勉強がはかどるための基本的条件 ~低・中学年児童~
9月 24th, 2019
勉強の時間になっているというのに、なかなか机に向かおうとしない。やっと始めたと思ったら、すぐに勉強とは無関係な物をいじり始める。――こんなお子さんはいませんか? この種のお子さんで勉強のできる子はまずいません。一刻も早く状況を改めさせたいものですね。
なかなか机に着かない、机に着いてもすぐに気を逸らしてしまう、そんなお子さんの机の上を見ると、大概はひどく散らかっています。何がどこにあるかがわからないと、必要なものを探すのに手間どり、いつまで経っても勉強が始められません。また、机の上が乱雑だと気が散って勉強に集中できず、ついつい机の上にあるほかのものに気を奪われてしまいます。以上からわかるように、勉強がはかどるための基本的条件の一つは、「整理整頓ができる」ということです。
また、今取り組んでいることをやり遂げることにこだわりすぎ、気がつくと予定の時間がどんどんオーバーしてしまうタイプのお子さんもいます。そのあまり、算数と国語、理科の復習をするはずが算数しかできないまま一日を終えてしまう。 完璧主義が災いする、バランスをとった勉強ができない、段取りが悪いなど、理由はいろいろでしょうが、これでは勉強ははかどりません。
筆者がかつて担当していてクラスのお子さんがまさにそれで、テスト対策のためのまとめの勉強をする際も、苦手教科の勉強に悪戦苦闘して時間を費やしてしまうだけでなく、挙句に他教科の勉強にしわ寄せが生じてしまい、その度にテストで失敗を繰り返すお子さんがいました。真面目なお子さんなのに…。このことからわかるのは、勉強がはかどるための基本的な条件の一つは、「時間管理(タイムマネジメント)ができる」ことです。
小学生時代に身についた習慣は、善きに悪しきに一生ものとして、その人の人生の歩みを規定します。勉強のブレーキになるような悪しき習慣は、少しでも早く取り除いておきたいものです。小学生の今ならまだ間に合います。親のサポートで修正をはかりましょう。
ではまず「整理整頓」のできる子にするための方策から考えてみましょう。「机の上を片付けなさい!」「部屋の掃除をしなさい!」と言っただけではおそらく何も変わりません。もう少し具体的に子どもに伝え、整理整頓のしかたを学ばせる必要があります。整理整頓とは、次のようなことだということを教えてやりましょう。
とは言え、整理整頓の必要性について納得できなければ、子どもはそれをしようとは思いません。ある教育書に、次のような説明が必要だと書いてありました。
「ね、整理整頓していれば、こんなに便利だよ」ということを、おかあさんには思いつく範囲で、お子さんに言ってあげてほしいですね。
同じように、時間管理についても、「時間管理ってどういうことか」をまずはお子さんに説明し、それを上手にするとどんなメリットがあるかを納得させてやりましょう。子どもの勉強(ここでは塾の勉強を例にしています)についての時間管理とは、
時間管理の必要性については、これまで時間をうまく使って勉強できなかったために、何が問題となったかを踏まえて説明するとよいでしょう。たとえば、こんなのはどうでしょうか。
どうでしょう。「整理整頓ができる」ことと、「時間管理ができる」こと、この二つがうまくいくことで、子どもの勉強の様相は随分変わってきます。身になる勉強ができるようになるうえ、毎日の生活態度に積極性や実行力がみられるようになります。これこそ、親が望んでいたことではないでしょうか。
児童期の前半から中盤までの時期は、大人(親)の働きかけかた次第で、子どもはどのようにも変われます。まだ、固まらない年齢期ゆえのことです。しかしながら、この段階に見られる行動面の欠点をそのまま見過ごすと、親の心配は減るどころか、悪循環の連鎖にストップがかからなくなってしまいがちです。現状の問題点についてお子さんと振り返り、どこをどう改めていくべきかをまずは確認してみてください。
無論、もっと上の学年のお子さんについても、基本的には同じです。問題となる悪しき習慣を改めると、同じエネルギーを投入しても成果が違ってきます。年齢が上がるにつれて改善は難しくなりますが、小学生のうちならいくらでも変われます。親は、「いつの段階においても遅すぎるということはない」と子どもを説得し、状況を改善していきましょう。今のうちに手を打っておけば、問題点を放置したままでいるよりもはるかに未来は明るくなるに相違ありません。
勉強がはかどるようになるための要件は、人生を前向きで充実したものにするうえでも役立ちます。さあ、今のうちにこそよい習慣を身につけておきましょう!