低学年児童に最適な教育環境って!? ~新年度説明会のご案内~
1月 14th, 2021
コロナパンデミックの収束がいまだ見通せないなか、今年も中学入試シーズンがやってきました。今週末から来週末にかけては広島の私立一貫校の入試が多数行われる予定です。また、国立一貫校の入学者選抜のための学力検査、公立一貫校の適性検査も大半がほぼ同じ時期に行われますので、今からの約2週間あまりが広島の中学受験生にとっての山場と言えるでしょう。
コロナ禍における受験生活は、通常の年度よりも多くの試練を受験生の子どもたちに与えてきました。不自由な生活を乗り越えての受験勉強、さぞ大変だったであろうと思います。また、受験生を見守り生活を共にされてきた保護者の方々にとっても、多くの心配や配慮が求められた受験プロセスであったことと拝察します。入試が終わってもコロナ禍に見舞われての生活は当分変わらないものの、今春からの中学校生活をどの学校で送るかが決まる大切な選択の場が中学入試です。後悔が残らないよう、心身のコンディション調整には万全を尽くし、本番でもてる実力を出し切れるよう最後までしっかりケアをしていただきたいと思います。
なお、コロナ感染問題の渦中における入試です。相当数の中学校が塾関係者の応援の自粛を要請しておられます。はっきりと禁止としておられる学校もありますので、弊社としてもその決定事項を遵守することにしております。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。受験生の子どもたちの奮闘を指導担当者一同心より念じています。
さて、今回は中学受験を視野に入れておられる低学年児童の保護者に向けた記事をお届けしようと思います。来る1月22日に、2021年度の低学年部門「新年度説明会」(新小学1~3年生児童の保護者対象)を予定しておりますが、この催しへの興味の喚起や、参加いただくうえでの情報収集の視点をご提供することも意図しています。気楽なお気持ちで目を通していただければ幸いです。
まずは、低学年児童期の教育環境としてつぎの中からあなたが心情的に賛成するものと、実際の姿に近いものとを一つずつ選んでみてください。かなり乱暴な振り分けになっておりますが、考えかたを単純化したほうがわかり易いかと思ってそうしました。また、信条と実際の行動とは違う場合も多々ありますから、そういった観点からも選んでみていただこうと思いました。
みなさんは、低学年期(小1~小3)の子どもの環境として、どれが望ましいと思われますか? また、現実の環境はどれに近い状態ですか? 実は、どれも理屈のうえで一理あり、絶対これだと言い切るのは難しいというのが筆者の見解です。しかし、筆者があえて一つ選ぶとなると、Bでしょうか。ただし、Bは建前と取る人も少なくないでしょう。中学受験を視野に入れておられるご家庭では、「理想はBだけど、現実にはAのような接しかたをわが子にしてしまう」とおっしゃるご家庭もあるのではないかと思います。Cは一昔以上前は理想と言えたかもしれません。しかし今日では、このような家庭で育った子どもは学問で大成するのは難しいと思います。理由は後述します。
Aから見ていきましょう。Aのような考えかた一色で子どもに接すると、一部の才能に恵まれた子ども以外は勉強嫌いになるおそれが大です。大人が無理にやらせる勉強では、学習意欲の高い人間に成長できません。低学年期までの子どもは、親が強い姿勢で臨めば言うことを聞きます。また、まだ常識にかからない年齢の子どもですから、自分を律する姿勢も育っていません。ですから、Aのような側面はよきに悪しきにある程度は必要だと言えるでしょう。ただしそれも程度問題。行き過ぎた押しつけによって子どもにストレスを与え、勉強への志向性が低い人間にしてしまうと、中学受験で志望校に合格できたとしても、親の影響力が及ばなくなる思春期以後に伸び悩んだり、勉強から離れたりする恐れがあります。とは言え、決めたことをきちんと最後までやり遂げる姿勢をもたせる意味で、いい加減な取り組みを許さず、強い姿勢でわが子に臨むことが必要な場面もあるでしょう。問題なのは、「ほかの子に先んじて、高い学力を」という考えで、無理な勉強を常に子どもに押しつけるやりかたです。
つぎはBです。低学年児童期の子どもは、まだ勉強の必要性を自覚できるレベルに到達していません。ですから、いくら勉強の楽しい側面を教えたとしても、一人でやらせるには無理があります。考えること、知ることのプロセスにはある程度我慢が必要ですから、一人での勉強ではまだまだ目先の楽しさ(テレビやゲーム、漫画など)のほうに惹かれる子どもが多いものです。したがって、勉強の時間を親子で取り決め、年齢的に可能な範囲での取り組みを促したり、最初は一緒に取り組み、流れができた段階から手を離したりするといったやりかたも求められるでしょう。また、Bのイラストのように、親が興味を引き出すための働きかけをし、一緒に調べたり考えたりする場面を意図的につくる、などの工夫も必要でしょう。子どもが勉強の必要性を自ら認識し、自覚的に勉強に取り組めるようになるのは5年生後半から6年生にかけての時期で、まだまだ低学年のうちは無理であるということも知っておいていただきたいですね。
Cはどうでしょう。数十年前なら、こういう家庭から優秀な人間が育っていたものです。しかし、今日ではそれが難しくなっています。子どもを取り巻く環境の教育力をあてにできなくなったからです。勉強を教えてくれる上のきょうだいがいない家庭が多いのが現実です。近所のお兄さんやお姉さんが勉強の世話をしてくれることもありません。おじいさんおばあさんに優しく勉強の手ほどきをしてもらえる家庭もごく一部でしょう。また、学校もかつてのように居残りをさせて基礎内容習得の徹底を図ることが難しい状況にあります。もう一つ。「いずれ大きくなってから勉強に精を出せばよい」という考えかたも現実的とは言えません。実は、勉学に向いた頭脳の持ち主にするチャンスは児童期前半までです。3年生頃までにリテラシーの基礎を築いているかどうかは、高学年以後の学習の効率性やこなせるレベルに決定的な影響を及ぼします。児童期前半には、学力基盤を築くという大きな使命があります。これがおざなりになると、取り返すのはきわめて困難になってしまいます。Cは子どもの心身の成長にとっては理想的ですが、現代社会においては勉学での躓きを生み出す危険性が極めて大きいと言わざるを得ません。
以上から、低学年の児童期はA~Cの考えかたのバランスを十分にとった教育環境が必要だというのが私たちの考えかたです(Cの要素も否定しているわけではありません。遊びのなかに、理系の学問の才能開花につながる要素が随分と存在します)。児童期前半までは、勉強を推進するうえで不可欠な素養をしっかりと磨いておくことが肝要です。そのための方法として、子どもに無理矢理勉強を押しつけるのではなく、なるべく学ぶことに興味をもたせ、上手に大人が勉強へと誘導していく働きかけが求められます。勉強の内容は、早く高度なことに手をつけるのではなく、先々の学習の発展を支える諸要素を整備することが大切です。くれぐれも進度を気にして勉強を強要しないでいただきたいですね。将来、高い次元の勉強を自らに課す必要性が必ずやってきます。その段階で飛躍していくための準備こそ、今最も大切にすべきことだと弊社は考えます。今の勉強で他者との差をつけたとしても、それは何の役にも立たないどころか多くの弊害をもたらすだけです。
以上のような考えに立ち、弊社では低学年児童向けに二つの講座を設けています。一つは基礎学力の基盤形成に比重を置いた「ジュニアスクール」、もう一つは才能開発(理数系の学問で求められる感覚的素養を磨くこと、長文の読解に長けた子どもを育成することをめざす)に比重を置いた「玉井式国語的算数教室」です。いずれも、子どもたちが学ぶことに興味を抱き、自ら学ぶ姿勢を少しずつ養っていけるよう配慮しています。前述のように、学びの志向性の高い人間に成長しないと、先々の勉学での大成は難しくなってしまうからです。無論、中学受験専門塾の活動の一環として存在する講座ですから、中学受験を見通していることは言うまでもありません。
先にご案内した「新年度説明会」について。新型コロナウィルス感染問題の渦中における催しですので、会場の換気や座席の配置には十分気をつけて実施します。二つの講座の特長や指導内容をできるだけわかり易くご説明します。また、低学年児童期は、親の影響力が極めて強い時期です。そこで、家庭教育の方向性やあるべき姿についても、可能なかぎり具体的にわかり易くお伝えしたいと考えています。興味をおもちになったかたは、ぜひ参加してみてください。なお、この催しの実施日時や会場などの詳細は、当HPにてご案内しています。予約が必要ですので、お手数ですが上記についてご確認のうえ、お電話でご予約をお願いいたします。
低学年児童期は親の夢実現に向けた土台形成の大切な時期です。私たち家庭学習研究社の低学年部門は、そのためのお手伝いをしています。一緒に夢を追求しませんか?