弊社受験生 私立一貫校の入試結果と進学状況

3月 2nd, 2020

 早いもので、先週の土曜日(2月29日)には弊社の各校舎で新年度の開講の催し(オリエンテーション」がありました。

 しかしながらご存知のように新型コロナウィルスの拡大を食い止めるため、政府の要請に基づいて学校は当分の間休校となる模様です。弊社にも多数の小学生が通っていますので、おそらくしばらく休講になると思います(このブログは2月28日に書いています)。これ以上感染が広がり被害が深刻化しないためにも、リスク回避の措置を講じることは必要であり、やむを得ないものだと思います。一刻も早く、ウィルス感染の問題が収束することを祈るばかりです。

 さて、先週のブログでは、弊社受験生の国・公立一貫校入試結果と進路選択状況をご報告しました。そこで今回は、私立一貫校の入試結果と進路選択の状況をご報告してみようと思います。

 弊社は50年余り前の設立時から現在まで、一貫して広島の中学入試に的を絞った受験指導を行っています。かつて、広島の中学受験といえば広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院などの私立一貫校や、国立の広島大学附属などへの受験が主流でしたが、近年は公立一貫校が増え、しかも着実に実績を積みあげつつあります。もはや公立一貫校への受検も、広島の中学受験生にとって主要な選択肢の一つになったと言っても過言ではありません。そこで今年は、受験の結果をご報告する際も、国・公立の中学校群と、私立中学校群とに分けてご報告することにした次第です(国公立の状況は前回掲載)。

 まずは資料を見てください。

弊社会員 私立一貫校の入試結果と進路選択の状況  ※数字は人数

学校名 募集定員 志願者数 弊社合格者数 弊社進学者数
広島学院中学校 184 648 65 46
修道中学校 276 931 146

79

広島城北中学校 200 590 149 36
ノートルダム清心中学校 180 570 74 59
広島女学院中学校 200 715 139 60
安田女子中学校 前期150 568 102 24
後期50 266
広島なぎさ中学校 160 男362
女267
男87
女49
男26
女9
近畿大学附属広島中学校東広島校 前期110 前期324 男12
女25
男3
女6
後期30 後期149

 初めに今年の中学入試の状況を概観しておきましょう。広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院といった、広島を代表する伝統的な私学の受験動向に大きな変化はありませんでした。人口集中が相変わらず激しい首都圏と比べ、人口が横ばいで経済情勢が長期低迷を続ける地方都市の広島においては、20年前、30年前ほど中学受験熱の盛り上がりはありません。しかしながら、広島は昔から私立の6か年一貫校の多い土地柄であり、それに加えて公立の6か年一貫校が増えており、全国的にも稀なほど中学受験が当たり前のように認知されている特異な地域となっています。

 したがって、私学のトップ校や広島大学附属、県立広島などは難易度が高く、優秀な受験生にとってバラエティに富んだ選択肢があります。また、中堅の私学も男子校、女子校、共学校と様々な選択肢があります。さらには、広島中等教育学校や県立叡智学園などの個性を携えた公立一貫校、広島国際学院や鈴峯女子改め修道大学附属協創となった私立共学校など、新たな選択肢も加わっています。「わが子によい教育環境を」と望まれるご家庭にとっては、以前に増して多様な中等教育の受け皿が整いつつある恵まれた地域だと言えるでしょう。

 それでは男子校の受験状況や弊社会員の入試結果を踏まえ、少し説明をさせていただこうと思います。。

広島学院中学校

 今年の広島学院中学校合格者は、昨年の58名から若干増えて65名でした。昨年比で目につく変化が見られたのは進学者数です。合格者65名のうち46名が同校に進学しますが、進路としての選択率が7割強と、今年は近年になく歩留りの低い年となりました(例年は8~9割)。他校に流れた19名の内訳は、広大附属が12名、修道が4名、県立広島が3名でした。広島学院と附属の重複合格者は、例年であれば大半が広島学院を進路に選びますが、今年は24名の重複合格者のうちの半数が附属を選びました。これは今年に限った現象とも考えられます。ただし、ここ2~3年附属の選択率は少しずつ上がっており、地域の経済情勢が反映されつつあるのかもしれません。また、今年は附属をもともと第一志望にしていた受験生が例年よりも多かったことも原因の一つでしょうか。なお、県立広島を選択した3名はいずれも東広島校の受験生でした。

修道中学校 

 次に修道ですが、志願者数は昨年比30名弱の増加で、ほぼ昨年並みと言えるでしょう。弊社からの合格者は146名と、昨年比26名の増加でした。合格者のうち、修道を進学先に選んだのは79名で、今年は1クラス半以上の受験生を修道に送り出すことができました。重複合格をして他校を選んだ受験生のほとんどは、広島大学附属もしくは広島学院を進学先に選んでいます。他の有力校に受かっても修道を選ぶ受験生の多くは、自由で明るく骨太な校風にあこがれるケースが多く、それに加えて家族や親戚に修道OBがいることや、部活のスポーツも視野にあることなどが修道選択の理由となっているようです。ご存知のように、修道は広島で最もポピュラーな私学で、弊社の会員の大多数が毎年受験しています。来年度も、今年に負けない合格実績があげられるようがんばってまいりたいと思います。

ノートルダム清心中学校

 女子校に移ります。ノートルダム清心の合格者は昨年比で8名少ない74名でしたが、進路としての清心選択者は逆に若干増えて59名でした。わずかな違いではありますが、これは附属との重複合格者のなかに清心ファンがおられ、何名かが清心のほうを選ばれたことも影響しているでしょう。ですが、以前は清心の選択率がもっと高かったと記憶しています。また、かつて80名以上の進学者を弊社から輩出したこともありますので、来年はもっと多くの進学者を送り出したいと思っています。近年清心への受験生が若干減少気味ですが、女子受験者は、男子と比べると共学志向が高く、附属のほかに、県立広島や広島中等教育なども人気です。そういった点が作用してのことかも知れません。何と言ってもノートルダム清心は広島の私立女子一貫校高の最高峰です。来年は清心への合格者、進学者がもっと増えるようがんばってまいりたいと存じます。

広島女学院中学校

 広島女学院への合格者は昨年の141名に対して今年は139名と、ほぼ同じくらいでした。進路としての選択者も、昨年の56名に対して今年は59名で、あまり変わりませんでした。広島女学院の受験者数が近年やや減っている(昨年は741名)のは、上記のように女子にもともと共学志向が強いという傾向があるのに加えて、県内に公立の一貫校(いずれも共学)が次々に開校され、ライバルが増えていることも多分に影響していると思います。しかしながら、広島女学院は男子の修道とともに広島で最も幅広く認知され親しまれている私立学校です。また、同校の明るく開放的な校風と、自立した優秀な女性の育成という点は高く評価されており、今後も「広島の女子私学と言えば女学院」というイメージをぜひとも堅持していただきたいと思っています。来年はもっと多くの合格者・進学者を家庭学から送り出したいと思っています。

広島なぎさ中学校

 共学の広島なぎさは、弊社からの合格者と進学者が例年以上に男子に偏りました。男子合格者87名、男子進学者26名に対して、女子合格者49名、女子進学者が9名でした。これは、同校の近隣にある弊社の五日市校と己斐校の受験生の男女比が、男子のほうに偏っていたことと多分に関係があると思われます。ただし、特色教育を謳い、勢いがあったころの同校は、広島市の中心部にも名前が浸透しつつあったのに対し、近年は広島市西部地域以外での認知度が下がっているように見受けられます。弊社の受験生も、三篠校や広島校からの受験生が減少気味です。AICJ、修大協創、国際学院などの私立共学校、広島中等教育などの公立共学校と、ライバルが増えていることも影響しているかもしれません。先生がたは広報活動に熱心に取り組んでおられますが、その成果が目に見えるようになることを願っています。

 そのほか、弊社の受験生の受験動向で目についたのは、近年AICJ中学校への受験者・進学者が増えていることでしょうか。以前は受験するお子さん自体が男女合わせて数名程度でしたが、今年は男子合格者が7名、進学者が2名、女子合格者が13名、進学者が4名となっています。合わせて合格者20名、進学者が6名となり、ずいぶん増えています。また、修大附属協創も校名が変わり、女子校から共学になったことがプラスに作用してか、入試の様相に変化が見られました。今年は弊社から13名の合格者があり、そのうちの3名が同校に進学します。

 以上、一部の学校ではありますが私立一貫校の受験と進学の状況をご報告しました。私立学校のよさは、何と言っても設立にあたっての志があり、学校独自の教育理念があるということです。伝統を有する私学には、学校のたたずまいからも一種のオーラのようなものが醸し出されています。そこでの6年間の学校生活は、私学の一員としての資質を浸透させ磨いていくことでもあります。単に学力をつけるということよりもはるかに多くの価値をもたらしてくれる私学。どの私学に進学しても、その私学の一員として誇りをもって学校生活を送り、成長して行ってほしいですね。

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