親子それぞれに、入試までのプロセスの振り返りを!
2月 8th, 2021
2021年度の広島県西部地区の中学入試が終わりました。弊社会員の実績は弊社ホームページで公表している通りです。今年の会員受験生のみなさんも、例年に負けず劣らず立派な結果を残しておられます。ほんとうによくがんばりましたね。
ここ数年、広島県内の中高一貫校の受験者数は微減が続いていますが、今年の主要中学校の受験者数も概ね微減もしくは横ばいでした。ただし、県立広島中の受検者が150名以上減っているのが目に留まります。原因はよくわかりませんが、「難関で入りにくい」というイメージや評価が定着したことで、十分な対策準備のない受検生が安易に受けなくなりつつあるのかもしれません。また、これはこコロナの影響かどうかわかりませんが、弊社の三篠校や己斐校、五日市校など、広島市の中心部~西部地区の受験生の応募がとても少なかったように思います(公共の交通機関を利用しての遠距離通学のリスクを回避された?)。こうしたことも影響しているのかもしれません。
いっぽう、国際学院中や崇徳中など、新設されて間もない中学校、共学に衣替えしたばかりの中学校はかなり受験者を増やしています。広島の中学受験生にとって、以前に増して受け皿の選択肢が増えたことは喜ばしいのではないでしょうか。これらの中学校の教育実践の様子が評判になれば、より人気も高まることでしょう。
弊社会員の入試結果については、目立つような特筆事項は特にありません。強いて言えば、広島大学附属中を受験した女子会員の合格状況が例年よりよかったことでしょうか(25名が合格)。大半が外部(附属小以外)からの受験生でしたが、大変な倍率のなか、これだけの数の受験生が合格されたことに驚きました。また、広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院は、弊社会員の受験率が大変高い人気私学ですが、どの中学校の入試結果も例年とほぼ同じくらいでした。なお、もうじきすべての中学校の入試結果が判明すると思いますので、正式な入試合格実績の公表は確認作業終了後にさせていただく予定です。よろしくお願いいたします。
中学受験は、受験生本人だけで完結するものではありません。受験生のご家庭にとって、まさに壮大なロングランのイベントであるといっても過言ではありません。それは再三お伝えしているように、まだ子育ての終わっていない児童期の子どもの受験であり、生活や通塾、家庭学習、メンタル面などについて、親や年長者のサポートが欠かせないからです。さらには、年下の弟や妹がいる家庭では、一緒にくつろいだり遊んだりする機会もおのずと制限されがちです。そういった諸々の我慢も、家族の協力の一要素に他なりません。多くの場合、準備学習期間は2年から3年ぐらいは必要で、受験生本人の粘り強い努力の継続が必要なうえ、他の家族にかかる負担も相当なものがあります。
保護者の方々に申しあげます。受験準備を始めたばかりの頃を思い出してください。お子さんはまだ甘えん坊で、あどけなさも幾分残っていたのではないでしょうか。ところがどうでしょう。今やすっかり逞しい姿に成長しておられるのではないですか!? ですが、それだけではありません。もう一度お子さんの表情までもよく見てあげてください。見かけの姿が変わっただけではなく、以前よりも人間としての落ち着きや余裕、自信のようなものが感じられるようになっていませんか? それはきっと、目標の達成をめざし、こつこつと努力を継続するプロセスによってもたらされた、内面の変化を映し出したものに他なりません。この内なる成長こそ、お子さんの将来の歩みを支える無形の財産ではないでしょうか。
2年、3年に及ぶ長い期間、来る日も来る日も勉強と向き合い、他の様々なやりたいことを我慢したり調整して学んだ日々…。無論、遊びたい盛りの年齢期にあるお子さんですから、誘惑に負けそうになったこと、勉強に身が入らなくなったこともあるでしょう。そうして、やっと受験に照準を当てて真剣に学び始めると、今度は別の問題が表面化してきます。一生懸命にやっても成績が上がるどころか逆に落ち込み、必死で巻き返しを図っても成果が得られず、途方に暮れたこともあったでしょう。そんなさなか、親子での衝突もあったことでしょう。それは当然のことです。親は親で壁に突き当たって苦しむわが子を心配し、状況を確かめたり手を差し伸べたくなったりするものです。しかしながら、わが子はちょうど親離れし自立へと向かう最中にあります。そんな親離れ、子離れの交錯する時期の受験ですから、いざこざがあったとしても誰が悪いわけでもありません。
幾多の紆余曲折を経て、お子さんは今や目標としていた受験を無事に乗り超えました。様々な困難に揺れながらも、最後までがんばり抜いた経験は何にも代えがたい貴重なものです。きっとお子さんは、「努力すれば何だってやれないことはない!」という自信や将来に向けての意気込みを得ておられることでしょう。そして、受験を終えて一息ついた今は、親子間に生じた多少の軋轢も、自分への愛情があったからこそのことなのだということを、十分に理解されています。ですから、そういうこともすべて無駄ではなかったのです。
ただし、お子さんにとっては中学校に進学するこれからが自分の判断に基づく人生設計の始まりです。より善い人生の歩みを実現すべく独り立ちしていかねばなりません。そこで受験を終えた今、親子が家庭で一緒にいられる時間を見計らって、一緒に「受験までの振り返り」をしてみてはいかがでしょうか。長い受験生活を乗り換えたことをまずは大いにほめてあげてください。そうして、楽しい会話をしながら親からの提案としてこの話を切り出してみてはいかがでしょうか。
「受験でどんな点で成長できたか」と、「反省すべき点は何だったか」を箇条書きにしてみると、今回の受験が何をもたらせてくれたかや、今後の課題が明らかになってくると思います。
お子さんが書いたことをもとに、これまでの受験生活の努力を認め、慰労してあげてください。それから、中学校進学後に向けた展望を語り合うのもよいでしょう。もしも親としての反省点があれば、率直にわが子に伝えて謝ることも、親子の相互理解を深める機会にもなるのではないかと思います。もうすぐやってくる思春期は、親にとってつらい対立が生じがちですが、中学受験を通じてしっかりとした関係を築いた家庭においては難しい問題には至らないものです。中学受験の効能はそんなところにもあるのですね。
中学校に進学したら、より一層自立の姿勢が求められます。学習のレベルも上がります。最初は中学受験のおつりで余裕があるため、つい気が緩みがちですが、そのことを保護者におかれては踏まえていただき、「現時点の自分を見つめ直し、成果と反省点をはっきりとさせたうえで次のステップに足を踏み入れよう」と優しく促してあげてください。
どこに合格したかが成果の全てでは決してありません。これからの長い学びの人生を歩むうえで大切なものを見つけた。中学受験の意義はそういった意味においても大きな価値をもつのではないでしょうか。受験を振り返り、そして次のステップへと夢と希望とをもって臨みましょう! ほんとうにお疲れさまでした。