生徒さんが書かれているコメントを点検してみると、単なるアンケートの回答というよりも、「私学のよさはどこにあるのか」に対する率直な見解が述べられているように思えました。「そうなんだ。これが私学のよいところなんだよな」と筆者自身何度も相槌を打ったものでした。

 前回の記事は、「学校のよい点・好きな点は何ですか?」という質問に対して、両校の中2と高3の生徒さんが口々に、先生がたと先生の実践されている授業のよさを指摘していることに注目し、それをみなさんにお伝えしたいと思って書いたものです。今回は、「この学校に入学して、いちばん成長したと思うのはどんなところですか」という質問に対する、修道と広島女学院の生徒さんの回答をご紹介してみようと思います。

 まずは、修道と広島女学院の中2の生徒さんの回答から。

 どうでしょう。生徒さんの回答でいちばん多かったのは、両校とも「コミュニケーション力が身についた」というものでした。両校とも、「明るく自由な校風」ということもあり、また前回お伝えしたように先生がたとの距離が近く、活発で充実した教育空間の存在がこうした成長を引き出しているのかもしれません。家庭環境や学力面で共通性の高い子どもたちの集団であることも、コミュニケーションを磨くうえで役立っているのかもしれません。みなさんはどう思われますか?

 他にもコミュニケーション力に関連する回答として、修道生には「人の話を聞けるようになった」というのがあります。広島女学院の生徒さんの、「相手に自分の感情を伝えられるようになった」「誰に対しても挨拶をするようになった」「行事を通して自分の心や他人を気にかけて行動できるようになった」などの回答も、コミュニケーション力に深く関わるものだと思います。他の回答にも目を通すと、中2の頃になると、精神的にも行動面でも生徒さんが自立へと成長しつつある様子がうかがえます。

 今度は、高3の生徒さんの回答を見ていただきましょう。

 両校の高3の生徒さんの回答に目を通して筆者が感じたのは、「高3の生徒さんは、中2の生徒さんと比べると、より一層人間として幅広い成長を遂げておられるな」ということです。思春期の頃には、親や学校の先生に反発したり、生徒同士での対立や意見の違いに悩んだりするものですが、そういった経験を経て、さらには学問においてもより高度な内容を修める経験を経て、生徒さんは上記のような回答をされているのだろうと思います。

 高3生の回答を点検していて思ったのですが、「6年間を同じ仲間、同じ先生がたと交流しながら成長していける」ということも、私学のよいところではないでしょうか。近年は、公立一貫校も増えてきているので、そうしたことは私学の専売特許ではなくなりつつありますが、私立学校としての独自の教育理念のもと、先生も生徒も同じように私学人としての連帯感が存在するということの意義に鑑みるなら、やはり私学と公立の学校とは微妙に違うのではないでしょうか。それが伝統として継承されることの価値について、保護者の方々には今一度考えてみていただけたらと思います。

 今回ご紹介した生徒さんのアンケートへの回答内容を拝見し、「私学に進学した生徒さんは、勉強一色の生活を送るのではなく、様々な体験を通して知性的に生きていくための修行を積んでいるのだな」ということを感じ、とてもうれしく思いました。今回はご紹介していませんが、生徒さんの家庭勉強の時間も調査しています。ちなみに、中2生でいちばん多かったのは、修道・広島女学院とも「1日2時間」でした。高3生でいちばん多かったのは、修道が5時間、広島女学院が4時間でした。

 今回ご提供した情報が、私学進学を検討されているご家庭にとって多少なりともお役に立てば幸いです。親にとって一番の関心事は、「わが子が人間としてまっとうな成長を遂げる」ことだと思います。すくなくとも、今回のアンケートの回答を見ると、私学に進学した生徒さんは、人としても、勉学においても立派に成長しつつあるということを確信しました。

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