‟受験生のいる家庭”らしい環境づくりを!
3月 22nd, 2021
今回は、新年度の講座が開始して間もないということで、学びの態勢づくり、家庭の環境づくりを話題に取り上げてみました。みなさんのご家庭では、受験生のお子さんの学習がはかどるよう何らかの配慮や工夫をされているでしょうか。
受験生はまだ小学生の子どもです。高校生ぐらいになると、生活サイクルや家庭の状況に合わせて自分で成果のあがる勉強のスタイルを築くこともできるでしょう。しかし、小学生は親への依存の度合いが強く、周囲の大人が勉強に専念できるような家庭環境を築くべく積極的に協力することも必要でしょう。
特に今年は新型コロナウィルスの感染問題がいまだに収束しておらず、家庭でオンライン授業を受けておられるお子さんも少なくありません。つまり、いつもの年よりも家での学習の比重が高くなっており、家庭環境が勉強にふさわしいものになっているかどうかが成果に少なからぬ影響を及ぼします。今の環境が受験生のいる家庭にふさわしいものになっているかどうかを、今回の記事をきっかけに今一度振り返ってみていただければと思います。
たとえば、弊社では個室でお子さんが一人で勉強するような環境よりも、リビングや食卓など親から見える場所での勉強をお勧めしています。なぜかと言うと、小学生はまだ受験するということの意味を理解しているとは言い難く、目先の遊びや誘惑に負けてしまいがちです。勉強を始めたものの、いつの間にか別のことをしていることも珍しくありません。また、年齢的にも自立へ向かう途中にあり、親が見守ってくれたり、必要に応じた声かけをしてくれたりするほうがやる気も高まります。お子さんが一人部屋にこもっての勉強は集中の維持が難しく、親のサポートがほどほどにある状況のほうが気持ちにハリができて学習の効率も高まるように思います。
では、受験生のいる家庭としての現状を振り返ってみるためのチェック項目をいくつか挙げてみましょう。いずれについても、保護者のアドバイスやフォローで随分違ってきます。
1.どこで勉強している?
上述のように、できれば親の見える場所での勉強をお勧めしています。個室で一人勉強、もしくはきょうだい一緒の部屋での勉強という家庭もあるでしょう。その場合、集中して勉強できているかどうかを保護者がしっかりと見極める必要があります。ちゃんとやっていると思っていたのにやっていなかった。開講後、何カ月も経ってから保護者がそのことに気づくといったような事態は避けたいものです。2.いつ勉強している?
塾のない日の家庭勉強の時間は、できるだけ同じ時間帯に揃えることをお勧めします。そのほうが勉強にリズムが生まれるし、計画の実行力も高まり、勉強の成果が高まるからです。ただし、週末などは早朝に勉強するのもよいでしょう。これも能率を高める効果があります。3.バランスのとれた学習計画になっている?
学習計画は、お子さんの生活スタイルやパターン、学力状況に見合った適切なものにする必要があります。無理をしても成果につながりませんし、実行可能で長続きする計画ができるまで、繰り返し微調整していくとよいでしょう。よい学習計画は、よい学習習慣の構築につながり、一生の宝にもなります。お子さんの現状をチェックしながら、親子で話し合って調整しましょう。4.家庭での勉強(特に復習)の段取りはわかっている?
授業後の復習は学力を定着させるうえで欠かせないものです。ただし、「復習とは何をどうすることか」がわかっていないと、時間を有効に使った学習になりません。たとえば算数ですと、授業で扱われた課題や先生板書を見直し、再度点検したうえで未解決の問題に取り組み、「解答と解説」を参照しながら当該単元の学習内容を理解していく学習が復習に相当します。4年生の場合、お子さんが問題に取り組んだあと、保護者に〇つけをしていただくようお願いしています(お子さんが理解できていない場合、解説を参考にして助言していただければ幸いです)。復習を「宿題」と受動的に受けとめるご家庭もあるようですが、お子さんの自発的学習として積極的な気持ちで取り組むと、より効果を高めることができるでしょう。5.勉強に集中できる雰囲気はできている?
勉強の時間には、家庭内が静かで落ち着いた雰囲気になっているとはかどりが違ってきます。リビングや食卓での勉強の場合、家族もお子さんの勉強時間い合わせ、読書などに取り組む時間にしていただくと、「みんなでがんばる時間だ」という気持ちになれますので、より効果の伴った勉強になると思います。6.親はカリキュラムの流れを把握している?
わが子が今何を勉強しているのかを、保護者が知っておくことも必要です(4年生の場合、保護者に〇つけをお願いしているので掌握されていると思います)。教えるためではありません。学習内容を保護者が知っていれば、家庭での会話の際にも適切な励ましができますし、お子さんの現状や気持ちを汲み取った会話が成立することでしょう。そうしたことも、長い目で見たらお子さんに励みを与え、受験生活の充実につながるのではないでしょうか。7.テストに備えた勉強はちゃんとできている?
マナビーテストで常によい成績をあげているお子さんは、2週間の学習サイクルを手の内に入れ、うまくテスト対策の勉強ができているものです。副教材からも出題されているのを踏まえ、計画的に勉強しているのは言うまでもありません。2週目の後半は「がんばりチェック」という復習内容の勉強になっており、これで単元の仕上げをし、さらにテストの前日に不安なところをおさらいしていれば、かなり安定した成績をあげることができます。つまり、理に適った勉強を継続しさえすれば、どのお子さんも優秀者になれるのです。そういった観点から、お子さんの家庭勉強の状況や流れをチェックしてみてください。8.わが子の奮起を促す接しかたを知っている?
小学校4~6年生の子どもの学習意欲増進の要は保護者の存在です。なぜなら、この年齢期の子どもは、「親の期待するような人間になりたい」と強く願っているからです。今の段階で親がわが子に発信すべきは、「努力を怠らない人間であれ」という期待ではないでしょうか。そして、努力する姿勢を育てるべくほめ続けるのです。成績を見てほめるのと違い、努力を見てほめるのなら、ほめるチャンスは格段に増えることでしょう。それが子どもの奮起につながります。それを一貫して続けることで、お子さんは受験を乗り切るためのエネルギーを得られますし、何よりも親を尊敬し健全な学力観を携えた人間に成長していくことができます。
わが子にやる気が見られなかったり、成績が低迷し続けたりすると、親はイライラしたり叱ったりしたくなるものです。ですが、児童期の子どもの学びは保護者の接しかたや対応次第で随分変わります。お子さんを上手に励まし、前向きな取り組みの姿勢を促す親であってください。子どもは、親の愛情を受け止め、何を期待されているのかについて納得すると、それこそ必死になってがんばるようになります。何事も親しだいの年齢期にあるのですね。
取り組みの方法や学習課題についての望ましい考えかたを指導するのは学習塾に託されている重要な仕事です。私たち指導担当者も、お子さんがこの1年間の取り組みで学力面においても人間としても大いに成長されるよう精一杯努めさせていただきます。
中学受験は一生で一回きり。お子さんが充実した受験生活を実現できるよう、ともに連携して応援してまいりましょう!