夏の講座で成果をあげるための大原則
7月 29th, 2019
中学入試を約半年後に控えた6年生にとって、この夏の学習成果は合否を決定づけるほどの重要な役割を担っています。というのも、これまで養ってきた学力を夏の講座を通してもう一段階レベルアップさせ、秋から始める本格的入試対策への橋渡しをしていくからです。
これまで、小学校課程の基礎内容をもとに、少しずつ学習の難度をあげてきましたが、それでも入試問題で要求される学力とにはまだ大きな隔たりがあります(ですから、まだ入試問題に手をつけるべきではありません)。しかし、夏の講習のメニューにしっかりと取り組み、うまくやり切ったなら、徐々に入試レベルの問題にも食い下がれるようになっていきます。
また、夏休みは個々の学力に大きな変動が生じる時期です。長い休暇ですから、自己管理に基づいてしっかりした勉強が継続できるか、それとも惰性に流れ集中力を欠いた勉強に終始するかで、成果に著しい差が生じます。同じお子さんが、状態を上げた場合と下げた場合とで生じる学力の落差は想像以上に大きいものです。暑い日が続きますが、受験生の子どもたちにとっては「ここが正念場」です。強い意志でがんばり通していただきたいですね。
弊社の夏期講習に通っている6年生の場合、すでに5日間の授業を消化していますが、ここまで学習のスケジュールを順調にこなしてこられたでしょうか。今回は、夏休みの講習を有意義なものにするための重要なポイントをいくつか挙げてみようと思います。ぜひ実行に移していただきたいですね。なお、6年生向けに書いていますが、同じようなことは4・5年生のお子さんにも言えますので、参考までに読んでみてください。
1.「授業」を集中して聴き、重要な点をしっかり理解して家に帰る。
「授業を大切にする」――これがなんといっても基本です。家での問題練習や暗記でテストに対処する癖がつくと、覚えては忘れるという負の連鎖が続きがちです(このやりかたでは使える知識が定着しません)。理屈やしくみをしっかりと理解するのが授業の一番重要な役割ですから、「大事なことは授業でマスターするんだ!」という意識をもつことが重要です。そのうえで得た知識はよく記憶されます。
2.「復習(授業・テキストのおさらい)」を毎日欠かさない。
一度覚えたことも、1日経つと6割以上は忘れ去られてしまいます。そして、次の日はもっと忘却が進みます。それにストップをかけ、さらにわかりかけていたことをわかるようにするのが「復習」です。復習を、授業日、テスト前、テスト後の三段階繰り返すと、非常によく記憶に残ります。特に授業後の復習を徹底させると、テスト直前に慌てて暗記する泥沼の勉強が不要になり、ゆとりが生まれます。授業のその日にしっかり復習を!
3.睡眠も学力形成で重要な役割を担う。しっかり睡眠をとろう!
睡眠は、体の疲れを回復させるだけでなく、学びや体験で得た記憶の整理整頓という重要な役割を担っています。夜遅くまで勉強しても、睡眠が不足すると記憶の効率性が落ち、おまけに疲れが溜まります。なお、次の図を見ていただくと、睡眠の役割がよくわかります。浅い眠りのレム睡眠のときに体が休み、同時に記憶が整理されます。深い眠りの状態になるノンレム睡眠のときに脳が休みます。これを一晩で数回繰り返す必要がありますから、最低7~8時間の睡眠が必要なんですね。
4.先生への「質問」、友達への「質問・相談」を積極的に!
わからなかったことを理解し、さらに記憶に残すうえで効果的方法の一つが「質問」です。なぜなら、どこがわからないかを踏まえた的確な説明が受けられます。また、勉強で得た知識は意味記憶と言って、記憶として残すのが難しくて取り出しにくいという特徴があるのに対し、先生への質問で身につけた知識は、エピソード記憶と絡められているおかげで記憶に残り易く、テストのときに思い出し易いのです。友達への質問や相談も効果的です。同年代の子どもの言葉で説明されるとわかり易いのです。説明してくれる友達にも、他者に説明することで自分の理解をより深め、記憶に深く刻みつけるというメリットが生じます。休憩時間や授業後などを上手に活用したいですね。
もう一つ付け加えるとしたら、夜型の勉強より朝型の勉強にシフトすることでしょうか。朝のひんやりとした空気のもとで勉強すると、前日学んで得た知識の再確認の学習やテキストの予習などもよりはかどるでしょう。その意味でも、「早寝早起き」を励行していただきたいですね。
たくさんお伝えするとお子さんが混乱を来してしまうかもしれませんので、ここまでにしておきます。なお、保護者の方々に一つお願いがあります。受験生とは言えまだ小学生の子どもです。決して楽ではない受験勉強を継続するのはなかなか大変なことです。各ご家庭で、お子さんの学習に励みを与えるような工夫を何かしていただくと、お子さんの意欲や実行力も高まるでしょう。
たとえば、家族一緒のイベントを夏休みの後半に企画するのもよいでしょう。また、受験生はまだ小学生ですから、ちょっとした息抜きの時間(団欒、読書、ゲームなど)を毎日少しずつ設けるといった方法もあるでしょう。あるいは、毎日の予定をやり終えたら、必ず親に報告させるようにし、一日の努力を承認したりほめてあげたりするのもよいかもしれません。
結局、勉強もスポーツも芸術もみな同じで、成果をあげているのは意欲や研究心、実行力を高い水準で維持し続けている人たちです。ただし、受験生は前述のように人間として未完成な子どもです。親の要求水準に達する勉強ができていないお子さんもいることでしょう。ですが、誰でもはじめから完璧にできるようになったわけではありません。折を見ては親子で話し合い、現状をわが子に振り返らせながらお子さんのやる気や実行力を後押ししてあげてください。