“振り返り”と“やり直し”が学力を伸ばす!
8月 30th, 2021
新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません。感染力の強い変異種のデルタ株による感染が広まっていることも原因の一つと考えられています。ラムダ株は子どもにも感染しやすいうえ、ワクチン効果も薄いと言われていますので、本当に恐ろしいですね。広島県も、新規感染者数が高止まりしており、8月27日から緊急事態宣言が適用されています。何とかして感染拡大に歯止めがかかることを祈るばかりです。
さて、夏休みの終了とともに新学期が始まりました(コロナ感染問題を考慮し、自治体によっては夏休みを延長する動きもあるようです)。弊社の後期講座も本日(8月30日)開講します。お子さんは、夏の講座で手ごたえを得られたでしょうか。夏休みに生活習慣が乱れたり、遊びに気持ちが傾き過ぎたりすると、学びのコンディションを調整するのに手間どります。どのお子さんもうまく夏を乗り越えておられればよいですね。
なかには、「がんばっているのに、ちっとも成績が上がらない」「成績がずっと下がり気味で、自信がなくなってきた」など、いろいろと悩みを抱えているお子さんもおられるかもしれません。一つ言えることは、今やっている勉強で成果があがらないのは、能力の問題ではなく、勉強の内実に問題があるからです。
学習成果は、取り組みの時間や量には必ずしも反映されません。いくらがんばっているつもりでも、学習の方法に問題があったら力はつきません。また、自分の勉強の問題点に気づかないまま勉強をしていると、学力が頭打ちになってしまうケースも多々あります。たとえば、こんなことはありませんか? 以下は、男子にありがちなものと女子にありがちなものの代表例をあげたものです(無論、例外も多数あります。あくまでも傾向としてご理解ください)。
男子のよいところは、気分が乗ったときにはすばらしい集中力を発揮するところです。しかし、それがなかなか続かないところに欠点があります。また、同じことを長くやるのを嫌い、すぐに飽きてしまいがちです。やることなすことが大ざっぱで成果のない勉強をくり返しているお子さんも少なくありません。これにも関連しますが、そそっかしくて慎重性を欠き、ミスをたくさんします。
女子は概ねまじめです。先生の指示をよく聞き、実行に移そうと努力します。しかしながら、取り組みが形式に流れがちで、やるにはやっているけれども、それだけで満足してしまうお子さんも見られます。また、「ああでもない、こうでもない」と、いろいろ視点を変えて考えることが苦手で、解法を覚えて対処しようとするため、成績が頭打ちになるお子さんも女子のほうに多いように思います。
無論、勉強の現状はお子さんそれぞれに違いますから、上記の例が当てはまるかどうかはわかりません。しかしながら、男子であれ女子であれ、学習成果をあげるうえで必ず押さえておくべきことは共通です。そのことについてこれから考えてみたいと思います。
新しいことを学ぶとき、どんなことでも1回で理解し、自分のものにできれば苦労はありません。受験レベルの勉強ならなおさらで、授業を聞いただけでは十分ではなく、家で何度もやり直しをしてやっとわかるようになることも珍しくありません。
ところが、授業を聞いただけでわかったつもりになったり、練習問題の解答や解説を読んで「理屈を理解した」と、錯覚をしたまま満足してしまうお子さんが少なくないようです。新出の学習事項は、反復してやり直さないと頭に浸透しません。上記のような勘違いをしたままテストに臨んだものの、さほど難しくない問題に躓いたり、必要な知識が記憶から取り出せなかったりするのはそのためです。こうした中途半端な取り組みを続けている限り、頭打ち状態から抜け出せません。
つぎの三つについて、これまでの実際をお子さんと一緒に振り返ってみてください。
①取り組みかた・勉強法について振り返る
②テキストの問題・テスト問題の間違い直しの徹底
③やるべきことをどれぐらいやっているか振り返る
①について。初めて学ぶ単元にふれる場合、予習をしてだいたいの内容をつかんだり、授業に臨むにあたって「何を知りたいか」を明らかにしたりします。それをちゃんとやってきたでしょうか(予習は5・6年)。授業では、単元の基本となる考え方や知識を扱いますが、先生の説明を集中して聞き、ノートに板書を書き写したり、気づいたことをメモしたりしてきたでしょうか。家庭では、授業で学んだことのおさらい(復習)をしてきたでしょうか。テストの前に、2週間学んだことを振り返り、重要事項がわかっているかどうかチェックしてきたでしょうか。
②について。テキストの練習問題に取り組み、○×の確認をして決着をつける習慣が定着しているでしょうか。テキストの問題は、現在の自分の成績に照らし、「現在の力で、決めた時間枠のなかでやれるところまでやる」という線引きをしているでしょうか。基礎内容がわかっていないのに、無理に発展的な問題をやろうとしても、空回りになってしまいます。テストの問題で、基礎レベルのものや惜しいところで間違ったものをやり直す。それがいちばんの勉強です。やればできるはずの事柄を埋め合わせることこそ、力をつけるために欠かせない勉強なのですから。
③について。決めたことを計画通りにやれるようなら、誰も苦労はありません。誰でも予定通りにはかどらないまま、その日を終えることがあることでしょう。それを放置せず、「どこで埋め合わせるか」を考え、実行に移してきたでしょうか。やらずにそのまま放置したり、中途半端な取り組みをしていたところがテストで出題され、痛い目に遭った経験は誰にもあると思います。この失敗の経験を生かしてきたでしょうか。
勉強で得た知識や考え方は、以後の学習に生かされながら発展していきます。したがって、既習の内容を疎かにしたり、理解不十分なまま放置したりすると、新たに登場する学習内容の習得にも影響を及ぼします。それはどういうことかを、ちょっと考えてみましょう。
トップダウン処理のわかり易い例をあげてみましょう。「研太君は、日曜日に家族で公園に行きました」という文を理解するにあたり、もしも研太君が公園に行った経験があれば、シーソーや噴水、砂場、ジャングルジム、花壇、池、ハトなど、公園で目にしたり遊んだりするものを、文を読んだだけで想像することができますから、その経験がない子どもよりもずっと文の理解が容易になります。
受験勉強もこれと同じで、既習の事項をよく理解していたほうが、新出の事項を理解するうえでも容易になるということがよくあります。学習はらせん状に発展していくものだと言われますが、小学校で学んだ内容は中学校で学ぶ内容の基礎になりますし、中学校で学んだ内容は高校で学ぶ内容の基礎になります。ですから、今学んでいることを理解していなかったり、間違った知識を身につけていたりすると、以後の学習で躓いてしまうことになりがちです。このような負の連鎖を引き起こした結果が、学力不振や伸び悩みという現象です。
上記の3つの振り返りは、学んだ事柄をしっかりと理解し、次の学習へと生かしていく流れを築くうえで参考にしていただけるのではないかと思います。
①については、お子さんから報告を聞くだけでは状況がよくわからないかもしれません。そんなときは、お子さんが後期のテキスト学習(予習や復習)に取り組む様子を見て確かめるとよいでしょう。②は、初見の家庭学習や授業を聞くことよりも学力をつけるうえで重要なものです。何しろ、できなかった問題の埋め合わせこそ、進歩するために不可欠となる勉強ですから。③は、勉強のみならず、ものごとへの取り組みにおいて欠かせない姿勢です。自分を常に客観視することで、今ある欠点や足りないことが見えてくるはずです。現状の振り返りとチェックを怠らないようにしましょう。
いよいよ後期の学習が始まりました。今回お伝えしたことをもとに、今から成果のあがる学習を実現すべく、親子で話し合ってみていただきたいですね。これまでの問題点を洗い出し、しっかりとした学習の態勢を築いてきましょう!