お子さんは算数好き? それとも国語好き?
4月 13th, 2020
おたくのお子さんは、国語よりも算数を好むタイプですか? それとも算数よりも国語を好むタイプですか? 親としてはどちらも好きな子ども、どちらも得意な子どもであってほしいもの。受験を乗り越えるうえでもそのほうが有利です。しかしながら、両方が好き(得意)な子どもはそう多くありません。
学習塾としても、保護者同様に「できるなら算数も国語も得意であってほしい」と思うのですが、どちらかに偏っているケースが少なくありません。お子さんが算数好きか、それとも国語好きかは、どのような理由で決まるのでしょうか?
4~5年生のお子さんの算数嫌いは、低~中学年時に習熟すべき筆算や九九などの基礎技能が不十分なため、高学年での学習に支障を来していることが原因かもしれません。基礎基本が未熟だと、学習の発展に対応できないからです。国語を苦手に感じるお子さんの場合、文章を滑らかに読む技能(黙読力)が習得されていないため、長文を読むことが苦痛になっていることも考えられます。算数の文章課題に難渋するお子さんも、同様のことが言えるでしょう。もしもそうであれば、躓いている基礎的学習を再度やり直す必要があるでしょう(算数の基礎技能の習熟を図る、文章の音読練習を繰り返して読みの態勢を築き直すなど)。そういったことも振り返ってみてください。
ただし、教科の好き嫌いが生まれるのは、そういった理由だけではないようです。たとえば、次のようなことも考えられるでしょう。子どもに算数を好きになった理由を聞くと、「だって、必ず答えは一つに決まっているじゃん。だからいいんだよ」と言います。いっぽう、国語の好きな子どもに理由を尋ねると、「正解とは違ったことを書いていても、考えかたが合っていればマルがもらえるのがいい」といったような返事が返ってきました。
算数が好きな子どもは、「答えは一つ」ということに着目しています。「どうしてこれが正解なの?」というわだかまりが残らず、スッキリした気分になるからでしょう。いっぽう、国語が好きな子どもは「正解は一つではなく、いろいろな答え(書きかた)が認められる」という点に魅力を感じるようです。
実際のところ、算数の問題も国語の問題も、想定されている答えは一つなのだと思います。算数の場合、いろいろな正解を得るアプローチのしかたがあるが、最終的に答えは一つの数字に収束していきます。国語も答え自体は一つです。しかし、その答えというのが「事実はどういうことか」や、人物の心理であったりするため、それを説明するために様々な表現方法が考えられるという点が違います。国語を苦手に感じる子どもは、それが「スッキリしない」「結局、どういうことなのかよくわからない」ということのようです。
さて、あなたのお子さんは算数派でしょうか。それとも国語派でしょうか。一度、「算数と国語では、どちらが好き?」「それはなぜ?」と問いかけてみてください。そして、算数と国語にあるそれぞれの楽しさについて語り合ってみるとおもしろいでしょう。そのやりとりを通じて、親として言ってやれることが見つかるかもしれません。また、子どもが教科学習をどのようにとらえているかがわかると、これから続く長い受験のプロセスで何をバックアップしてやるべきかを見通せるようになるでしょう。
ためしに、お子さんの算数のテキストかマナビーテストの問題を一緒に解いて、互いに解いた際のプロセスや考えかたを披露しあってみませんか? それをきっかけに、お子さんの算数や国語の問題を解こうという意欲が増したり、勉強のおもしろさに気づいたりすることも大いにあると思います。
「うちの子は算数も国語も嫌いみたいです」とおっしゃるかたはありませんか? こんな反応をわが子が示してきたら困りますね。しかしながら、小学生までの段階でこういうことが起こるのはきわめて稀です。新たな知識や考えかたにふれる経験は、本来子どもにとって掛け値なしに刺激的で楽しいことなのですから。もしもそのようなお子さんがいたとしたら、原因は前述のような低~中学年時の基礎基本のマスターが算数・国語ともに疎かにされていたことに起因するのではないかと思います。
ともあれ、開講してまだ日が浅い段階で親に求められるのは、「わが子が勉強に対してどう向き合っているか」を掌握することです。そこから、何をどうバックアップすべきかが見えてくるでしょう。次のチェックリストに基づいて、親子で現状を振り返ってみてください。
上記のチェックポイントの確認にあたっては、リラックスした雰囲気のもとでお子さんが率直に現状を話せるよう配慮をお願いします。とかく親子で勉強について話をするとき、親は詰問口調になりがちです。しかし、それでは意味がありません。受験生活を実りのあるものにするための話し合いですから、親はわが子が気軽に何でも話せるような雰囲気をつくる必要があります。がんばってください。
今お子さんが塾の勉強をどのように受け止め、どのように取り組んでいるかがわかれば、対処すべき課題も見えてくるかもしれません。そのことに当面は焦点を当て、「親はわが子を見守り励ます → がんばるわが子を見逃さずほめる」「わが子は親の期待を背にがんばる → 親の承認を励みに努力を重ね成長していく」――そういった受験生活をぜひ実現していただきたいですね。この流れさえ築けたなら、成績面の心配は徐々に解消されるでしょう。
これから親の心配や苦労は否応なく増していきます。しかし、親子が確かな信頼関係で結ばれ、さらには親がわが子の実態をよく掌握していればだいじょうぶです。今回お伝えしたことをきっかけに、今まで以上にお子さんとの関係が風通しのよいものになるよう気配りをしていただければ幸いです。