この夏、子どもの学びをどうする? 《低学年児童の保護者各位》
6月 15th, 2020
今日は6月15日(月)です。本来なら、6月早々から夏休みの講座の募集が始まっており、今頃はかなりの数のお申し込みをいただいているのですが、今年に限っては募集の開始が大幅に遅れています。
夏休み講座の告知は、今月の20日(土)に当ホームページにて行います。中学受験部門の現会員(4~6年生 週3日コース・土曜コース)のご家庭には、このタイミングに合わせて案内を配布する予定になっています。また、低学年部門の現会員(1~3年生 玉井式・ジュニアスクール)のご家庭には、それより若干遅れて(23日~27日頃)案内等の配布を行う予定です。夏休みの講座の日程や実施時間等は、学校への通学日や授業実施時間を考慮し、通年よりも大幅に変更をしておりますので、案内書をよくご確認のうえお申込みいただきますようお願いいたします。
なお、この夏から弊社の講座に入会をご検討いただいている家庭につきましては、本部事務局または通学希望校にご連絡いただければ、案内書や申込書等をお届けいたします。「まずは夏休み講座の日程を知りたい」というかたは、ホームページ(20日に告知開始)やチラシ(21日にオリコミ予定)などでお確かめのうえ、所定の手続きに沿ってお申し込みください。
さて、今回の記事は低学年児童(主として小1~小3)の保護者の方々を念頭に置いた内容となっています。もう少し上の学年のお子さんにも当てはまろうかと思いますので、よろしければ目を通してみてください。
本ブログの読者は、お子さんの家庭教育に熱心であり、中学受験を視野に入れておられる方々であろうと思います。このようなかたの多くは、夏休みをどう生かすかについても関心をもっておられることでしょう。ただし、今年に関しては学校の夏休み期間が大幅に短縮されています。したがって、通常のような長い休暇を前提とした学習や行動の計画も立てられません。
そこで今回は、「低学年児童期に築いておきたい学力基盤」がどのようなものかをお伝えし、みなさんのお子さんの現状チェックに役立てていただければと思ったしだいです。「何が順調で、何が課題か」がわかれば、この夏からの生活や勉強のありかたについて指針ができますし、弊社の夏休み講座の役立てかたもおわかりいただけるのではないかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず低学年(小学1~3年生)までに築いておきたい学力基盤ですが、これを明確にするには「中学受験対策の学習でを快適に進めるために要請されるものは何か」と考えるとわかり易いでしょう。大ざっぱに申し上げると、次のようなことがあげられると思います。
① 読み書きの基本的能力
② 掛算九九や筆算などの基礎計算技能
③ 算数の感覚的素養(直観力など)
④ 基本的な生活習慣
⑤ 知的好奇心
⑥ コミュニケーション力
他にもありますが、とりあえずこれぐらいに留めておきましょう。学力に直結するのは①~③です。④は、自分から学ぼうとする主体性や実行力に深く関わる重要事項です。「生活習慣の自立」は、子ども自身による学習の成果に莫大な影響を及ぼします。⑤⑥は、学校、家庭、塾など、子どもを取り巻く環境の総和で高めるべきものですが、これらが学習全般に及ぼす影響は実に大きなものです。
同じテキストで勉強しても、同じ授業を受けても、子どもたち一人ひとりの成果は異なります。それは、上記要素がどのような状況にあるかによって、情報の処理能力、伝達力に違いが生じるからです。「頭がよい」「頭が悪い」で片づけようとする人がおられますが、児童期前半までに6つの要素をしっかり整えておけば、少なくとも中学受験で通用する学力は誰でも身につけることが可能です。
4年部からの中学受験対策においては、教室での授業と家庭学習を連動させながら学力を伸ばしていきます。学習内容を規定しているのはテキスト(あるいは副教材やプリント)ですが、テキストが伝える情報は主に文字によります。したがって、活字を読んで理解する力(読みの力)は受験勉強の大前提と言えるほど重要な基礎能力です。
お子さんの読みの力の状態は音読をすればだいたいわかります。国語の教科書を、お子さんに声に出して読ませてみてください。読む力が達者なお子さんは、音読が滑らかで正確です。すぐに躓くお子さんは勉強に手間取るだけでなく、理解することもままなりません。なぜなら、文字の連なりを目で捉えながら瞬時に言語の塊やつながりを峻別することができないからです。どの教科の学習も難渋することになります。「まだまだ」と思われたら、ぜひお子さんとの音読時間を設け、毎日少しずつ実行しましょう。おかあさんが手本を示し、お子さんと楽しく交互に読む。これを続けると必ず上達します。
掛算九九や筆算は、受験勉強で無数と言えるほど使用する技能ですから、それが完璧なら大変な強みになるでしょう。逆に不十分だと、算数の課題解決を妨げるブレーキになりがちで、思考をすすめることもままならなくなります。こうした要素を点検して磨き直していけるのは今のうちです。基礎技能こそ、バカにせずにしっかりと身につけておきましょう。
③は、思考や言葉が入り込む余地がなく、「直観」などの感覚的な素養がものを言う領域です。たとえば、図形や速さなど単元で求められるセンスが代表的なもので、この領域の得意不得意が算数の得点に影響を及ぼすことが少なくありません。直観力は、9歳前後までの積み木、レゴ、タングラム、砂場遊び、工作などの経験が影響すると言われます。つまり、形あるものに触れ、つくったり壊したり、いじったりする経験で培われる能力です。今のうちに再度経験を!
④は、直接勉強に関わりはありませんが、生活において「自分のことは自分でする」ということができるお子さんは、遊びと勉強の切り替え、やるべきことをやり遂げるなどの行動がしっかりしています。「決めたことは、やらずにはおれない」という子どもにしておきたいものです。これが受験での親の負担を著しく言に軽減してくれることになります(親にとって、ここが重要なところです)。ことに時間になっても一向に勉強にとりかかろうとしないわが子を、癇癪を起越すことなくサポートできる親はほとんどいないと言っても過言ではありませんから。
⑤は、同じ勉強をするのでも、本人が「知りたい」という欲求に突き動かされて学ぶのと、大人に強制されてしかたなく学ぶのとの違いを考えてみればよいでしょう。親の負担は全然違いますし、子どもが得る成果に著しい差が生じます。さらには、受験勉強が辛く厳しいものになるか、楽しさを伴う充実感のあるものになるかを決定づけることにもなるでしょう。今のうちに上手に子どもに働きかけ、「この勉強って楽しいね」という体験をさせてあげてください。勉強の能動性は、お子さんの一生を変えるほどの価値ある財産となりますよ。
⑥は、テストでの成績には直結しないかのように感じられがちですが、日々の学習の成果に大きな影響を及ぼしますし、何よりも先々まで続く長い学校生活を有効かつ快適なものにするうえで大変重要なものです。弊社の授業は学校と同じような講義形式となっています。先生の話に耳を傾ける力、わからないことを質問する力、みんなの前で自分の考えを発表する力」を養いながら学力を身につけると、これが中学進学後の学業成果にも大いに役立つことになります。
夏休みの講座に参加されるご家庭においては、お子さんの講座期間中の授業の様子や家庭学習の様子をしっかりと見守ってあげてください。そして、受験勉強を始めるにあたっての前提となる要素が今どうなっているのかを確かめてください。課題がはっきりすれば、対策にも的が絞れます。4年生になり、受験勉強が始まると、「今さらこんなことをやっている暇はない」と、基礎・土台に立ち返って補強することに手が回らなくなりがちです。ここから鍛え直すことが先決であるにもかかわらず。高学年の勉強は、低学年の土台の上にあるものだということを忘れないでいただきたいですね。
夏の講座を通して、お子さんの学びの現状を点検し、より効率的な勉強のできる体制を築いていきましょう!