中学受験への目標意識をどう育てるか

1月 30th, 2021

 広島県西部地区の中学入試は、本日(1月30日)の広島大学附属東雲中学校・県立広島中学校・県立三次中学校、明日31日の崇徳中学校後期入試をもってあらかた終了します。

 今年受験した子どもたちは、仕上げの1年間をコロナ・パンデミックの渦中で過ごすことを強いられました。塾の授業も混乱しがちなうえ、受験校の生の情報を得る機会も制限されるなか、緊張の糸を切らさず最後までよくがんばり通しましたね。新型コロナウィルスの感染拡大によって、学習指導を担当する私たち学習塾関係者にも様々な対応を余儀なくされましたが、それ以上に大変な思いをされたのは受験生の保護者の方々であろうと思います。ほんとうにお疲れさまでした。

 各中学校の合格発表も次々に行われ、男女私学の人気を二分する広島学院と修道、ノートルダム清心と広島女学院の合格発表、そして広島大学附属の合格発表もすでに終わっています。今年の会員受験生のみなさんも、例年に劣らぬよい結果を得ています。ただし、弊社会員の合格実績公表につきましては、まだ補欠繰り上がり等の確認作業がありますので、もうしばらくお待ちいただきますようお願いいたします。※2月1日(月)の夕方、確認済みの合格実績を本ホームページで公開しています。

 長い受験生活はまさに山あり谷ありで、順風満帆に勉強がはかどった受験生はほとんどいないのではないかと思います。まだ12歳の小学生のことですから、入試に向けた準備の段取りや取り組みは親(保護者)から見ると粗が目立ち、随分とイライラハラハラさせられたことでしょう。これは年齢的に仕方のないことで、中学受験生の子どもたちすべてが乗り越えねばならないハードルです。多くの場合、6年生の夏や秋ごろからめざす中学校が定まり、ようやく受験することの意味を噛みしめながらの勉強が始まります。この段階からが本当の試練です。すなわち、受験や勉強にまつわる不安や悩みとの闘いが始まるのです。それぞれの受験生に、それぞれの葛藤があったことでしょう。そうして今に至ったわけです。

 受験の結果は様々でしょうが、この受験までのプロセスを経験したことで、どの受験生も人間として成長を遂げているに相違ありません。成果と反省点をしっかりと振り返り、中学進学後の更なる進歩発展に向けてがんばっていただきたいと存じます。

 さて、今回は次年度の中学入試を控えた新6年生をおもちの保護者に向けた記事をお届けしようと思います。前述のことからもおわかりいただけると思いますが、小学生の受験において問題となるのは受験への意識が定まるのが遅いということです。人生経験が大人よりもはるかに短い子どもの受験ですから、こればかりは避けようのない問題です。しかしながら、大人の水の向けかたやサポートの仕方を工夫することで、「あの学校に行きたい!」「合格するためにがんばるぞ!」という意識を早めに高めることは可能です。それによって、受験する中学校の選択肢は広がりますし、受験合格への展望も随分と違ってくることでしょう。

 そこで親は何をしてやればよいかという話題になります。すでにアイデアをおもちで、いろいろ実行しておられる保護者もおありかと思います。ですが、多くのご家庭では「もっと受験生らしくなってほしい」「目標を定めてがんばり出すのはいつのことやら」などと不満や心配を抱くものの、いまだ具体的な方策を実行に移しておられないご家庭もあるのではないかと想像します。

 そんな保護者にお伝えしたいのは、「6年生になる今が、子どもの意識を変えるチャンスだ!」ということです。児童期の子どもは現在に生きており、過去や未来を想像する力が未発達です。しかしながら、行動範囲が広がり、様々な知識を習得し、思考がグレードアップする高学年に至ると、「明日の自分は何をしているか、何をすべきか」といったことについて考えられるようになっていきます。「どんな中学校に進学するか」ということについても、自分のこととして受け止め、そのための準備としての受験勉強のありかたを修正していく姿勢も育ってきます。親への絶対的な依存から、「自分自身はどうしたいのか、どうすべきか」という主体性が育ってくるのが児童期の最後の学年、すなわち6年生なのです。

 もうすぐ6年部の講座が始まります。この機会をとらえ、受験に向けたわが子の意識をよりはっきりしたものへと高めるべく、働きかけてはいかがでしょうか。以下は、どなたでも思いつかれることをいくつかピックアップしたに過ぎませんが、親が提示する情報をわが子と共有しながら、どのように意味づけをはかるかで、受験に対する動機づけ効果は違ってきます。そういうことを踏まえたうえで目を通していただければ幸いです。

受験への意識を高める働きかけ<例>

学校をリストアップする
受験校を検討するには、候補となる中学校をリストアップする必要があります。受ける学校を決めてから資料を取り寄せるのではなく、親子でネット検索をしたり、案内書を取り寄せたりして、いろいろ特徴の違う学校があることをわが子に学ばせるとよいでしょう。学校の歴史や伝統に触れると、お子さんに微妙な変化が生まれると思います。
わが子の反応を見守りながら、親の知っていることを話してやると、よりお子さんの興味は高まることでしょう。

 

学校の教育の特色を学ぶ
私学に限らず、中・高一貫校ではそれぞれに特色のある教育が行われています。ネットや案内書などを通じて、各中学校の教育や学校環境の特色を箇条書きにして比べてみると、お子さんの中学校に対するイメージが少しずつ具体的になって行きます。
親は、そういった教育が何をめざすものかを簡単に説明してやりながら、わが子の興味関心を少しずつ広く深いものにしてあげるとよいでしょう。

 

学校の部活動の様子を調べる
学校ごとの部活の様子を一緒に調べると、お子さんは、それぞれ特徴があることに気づきます。小学校とは違う規模で、勉強以外の活発な活動があることを知り、どの中学校で何をしたいかなどが具体的になることもあるでしょう。これも受験への意欲を高める効果につながります。
また、中学生と高校生が一緒の部活は、先輩からたくさんのことを学べる利点があることも教えてやりたいですね。それが中・高一貫校の大きなメリットでもあります。

 

知り合いの中高生から話を聞く
大人の説明より効果的なのは、実際に中学高校に通うお兄さんやお姉さんから学校生活について語ってもらうことでしょう。制服姿で自校について楽しい話をしてくれる先輩の様子を見て、憧れを抱くようになるお子さんが多数います。
兄姉が通っているというだけで、「どうしても行きたい」という気持ちを抱くお子さんは多数います。年上のお兄さんお姉さんの影響力は絶大なんですね。身近にそういった存在がいない場合、つてを探してでも試してみていただきたいですね。

 中学・高校生活は、小学生の児童にとって未知の世界です。そこに半歩足を踏み入れる機会を設けることは、中学・高校への憧れの気持ちを引き出し、受験へのきわめて大きな動機づけ効果もたらすことでしょう。上記は誠にありふれた事例ですが、保護者それぞれの工夫で試していただきたいですね。

 他にも学校の文化祭や体育祭など、公開されている催しを実地見学することも大きな効果を期待できます。しかしながら、昨年はコロナ感染拡大の影響で、そうした学校見学の機会が制限された学校が多かったようです。次年度の受験生に対しては、コロナ感染の鎮静化の進捗状況次第であり、まだはっきりとした見通しは立っていません。

 保護者におかれては、いろいろな機会を設けてもうじきやってくる中学校生活についてお子さんに語って聞かせてあげていただきたいですね。おそらく、「勉強しなさい!」という言葉よりもはるかにお子さんのやる気を高める効果が引き出せることでしょう。泣いても笑ってもあと1年後には進学先は決まります。後悔が残らぬよう、今からお子さんへの働きかけを工夫し、試みてあげていただきたいですね。無論、弊社からも6年部生のご家庭に様々な行事や制度をご用意するほか、授業においても適宜受験についての話題を提供して子どもたちの受験に対する意識を高めるよう努めてまいる所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

Posted in がんばる子どもたち, ごあいさつ, 中学受験

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